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倭国統一編
161話 出陣の合図
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「遅れてすまん」
イブとドニーズはマナ隊と合流した。
「あれ、マリ達はどうしました?」
「マリは後から来る、かまわず出発してくれと言っていた」
そして、マナ隊長はイブを見て
「イブ、我々はマリの部隊だ。王国の侵攻となる最初の日に指導者がいなければ出陣できない」
マナ隊長は隣にいるバーミャを見て
「バーミャ、今日はどんな日だ」
昨晩、巫女であるひみゃこに占ってもらい、今日は最高の日よりだと聞いていたバーミャは
「はい、最高の日よりです」
「そうか、ならば、なおさら、きちんと出陣したいな。バーミャ、また、マリが少し遅れることを皆に指示を出してくれ」
「わかりました」
バーミャはまた、後ろの隊列の頭たちのところに行き、指示を出した。それを見ていたイブが不思議そうに
「隊長、別に出発しても問題ないのではないか」
隊長は何を言っていると不思議そうな顔で
「イブ、何事も最初が肝心、万全な態勢で出陣してこそ、良い運気が得られるもの」
「ふ~ん、そういうものかな、まあ、それではしばらく待つとするか」
イブがたいくつそうにしているので、ドニーズは
「アハハ、やっぱり局長がいないとさびしそうですね。イブ」
「当たり前だ。あんな役立たずのユウキにマリを任せているしな、出発しないなら、私も一緒に行けばよかったな」
「そうですね」
イブはドニーズの腰に装着しているリボルバーを見て
「お前は、こんな時代でもリボルバーを持って来ているんだな」
「はい、局長が携帯していろと指示があったので」
「なるほどな、しかし、これだけの部隊を味方にしているんだ。おそらくそれを使うことはあるまい」
「そうですね。できれば使いたくないですが、自分としてはまだ、この銃はきたばかりで試し打ちもしてないので、機会があれば撃ちたいですけど」
「そういえば、バーミャが昨晩言っていたぞ、戦など、出発の最初の日にはドラや笛などできるだけ大きな音を出して出発すると縁起がよいってな、どうだ、出発時に1発撃ってみたら」
「え~いいんですか。それなら喜んで撃ちますよ」
イブはうれしそうに隊長に近づき
「隊長、出発時の大きな音を出すことだが、あのドニーズにやらせてくれないか」
隊長は驚いた様子で
「出陣合図の響きですか?隊にはかなり大きい音を出すドラや吹き笛がありますが、それより大きい音など出せるのですか?」
「任せておけ、それよりは大きい音がでるから」
マリが一番強いと認めるイブからのお願いだから、しかたなく頷き任せることにした。
「よ~し、ドニーズ、マリが帰ってきて出発の合図を出したら、思い切りぶちかましてやれ」
「了解しました」
ドニーズはここに来てから、全く役にも立てず、心の中ではモヤモヤしていたが、イブは部下のそんな気持ちをくみ取り、仕事を与えてくれた。やはり、イブはいつの時代でも部下の扱い方を心得ているなと感心した。
石森の村人も全員、マリ達やマナ隊長達を見送るため、待っていたが、30分程度待っていたら、森の奥からマリ達が歩いてきた。
「遅れてごめ~ん。あれ、みんな出発しなかったんだね」
マリはかわいい笑顔で現われた。隊長はマリが来てとてもうれしそうな顔で大声をあげた。
「マリが来たぞ~」
マナ隊は隊長の合図とともに隊長や頭は馬から降りて、マリの前に集まり膝をついて
「マリ、我ら第4の護り人マナ隊はこれからあなたに忠誠を誓います。そして、時期
大君(王)になるひみゃこを護り、必ずやこの倭国を素晴らしい国に変えるようにあなたと共に戦います」
マリ達は昔の中世の騎士のような素振りで礼をするマナ隊にしばらく見とれてしまい、うれしそうに
「もちろん、これからよろしくね。みんな~」
マナ隊はほぼ全員が先日、マリに叩きのめされたが、殺さずに生かしてくれて、その時にとてつもない強さと優しい心とそのかわいらしい姿に感動して皆がマリに憧れていた。
だが、マリはそんなことには全然気づいてはいなかった。そしてバーミャが
「マリ、皆、出発の準備ができました」
マリはたくさんの部下がいることがとてもうれしいようで大声で
「さあ~て、みんな~出発するよ~」
「お~う!」
ドニーズはその合図を聞いてすぐに腰に装着していた銃コルトパイソンを握り、空高く1発撃った。
「ド~ン!」
静かな森全体が揺れているのではないかというぐらい大きな音が鳴った。
マナ隊は事前にドニーズが大きな音を出すことは聞いていたが、ここまで大きな音がするとは思っていなく、隊列が少し乱れ、歩兵は腰が抜けたように座り込んだ者もいた。
マナ隊長は笑いながら
「ワハハ、これは縁起がいいな、これほどまでの大きな音は聞いたことがない。すばらしい」
マリ達はなんでドニーズが銃を撃ったのかわからなかったが、マナ隊は隊列を整え出発した。その後ろで石森の村のみんなが手をあげて、見送っていた。
イブとドニーズはマナ隊と合流した。
「あれ、マリ達はどうしました?」
「マリは後から来る、かまわず出発してくれと言っていた」
そして、マナ隊長はイブを見て
「イブ、我々はマリの部隊だ。王国の侵攻となる最初の日に指導者がいなければ出陣できない」
マナ隊長は隣にいるバーミャを見て
「バーミャ、今日はどんな日だ」
昨晩、巫女であるひみゃこに占ってもらい、今日は最高の日よりだと聞いていたバーミャは
「はい、最高の日よりです」
「そうか、ならば、なおさら、きちんと出陣したいな。バーミャ、また、マリが少し遅れることを皆に指示を出してくれ」
「わかりました」
バーミャはまた、後ろの隊列の頭たちのところに行き、指示を出した。それを見ていたイブが不思議そうに
「隊長、別に出発しても問題ないのではないか」
隊長は何を言っていると不思議そうな顔で
「イブ、何事も最初が肝心、万全な態勢で出陣してこそ、良い運気が得られるもの」
「ふ~ん、そういうものかな、まあ、それではしばらく待つとするか」
イブがたいくつそうにしているので、ドニーズは
「アハハ、やっぱり局長がいないとさびしそうですね。イブ」
「当たり前だ。あんな役立たずのユウキにマリを任せているしな、出発しないなら、私も一緒に行けばよかったな」
「そうですね」
イブはドニーズの腰に装着しているリボルバーを見て
「お前は、こんな時代でもリボルバーを持って来ているんだな」
「はい、局長が携帯していろと指示があったので」
「なるほどな、しかし、これだけの部隊を味方にしているんだ。おそらくそれを使うことはあるまい」
「そうですね。できれば使いたくないですが、自分としてはまだ、この銃はきたばかりで試し打ちもしてないので、機会があれば撃ちたいですけど」
「そういえば、バーミャが昨晩言っていたぞ、戦など、出発の最初の日にはドラや笛などできるだけ大きな音を出して出発すると縁起がよいってな、どうだ、出発時に1発撃ってみたら」
「え~いいんですか。それなら喜んで撃ちますよ」
イブはうれしそうに隊長に近づき
「隊長、出発時の大きな音を出すことだが、あのドニーズにやらせてくれないか」
隊長は驚いた様子で
「出陣合図の響きですか?隊にはかなり大きい音を出すドラや吹き笛がありますが、それより大きい音など出せるのですか?」
「任せておけ、それよりは大きい音がでるから」
マリが一番強いと認めるイブからのお願いだから、しかたなく頷き任せることにした。
「よ~し、ドニーズ、マリが帰ってきて出発の合図を出したら、思い切りぶちかましてやれ」
「了解しました」
ドニーズはここに来てから、全く役にも立てず、心の中ではモヤモヤしていたが、イブは部下のそんな気持ちをくみ取り、仕事を与えてくれた。やはり、イブはいつの時代でも部下の扱い方を心得ているなと感心した。
石森の村人も全員、マリ達やマナ隊長達を見送るため、待っていたが、30分程度待っていたら、森の奥からマリ達が歩いてきた。
「遅れてごめ~ん。あれ、みんな出発しなかったんだね」
マリはかわいい笑顔で現われた。隊長はマリが来てとてもうれしそうな顔で大声をあげた。
「マリが来たぞ~」
マナ隊は隊長の合図とともに隊長や頭は馬から降りて、マリの前に集まり膝をついて
「マリ、我ら第4の護り人マナ隊はこれからあなたに忠誠を誓います。そして、時期
大君(王)になるひみゃこを護り、必ずやこの倭国を素晴らしい国に変えるようにあなたと共に戦います」
マリ達は昔の中世の騎士のような素振りで礼をするマナ隊にしばらく見とれてしまい、うれしそうに
「もちろん、これからよろしくね。みんな~」
マナ隊はほぼ全員が先日、マリに叩きのめされたが、殺さずに生かしてくれて、その時にとてつもない強さと優しい心とそのかわいらしい姿に感動して皆がマリに憧れていた。
だが、マリはそんなことには全然気づいてはいなかった。そしてバーミャが
「マリ、皆、出発の準備ができました」
マリはたくさんの部下がいることがとてもうれしいようで大声で
「さあ~て、みんな~出発するよ~」
「お~う!」
ドニーズはその合図を聞いてすぐに腰に装着していた銃コルトパイソンを握り、空高く1発撃った。
「ド~ン!」
静かな森全体が揺れているのではないかというぐらい大きな音が鳴った。
マナ隊は事前にドニーズが大きな音を出すことは聞いていたが、ここまで大きな音がするとは思っていなく、隊列が少し乱れ、歩兵は腰が抜けたように座り込んだ者もいた。
マナ隊長は笑いながら
「ワハハ、これは縁起がいいな、これほどまでの大きな音は聞いたことがない。すばらしい」
マリ達はなんでドニーズが銃を撃ったのかわからなかったが、マナ隊は隊列を整え出発した。その後ろで石森の村のみんなが手をあげて、見送っていた。
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