平和への使者

Daisaku

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倭国統一編

159話 はじまりの朝

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静まりかえった真っ暗な深い森に太陽の光が差し込み、青々ととした木々が輝くように広がっている中、昨日できた特殊金属で覆われたサターン製の家でマリとユウキは阿波の王宮へ行くために、打ち合わせをしていた。

「マリ、あいさつをするだけだよ。大君(王様)に何かしたら、大変なことになるからね」

「大変なこと?」

「そうだよ。大君をいきなり、殺したり、誘拐したりすると、悪い人間のレッテルが貼られ、だれもマリの話を聞いてくれなくなる。いつの時代もそうだけど、手順を踏んで、皆が納得する形で、大君を排除しなければ、今回の任務は成功しないよ」

イブは隣で話を聞いていて心配そうに

「マリ、どうもユウキと二人では心配だな。この時代の人間は年長者にはそれなり、礼節をわきまえているようだから、レナードを一緒に連れていった方がいいな」

レナードはベータワンが用意してくれた、カジュアルな服を着ながら驚いたように

「え、私が言っても、この時代の政治や習慣など、全くわからないから、行っても役にたちませんよ」

イブはあきれた顔で

「お前は元アメリカ大統領だろうが、どんな状況になろうが、人との対話にはたけているだろう。マリのサポートをしてやってくれ、わたしとドニーズはマナ隊に合流して、次の国、白石に向かわねばならない。それとも、お前はここで、1日中外の景色でもながめて、一生を終えるつもりか」

「まさか」

「だったら、ついて行ってくれ」

マリ達は皆、旅ができる、動きやすい服に着替えて準備を整えた。そして

「じゃあ、イブ、ドニーズ、マナ隊を頼むね。たぶん1時間ぐらいしたら合流できると思うから」

イブとドニーズは頷いた。

「ねえ、ユウキ王宮の場所はわかるの?」

「あ~わかるさ、地球の西暦や日付がわかれば、この世界での国や建物などはだいたい、記憶できているから」

「ふ~ん、すごいんだね。それじゃあ、大君(王)のいるところへ直接移動して、あまり余計な人に会うと面倒だから」

「了解、レナードも移動していいかい」

「はい、大丈夫です」

ユウキ達は体が赤く光りだし、阿波の王宮に向けて瞬間移動をした。イブとドニーズはマナ隊と合流するべく、マナ隊の合流地、石森の村へ向かった。


「マナ隊長!マリ達はまだ来ませんね。いったいどうしたんですかね。我々はも出発準備ができているというのに」

マナ隊長はすこしも動ずることなく、馬上で目を閉じながら、

「心配するな、あのマリが約束を破るわけあるまい、まだ、朝陽も完全に上がりきっていない、バーミャ各隊にしばらく待機して、マリ達が到着しだい、出発すると言ってこい」

「わかりました」

マナ隊は石森の村の出口に見事なほどの隊列を組み、マナ隊長を先頭に各隊がすぐに出発できる状態だった。バーミャは各隊に声をかけ、しばらく待機するように指示をだした。そして、突撃隊頭のハンがバーミャに話しかけてきた。

「バーミャ、マリの従者とかいうイブだが、西方の伝記にある、金髪の女性だと思うが、

どんな女性なんですか?」

「なんだ、お前、こんな朝っぱらから」

「昨晩は、イブと話せなかったので気になって、だいたい、マリはともかく、あんなかよわい女性が我が軍と一緒に王宮まで行くなんて大丈夫なんですか。しかも、あんなきれいな女性は私は見たことがありませんよ」

バーミャは自分もイブのことが気になっていたので驚いたように

「ワハハ、そうだな、私もお前と同じ気持ちだ。だがな、昨晩、ユウキと話したときにこんなことを言っておったぞ」

ハンはイブの話が聞けると思い、馬上から身を乗り出してバーミャの話を聞いた。

昨晩、石森の村で食事をしながら

「マリは信じられない強さダなユウキ」

「そうだな」

「あんなに若いのに、さすがにお前達をまとめる隊長だな。やはり、皆をまとめる隊長は一番強くないとな」

ユウキは首を傾げ

「別に、一番強くなくても、人柄や志す目標に共感できれば、皆はその人に付いていくものだと思うけど」

「そうか?一番強くなければ、皆はまとめられまい」

「う~ん、一番強いか~、まあ、マリはたしかに強いけど、僕たち仲間の中ではイブが一番力があり、強いかな~あいつがその気になればこの国なんか、一瞬で消してしまう力を持っているからな~」

バーミャはお腹をかかえて笑いだして

「ユウキ、私をからかっているのか?あんな美しい女性にそんな力があるわけあるまい」

「バーミャ、僕はうそはつかないよ。よし、信じられないなら、直接、イブのところに一緒にいこう」

ユウキはバーミャの手を引っ張ってマリとイブがマナ隊長と話しているところに行き

「お~い、マリちょっといいかな」

「どうしたの?ユウキ」

「バーミャが僕の話を信じないものだから、マリからもこいつに教えてあげてよ」

「何を教えるの」

「イブがかよわい美しい女性ではなく、悪魔のごとき恐ろしい力を持っていることをさ」

電気のない時代のため、焚火をして団を囲むように食事をしていたイブが急に立ち上がった、その様子は火のあかりがイブの怒りをさらに演出しているようだった。

「ユウキ、お前はいい加減にしろよ。毎回毎回、私を怒らせて、そんなに楽しいのか。

小言ばかり言って、たいして役にも立たないお前が偉そうなことを言うんじゃない」

「は?僕とマリは使命を果たす大切なパートナーだ。そこに急に割り込んできたのはお前だろ。もう少し、先輩である僕に敬意を示してほしいんだけどな」

マリはまた、この2人の言い争いが始まったと思い、立ち上がって大声で

「やめなさい!2人とも、村のみんなが用意してくれたこのすばらしい場所で、これ以上くだらないことを言っていると許さないわよ!」

ユウキとイブはびっくりして、言い争いをやめて、マリに謝った。その様子を見ていたマナ隊長は

「ハハハ、さすが、皆をまとめる隊長マリだ。一番強い者には、だれも逆らえないからな」

マリはマナ隊長の言葉に首を傾げ

「マナ隊長、私はイブに比べたら、ぜんぜん大したことないですよ。イブがその気になれば、この世界はあっというまに消えてしまいますから」

マナ隊長はびっくりして

「まさか、こんな美しい女性がそんなことできるわけあるまい」

「私はうそは言いませんよ。とにかく、イブを怒らせたら、大変なことになるから、

話をする時は丁寧に話をしてくださいね」

バーミャはさきほどユウキが話していたことをマリが同じように話したので、これはウソではなく、本当のことだと理解した。しかし、神様でもあるまいし、この世界を消すことができるなんて、とても信じられない気持ちだった。


「バーミャ、その話、本当ですか?」

「ウソをついてどうする。いいか、これから、気安くイブに話かけたり、間違っても自分の側女(そばめ)にしようだなんて考えるなよ。お前から各隊に通達して、徹底するように指示を出しといてくれ」
「わ・わかりました」

ハンはあの美しい女性にそんな力があるとは信じたくなかったが、あのマリまでが、認めていると言われては信じるしかなかった。そんなことを考えてる中、イブとドニーズが森の中から姿を現した。
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