平和への使者

Daisaku

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アメリカ1

113話 軍事分析管の力

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「お~い大介!ミーティングルームに行くぞ」

「はい、わかりました」

大介はおいしい朝食を食べ終わったところで

「ベータ、ありがとう、とてもおいしかったよ」

「そうか、それならば、お前もいい仕事をしろ、そしたら、もっとおいしものを作ってやる」

「ハハハ、できるだけ頑張ってみます」

そう言って、大介はユウキと情報部棟のミーティングルームに向かった。
ミーティングルームに入ると、治安情報局のみんなが席に付いていた。

「ユウキ、どうしたの?大介さんも連れてきて」

マリは大介が来たことに驚き、

「大将、私がここに呼んだんですよ。大介の知識が役に立つと思ったので」

エマは、あのマツ姉さんの孫なのだから
必ず、我々の強力な味方になってくれると
信じていた。

「そうですか、エマがそう言うなら、一緒に参加してください」

大介はマリが笑顔で迎えいれてくれたことが
うれしく、誇らしく思えて、
キリッとした顔で皆に挨拶をした。

「コホン、ボンジュール、松田 大介と言います。日本で自衛官をしております。よろしくお願いします」

「ダイスケは葉子の兄で日本で軍事分析官をしている大尉殿だ。今回の打ち合わせで、色々な意見をもらおうと思って参加させた、大介も気になることがあれば、どんどん意見してくれ」

エマは皆にダイスケの紹介をした。

「エマ、役に立つのか、ダイスケは?ボーっとしているようなら、私がビシビシ鍛えてやるからな」

ダイスケはユウキから聞いていた、性格の悪いイブに話しかけられたが、関わりたくないので
返事はしなかった。

「それじゃあ、はじめましょう。ドニーズ中尉、アメリカの要望事項の説明をお願い」

「了解、ドイツに続き、次は9月15日からアメリカです。今回は局長達が学校もあることから、挨拶程度の時間しか滞在できないため、フランスから局長から指示をいただき、ほぼ、我々、実行部隊がフルに働いてもらうようになります。皆には、事前に今回のアメリカの任務についての概要や、それぞれのおおまかな担当を指示しているが、本日は、アメリカの国防省の案件について、皆の意見をもらいたい」

「中尉、局長達が作成してくれたこの指示書に従って実行すればいいんじゃないか?なにか問題でもあるのか?」

実行部隊のリーダーカミーユ大尉が不思議そうな顔でドニーズ中尉を見た。

「ユウキさんからの指示もあり、軍事において攻撃的な武器や兵器の製造には加担しないが、自己防衛力を高める技術供与を行うとある。これが、世界のバランスを崩してしまうのではないかと危惧しているんだ」

エマは、ちょっとしたことで、国同士の戦争が起きてきたことを実際に見てきた経験から、とても心配するように話をしてきた。

「でも、防衛力なら、戦争をするにしたって、攻撃力が上がるわけでもないから、問題ないでしょ別に」

アンナ軍曹はユウキの能力に全幅の信頼を置いていた。

「まあ、そうなんだが、ただ、町全体、いや、この技術を応用すれば、国全体を電磁シールドで守れる技術供与は過剰だと言っているんだ」

「そういえば、ドイツでは、あまり軍事力UPにつながる要望がなかったな~」

マリは思い出したようにつぶやいた。その質問にユウキはすぐ答えた。

「ドイツは軍は存在するが、実際はNATO軍の司令官が実質ドイツ軍を統括しているから、軍事力増強については、国としてあまり興味を示さなかったんだよ」

「そうなんだ」

黙って、話を聞いている大介の様子を見ていたイブが

「おい、大介、お前もなにか言えよ。カカシじゃないんだから」

大介はうれしそうな顔つきで

「よろしいですか?私が話をしても」

マリもニコっと笑って

「もちろん、大介さん話してください」

「来たばかりで、皆さんの話に割り込んですみません。
ただいま、話にありました、防衛力の技術供与の件ですが、これは絶対にしてはいけません。
皆さんはご存じだと思いますが、アメリカは、現在、世界のリーダー的存在として、
本国だけでなく、世界のあらゆるところに首を突っ込み、
特に中東ではありもしない化学兵器があるとか、人的救済だとか言って、
治安悪化や内戦などを誘発させております。このような国がさらに強化されれば、
誰も止めることができなくなります。『攻撃は最大の防御なり』の言葉通り、
大変なことになると思われます」

「それじゃあ、お前はどうするのが良いと思うんだ?」

「ユウキさんやイブさんの星のように、まだ、地球人は、国で小さい時から受けた教育が
大きいですが、同じ人間なのに自分達の国が一番だと思い込み、他の種族を敵視するように
なっております。本来すべきことは1国が強くなることではなく、世界の人種や偏見を取り除き、
国という囲いを取り払い、この星で生きる人間が地球人という共通の家族になることが
重要だと思います。それには、まず、EUのような、共同体を世界で作り、少しずつ、
その囲いを取り外せるようになるのが、良いと思います。
この技術は世界の国を曇りのない目で見れるこの情報局で必要な時に使用することに
してほしいです」

「ふ~ん、お前は結構、まともなことを言うんだな」

「ハハハ、大介は随分、この世界の情勢を客観的な目で見ることができるんだな」

大介はイブやユウキにそう言われて、うれしかった。

「他に意見はない?}

マリはみんなを見渡した。

「ダイスケの言う通りでいいと思います。国防省には向こうが希望する技術供与ではなく、ドイツと同じく、他国や国内での行方不明者の捜索や、テロや暴動、犯罪者逮捕に協力する方向でいいと思います」

大介は思い出したように

「あっと、いけない、これはうわさですが、アメリカには宇宙人の情報収集に関する部署があるようで、特にユウキさんやイブさんは向こうに行ったら、身柄を拘束されないように十分に警護を強化してください。あまり、人目がないところには、絶対に行かないようにしてください、このフランスとは違って、ある意味危険な国でもありますから」

「それは、大丈夫だ。私はマリといつもベッタリだから、マリが必ず守ってくれるからな、ね~マリ」

「任せておいて、絶対にイブとユウキを守るわ。それに、ユウキがいつも周囲に危険がないか、見張っているから」

「それならば、いいんですが、僕の認識では、あの国は、特にマリさん、ユウキさん、イブさんの3人は事前にどのような人間なのか、調査するはずです。アメリカに行くまで、もう1か月を切っていますから、恐らく、もう近くまで、スパイか調査員、そうだなCIAあたりが、
近くにいるかもしれませんよ」

「お前も随分心配性だな。そんなことまでするか。普通、これから、国の様々な問題を手助けしてあげようとする我々を疑うようなことを」

ユウキはまじめな顔で

「イブ、それは違うな、もう5日ほど前から、この治安情報局を見張っているやつがいる、特に離れたところにいつもいるから、皆には言ってなかったけど」

「お前、そういうことは気づいたら、すぐに言えよ」

「フランス人のようだし、特に気にはならなかったからね」

「おい、ダイスケどう思う?」

「はい、恐らく、フランスの軍か、警察内部にいるフランス人がCIAの内通者でしょうね。この情報局の情報を事前に調べていることに間違いはないですね」

「そうなの。ユウキ、その人は今日も来てるの?」

「あ~正門から100mほど離れた車内にいるよ」

「わかった。とりあえず、方向性が決まったから、このミーティングはこれで終わりね。みんな~装備を揃えて、そのCIAの内通者を捕獲しに行くよ。10分後にまた、ここに集合、全員で車の廻りを押さえるわよ」

「了解!」

「大介さん、貴重なご意見ありがとう、ここからは危険だから、私達に任せて、それと、葉子さんは今日はお休みだから、兄妹でパリ観光でもしたら、葉子さんと仲良くしてあげてください」

「わかりました。マリさん、CIAがらみの人間は身体能力や銃の扱いなど、優れていますから、気をつけてくださいね」

「ありがとう、気をつけます」

マリ達は装備を固めて、ユウキの瞬間移動で、移動した。
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