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暗躍組織〈中東編2〉
90話 油断
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ホテル9階のトニーの部屋の前に、カミーユとアンナは来た。そして小さい声で
「大尉、ここです。トニーに、警戒されるとまずいので、私が最初に話します」
カミーユはうなずいて扉をノックした。
「トントン・・・」
しばらく待ったが出てくる様子がない、そこで、カミーユはユウキに通信で小さい声で
「ユウキさん、トニーは中にいますか?」
「ベットの上にナイフを2個携帯している者はいるよ」
「了解、ですが、警戒しているのか、でてきません。この扉を無理に開けるわけにもいきませんし」
そこでユウキが
「わかった。今、瞬間移動で室内に行き、室内から鍵をあける」
「お願いします」
ユウキはすぐにトニーがいる室内に瞬間移動した。そして、室内から扉をあけた。
「アンナ、あとはたのんだよ」
「了解」
ユウキはカミーユ達とすれ違いで廊下に出て、少し離れたところで待機した。
アンナは室内に入っていき、奥のベットで横になっているトニーに声をかけた。
「トニー、私よ、アンナよ」
アンナはトニーに呼びかけたが、全く反応がない、今はまだ、20時30分、寝るには早い、
何度も声をかけても、起きないトニーに、何かあったと思い大声で
「トニー!」
と叫んだ、トニーはベットの上で、死んでいるのではないかと思い、体をゆらして
起こそうとした。それを見ていた、カミーユが
「アンナ、おいアンナ、落ち着け、トニーは眠っているだけだ。死んでいないぞ」
アンナは少し落ち着いた様子で
「はあ~良かった。眠っているだけですか」
とホットした。
「でも、変だな、これだけ大きい声で体までゆすったのに起きもしないなんて」
普通の人でも起きそうなのに、ましてや、諜報員のトニーがこれで起きないのはおかしいと思い、通信で
「局長!トニーは薬か何かで眠らされています。暗殺者はもう、ここまで来ています!」
局員全員に緊張が走った、そして、すぐにマリが
「カミーユ、アンナ!すぐにその部屋から出て、これは罠よ!」
二人はその声を聞いて、トニーを抱えてすぐに廊下に飛び出した。
廊下の先にいた、ユウキにも
「ユウキさん、これは罠だ。早くここから離れて!」
その数秒後、トニーのいた部屋は
「バーン、バババ・・・ドドド・・・」
ものすごい爆音が起き、跡形もなく、吹き飛んだ。
それを向かいのホテルから見ていたマリは、大声で
「ユウキ~、カミーユ~、アンナ~」
と叫び、ホテルから信じられないスピードで向かいのビルに走っていた。
それを追いかけて
ベルナールや他のメンバーも、吹き飛んだ場所に救出のため、すぐさま駆け出した。
9階が吹き飛んだホテルはエレベーターも止まり、9階から最上階の15階にかけて、
炎が燃え上がり、真っ赤に燃え始めていた。
ホテルの廻りも騒然となり、たくさんの人がホテルから避難を始めていた。
マリはそんな人たちをひらひらとかわして、ホテル9階まで駆け上がった。
9階近く上がると煙がすごく、非常階段にユウキ達が重なるように倒れていた。
「みんな、大丈夫!」
マリは、もう訳が分からず、とにかく、皆のケガの状況を確かめた。
「トニーとアンナはかなりの火傷や裂傷で重症、カミーユもお腹と足に尖った建築下地材が
突き刺さり、血がとまらない状態、ユウキは少し離れていたせいか、軽傷だったが全員、
爆風の衝撃で意識がなかった」
マリは目から涙を流しながら、
「みんな、死なないで、すぐに病院につれていくから」
マリはカミーユの体からあふれ出る血を服で押さえるのが精一杯だった。
数分後、イブ達ももその場に駆けつけて、涙を流しながら、カミーユの血を押さえてるマリに
「マリ、マリ、落ち着いて、そんなことをしても、カミーユは助からないよ。ユウキを起こすしかない、こいつなら、完璧とはいかないが、ある程度の傷はいやすことができる、とりあえずこいつを起こさないと」
マリは、イブの声を聞いて、少し落ち着きを取り戻し、はっと思い出したように、
「ねえ、イブ」
「どうした、マリ」
「私もユウキと同じ、私用のクリスタルボールを持っているんだけど、けがを治すのに使えるかな」
イブはニヤッと笑い、
「使えるはずだ、その球を傷口にかざし、意識を集中して、直したい箇所をイメージして念じるんだ。マリならできるはずだ」
マリは必死に念じた、でも何も起きなかった。マリは、倒れているみんなの命が消えていくのを感じながら、涙が止まらなかった。そして、昔、おばあちゃんに教わったことが走馬灯のように頭をよぎった。
「マリ、集中力、これはとんでもない力がでるんだよ。どうやったら、集中力を高められるか、わかるかい」
その時のマリは幼く、顔を横に振って、さっぱりわからなかった。
「ほら、そこの地面にある水たまり、人がいつも踏んづけるから、ずっと濁ったままだろ」
「うん」
「でも、どうだい、あそこの水たまりは誰も踏まないで静かだから、表面の水がきれいだろ」
「うん」
「人間、世の中に生きていると、この汚れた泥水と一緒でいろんなことがあり、
毎日、毎日、グルグルかきまわされて、いつまでたっても、きれいな水にはならないんだよ、
だから、心を落ち着かせて、無心になることで、人の心はこの表面の水のように澄み渡り、
そこから本来の力が浮かびあがり、どんな力にも変えられんだよ。
本当に大変な時こそ、落ち着き、無心になれ、必ず力は湧き出てくる。必ず・・・」
そのことを思い出してすぐに球を持っているマリの手が赤く光りだした。
それが、球体に伝わり、ユウキの頭に光が届いた。
10秒ぐらいして、ユウキは脳内の損傷が癒えて、目をさました。
それを見て、イブが
「マリ!、やったぞ!ユウキが目覚めたぞ」
マリは閉じていた目をあけて、嬉しい声で
「ユウキ!良かった、本当に良かった、目覚めて」
ユウキは少しふらつきながら、起き上がり、
「マリが直してくれたのか、ありがとう」
そして、ユウキはカミーユ達を見て、
「まずい!、みんな危険な状態だ」
「葉子、すぐに、救急車を呼んでくれ!3人が重症だ。僕でもこんなひどいキズは完璧に治せない」
「わかったわ。連絡して、1階で待機、救急隊をここまで、連れてくるわ」
「おい、ベルナールすぐに救急箱かなにかを下に行ってもらって来てくれ」
「了解!」
「ドニーズとダニエルはアンナとトニーの体が重なっている、呼吸ができなくなっているから、静かに動かして、気道を確保しろ!」
「了解!」
「マリ、イブ、これから、カミーユの傷口を閉める、マリは腹、イブは足に刺さった物を僕の合図と共に静かに引き抜いてくれ」
さすがのイブもユウキの指示にすぐに従った。
「マリ、今だ、少しずつ抜いてくれ」
マリは力を入れすぎないように静かに振動を与えないように抜いていった。
「う~ん、抜けたよ」
「よ~し、いいぞ、次はイブだ。今だ!」
イブは力を入れたが、骨にも突き刺さっているためなかなか、抜けなかった。
「マリ、イブを手伝ってあげて」
「わかった」
イブは足を押さえて、マリは突き刺さった鉄棒を静かに引き抜いた。
「よし、抜けた!」
「いいぞ、シュ~」
と音を立てながら、カミーユの応急処置は終わった。
「次はトニーだ。気道内まで火傷が進んでいて、呼吸があまりできてないな」
ユウキは呼吸ができるように、すぐに球体をかざして、ある程度直すことができた。
よし、アンナも状況は一緒だな。ようやく全員の応急処置はおわったが、3人とも外傷のやけどがひどく、病院での治療を早く受けないと、まだ、危険な状態だった。
そして、できる限りの応急処置が一段落した時にユウキを見てマリが
「ユウキ、みんな、死なないよね?大丈夫だよね」
ユウキは頷いて、
「すぐに病院に行ければ、大丈夫だよ。火傷も病院での治療が済み回復すれば、僕がまた、傷跡をすべてきれいにすることができるから」
マリは自分が治安情報局の責任者になり、早く成果を出さなければいけないだとか、
みんなに仕事を与えなくてはいけないだとか、かなり、焦っていたことに反省した。
そして、まだ、15歳の少女であり、自分の判断があさはかで、
こんなことが起きてしまったことが悲しくてたまらなかった。
もし、爆発の現場に私がいれば、こんなことにはならなかったと後悔した。
そして、また、泣きながら、
「みんな、ごめんなさい、ダメな指揮官で」
「やめてくださいよ。局長、ここにいる、誰一人、局長のことを恨む奴なんかいませんよ。
みんな、局長やイブさんやユウキさんと心の底から一緒に仕事がしたくて
付いてきた連中なんですから、三人のお役に立って、
もし、死んだって、文句を言うやつなんて、ここにはいませんよ」
マリは、泣きながら
「ありがとう・・・」
と言った。
しばらくして、救急隊が駆けつけ、皆、病院に搬送された。
「大尉、ここです。トニーに、警戒されるとまずいので、私が最初に話します」
カミーユはうなずいて扉をノックした。
「トントン・・・」
しばらく待ったが出てくる様子がない、そこで、カミーユはユウキに通信で小さい声で
「ユウキさん、トニーは中にいますか?」
「ベットの上にナイフを2個携帯している者はいるよ」
「了解、ですが、警戒しているのか、でてきません。この扉を無理に開けるわけにもいきませんし」
そこでユウキが
「わかった。今、瞬間移動で室内に行き、室内から鍵をあける」
「お願いします」
ユウキはすぐにトニーがいる室内に瞬間移動した。そして、室内から扉をあけた。
「アンナ、あとはたのんだよ」
「了解」
ユウキはカミーユ達とすれ違いで廊下に出て、少し離れたところで待機した。
アンナは室内に入っていき、奥のベットで横になっているトニーに声をかけた。
「トニー、私よ、アンナよ」
アンナはトニーに呼びかけたが、全く反応がない、今はまだ、20時30分、寝るには早い、
何度も声をかけても、起きないトニーに、何かあったと思い大声で
「トニー!」
と叫んだ、トニーはベットの上で、死んでいるのではないかと思い、体をゆらして
起こそうとした。それを見ていた、カミーユが
「アンナ、おいアンナ、落ち着け、トニーは眠っているだけだ。死んでいないぞ」
アンナは少し落ち着いた様子で
「はあ~良かった。眠っているだけですか」
とホットした。
「でも、変だな、これだけ大きい声で体までゆすったのに起きもしないなんて」
普通の人でも起きそうなのに、ましてや、諜報員のトニーがこれで起きないのはおかしいと思い、通信で
「局長!トニーは薬か何かで眠らされています。暗殺者はもう、ここまで来ています!」
局員全員に緊張が走った、そして、すぐにマリが
「カミーユ、アンナ!すぐにその部屋から出て、これは罠よ!」
二人はその声を聞いて、トニーを抱えてすぐに廊下に飛び出した。
廊下の先にいた、ユウキにも
「ユウキさん、これは罠だ。早くここから離れて!」
その数秒後、トニーのいた部屋は
「バーン、バババ・・・ドドド・・・」
ものすごい爆音が起き、跡形もなく、吹き飛んだ。
それを向かいのホテルから見ていたマリは、大声で
「ユウキ~、カミーユ~、アンナ~」
と叫び、ホテルから信じられないスピードで向かいのビルに走っていた。
それを追いかけて
ベルナールや他のメンバーも、吹き飛んだ場所に救出のため、すぐさま駆け出した。
9階が吹き飛んだホテルはエレベーターも止まり、9階から最上階の15階にかけて、
炎が燃え上がり、真っ赤に燃え始めていた。
ホテルの廻りも騒然となり、たくさんの人がホテルから避難を始めていた。
マリはそんな人たちをひらひらとかわして、ホテル9階まで駆け上がった。
9階近く上がると煙がすごく、非常階段にユウキ達が重なるように倒れていた。
「みんな、大丈夫!」
マリは、もう訳が分からず、とにかく、皆のケガの状況を確かめた。
「トニーとアンナはかなりの火傷や裂傷で重症、カミーユもお腹と足に尖った建築下地材が
突き刺さり、血がとまらない状態、ユウキは少し離れていたせいか、軽傷だったが全員、
爆風の衝撃で意識がなかった」
マリは目から涙を流しながら、
「みんな、死なないで、すぐに病院につれていくから」
マリはカミーユの体からあふれ出る血を服で押さえるのが精一杯だった。
数分後、イブ達ももその場に駆けつけて、涙を流しながら、カミーユの血を押さえてるマリに
「マリ、マリ、落ち着いて、そんなことをしても、カミーユは助からないよ。ユウキを起こすしかない、こいつなら、完璧とはいかないが、ある程度の傷はいやすことができる、とりあえずこいつを起こさないと」
マリは、イブの声を聞いて、少し落ち着きを取り戻し、はっと思い出したように、
「ねえ、イブ」
「どうした、マリ」
「私もユウキと同じ、私用のクリスタルボールを持っているんだけど、けがを治すのに使えるかな」
イブはニヤッと笑い、
「使えるはずだ、その球を傷口にかざし、意識を集中して、直したい箇所をイメージして念じるんだ。マリならできるはずだ」
マリは必死に念じた、でも何も起きなかった。マリは、倒れているみんなの命が消えていくのを感じながら、涙が止まらなかった。そして、昔、おばあちゃんに教わったことが走馬灯のように頭をよぎった。
「マリ、集中力、これはとんでもない力がでるんだよ。どうやったら、集中力を高められるか、わかるかい」
その時のマリは幼く、顔を横に振って、さっぱりわからなかった。
「ほら、そこの地面にある水たまり、人がいつも踏んづけるから、ずっと濁ったままだろ」
「うん」
「でも、どうだい、あそこの水たまりは誰も踏まないで静かだから、表面の水がきれいだろ」
「うん」
「人間、世の中に生きていると、この汚れた泥水と一緒でいろんなことがあり、
毎日、毎日、グルグルかきまわされて、いつまでたっても、きれいな水にはならないんだよ、
だから、心を落ち着かせて、無心になることで、人の心はこの表面の水のように澄み渡り、
そこから本来の力が浮かびあがり、どんな力にも変えられんだよ。
本当に大変な時こそ、落ち着き、無心になれ、必ず力は湧き出てくる。必ず・・・」
そのことを思い出してすぐに球を持っているマリの手が赤く光りだした。
それが、球体に伝わり、ユウキの頭に光が届いた。
10秒ぐらいして、ユウキは脳内の損傷が癒えて、目をさました。
それを見て、イブが
「マリ!、やったぞ!ユウキが目覚めたぞ」
マリは閉じていた目をあけて、嬉しい声で
「ユウキ!良かった、本当に良かった、目覚めて」
ユウキは少しふらつきながら、起き上がり、
「マリが直してくれたのか、ありがとう」
そして、ユウキはカミーユ達を見て、
「まずい!、みんな危険な状態だ」
「葉子、すぐに、救急車を呼んでくれ!3人が重症だ。僕でもこんなひどいキズは完璧に治せない」
「わかったわ。連絡して、1階で待機、救急隊をここまで、連れてくるわ」
「おい、ベルナールすぐに救急箱かなにかを下に行ってもらって来てくれ」
「了解!」
「ドニーズとダニエルはアンナとトニーの体が重なっている、呼吸ができなくなっているから、静かに動かして、気道を確保しろ!」
「了解!」
「マリ、イブ、これから、カミーユの傷口を閉める、マリは腹、イブは足に刺さった物を僕の合図と共に静かに引き抜いてくれ」
さすがのイブもユウキの指示にすぐに従った。
「マリ、今だ、少しずつ抜いてくれ」
マリは力を入れすぎないように静かに振動を与えないように抜いていった。
「う~ん、抜けたよ」
「よ~し、いいぞ、次はイブだ。今だ!」
イブは力を入れたが、骨にも突き刺さっているためなかなか、抜けなかった。
「マリ、イブを手伝ってあげて」
「わかった」
イブは足を押さえて、マリは突き刺さった鉄棒を静かに引き抜いた。
「よし、抜けた!」
「いいぞ、シュ~」
と音を立てながら、カミーユの応急処置は終わった。
「次はトニーだ。気道内まで火傷が進んでいて、呼吸があまりできてないな」
ユウキは呼吸ができるように、すぐに球体をかざして、ある程度直すことができた。
よし、アンナも状況は一緒だな。ようやく全員の応急処置はおわったが、3人とも外傷のやけどがひどく、病院での治療を早く受けないと、まだ、危険な状態だった。
そして、できる限りの応急処置が一段落した時にユウキを見てマリが
「ユウキ、みんな、死なないよね?大丈夫だよね」
ユウキは頷いて、
「すぐに病院に行ければ、大丈夫だよ。火傷も病院での治療が済み回復すれば、僕がまた、傷跡をすべてきれいにすることができるから」
マリは自分が治安情報局の責任者になり、早く成果を出さなければいけないだとか、
みんなに仕事を与えなくてはいけないだとか、かなり、焦っていたことに反省した。
そして、まだ、15歳の少女であり、自分の判断があさはかで、
こんなことが起きてしまったことが悲しくてたまらなかった。
もし、爆発の現場に私がいれば、こんなことにはならなかったと後悔した。
そして、また、泣きながら、
「みんな、ごめんなさい、ダメな指揮官で」
「やめてくださいよ。局長、ここにいる、誰一人、局長のことを恨む奴なんかいませんよ。
みんな、局長やイブさんやユウキさんと心の底から一緒に仕事がしたくて
付いてきた連中なんですから、三人のお役に立って、
もし、死んだって、文句を言うやつなんて、ここにはいませんよ」
マリは、泣きながら
「ありがとう・・・」
と言った。
しばらくして、救急隊が駆けつけ、皆、病院に搬送された。
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