平和への使者

Daisaku

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暗躍組織

75話 サターン人の捜査

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パリ3区、おしゃれなカフェやお店がたくさんあり、有名なアーティストが多く住む街でもある。美術を好むマリにはたまらない環境でもある。

「着きましたよ」

「うわあ、すごいところだね。昔の面影を残すこの街、すごいね、こんなところに私も住んでみたいな~」

「マリ、今日は遊びきたんじゃないから、今度、時間がある時に私と一緒に行こうよ」

「そうだったね。今日は仕事だもんね」

古めかしい、オスマン様式アパルトマン建物の1室がこの女性の住まいで、ドニーズ中尉とイブは中に入っていった。

「ボンジョール、連絡していた、治安情報局のドニーズ中尉です」

「は~い、お待ちしてました」

女性は身長170cmぐらいの20歳前半ぐらいで、イブとは少し違う金髪でも濃いめの美しい女性だった。室内に入ると、女性一人暮らしのようで、広くない部屋を整理整頓されていて、インテリアなど、とても雰囲気のいい室内だった。

「今日は、お時間をいただきありがとうございます。大変な思いをされて、また、犯人について聞かせていただきますが、ご協力ください。これから、こちらのイブが事件の犯人についてお聞きしますので」

「はい、わかりました。これから、また、あんなこわい思いをする方がいなくなるように
協力させてもらいます」

イブは室内をぐる~と見渡して、

「ねえ、あなた、星に興味があるの?」

女性は事件と全く関係ない話をしてくるイブに驚いたように

「はい、そこに貼ってあるのは、この銀河系の想像図です。それと、私は星が見るのが好きなので、よく、この望遠鏡で郊外へ行って星を観察するのが趣味なんです」

「ふ~ん、こんな望遠鏡で覗くのが楽しいのかあ、なるほどね~」

「あなたも、興味があるんですか?」

「私は、あまり興味はないわ。この銀河系なら、ほとんど、理解しているから、まあ、わたしの主人もあなたのように星が好きだから、あなたと気が合うんじゃないかしら」

「そうですか~、星が好きな方なら、今度、一緒に星の観察に誘いたいわ」

「いいわよ。聞いてみるわ」

ドニーズ中尉は事件と関係ない話をしているイブに

「イブさん、星の話でなく、事件の話をよろしくお願いします。こちらの女性はあまり、時間がないようなので」

「そうだったわね。それじゃあ、え~と、お名前はなんでしたっけ?」

「私はノエラと言います」

「じゃあ、ノエラ、そこのイスに座って、リラックスして目を閉じてくれる」

取り調べなのにノエラは妙なことをいう、イブに違和感を感じながらも、その指示に従った。

「ちょっと、頭にさわるわよ。ノエラ、あの事件当時のことを思い浮かべてくれる」

「はい、わかりました」

イブの手が赤~く光りだした。

「いいわよ。それでは、できるだけ、犯人の姿を思い出して~」

しばらくして、イブが

「犯人の顔に集中して~」

さらにイブの手が赤く光った。そして

「はい、OK」

ノエラは目を開けて、イブを見た。

「ありがとう、ノエラ、犯人の姿、顔の表情まで、完璧に見ることができたわ」

ノエラはこの数分ぐらいで、何が見えたのか、不思議そうな顔をしているとイブは

「それでは、ノエラ、お邪魔したわね。私達は帰るわ」

ドニーズ中尉がびっくりした態度で

「イブさん、もういいんですか」

「事件の状況や、武器の種類、服装、犯人の身長や顔の表情まで、完璧にわかったわ」

中尉は話には聞いていたが、こんな短時間でここまでわかるなんて、信じられないし、さすが、いつも、偉そうなことを言うだけのことはあるなと感心した。

「それでは、ノエラさん、お邪魔しました」

「もう、よろしんですか?」

「またね、ノエラ、あ、そうだ、そんな偽物の銀河系のポスターはがしなさい。ぜんぜん違わよ。それ、色も形も、地球の科学技術は本当にお粗末ね。今度、私が正しい物をあげるから」

ノエラは何を言ってるの?とイブを見つめた。それを聞いていた、ドニーズ中尉は、

「すみません。この人、たまに変なことをいうくせがあるんです。気にしないでください」

中尉は苦笑いをしながら、ノエラ宅を出た。

「あんた、私を押さないでよ。それと、わたしはウソななど言っていないわ」

「わかっていますよ。イブさんがすごい方なのは、でも、あなたの正体がばれるとマリに危険が及ぶことや、マリがあんなに毎日、楽しく通っている学校にも行けなくなるんですよ。いいんですか」

「わかったわよ。これから、気を付けるわ」

そしてイブはこれからの行動を探偵のようにイメージしていた。家から出てきたイブ達を
外で、待機していたマリ達が思ったより、早く出てきたので

「早かったね、わかったのイブ?」

「え~バッチリです。これから帰って犯人の姿をPCソフトで再現します。中尉、急いで帰ろう」

「了解!」

マリはこのパリ3区から、後ろ髪を惹かれるるような思いで、治安情報局に向かった。
イブは帰りの車で、すぐに局にいるダニエル中尉に連絡した。

「ダニエル、今日は休みか?いいえ、今日はイブさんが調査に行くことを聞いてましたから、
局で連絡をお待ちしてましたよ」

「よ~し、いいぞ、これから、そっちに帰るが、お前は政府の管理している、顔認証システムは使えるのか?」

「あの、リアルタイムで顔認証をして、現在位置を特定させるやつですね」

「そうだ」

「はい使えます。アクセス認証コードはユウキさんが、気をきかせて、それも一緒に手配してくれましたから」

イブは基本的にユウキは嫌いだが、頭脳や行動の良さはさすがムー人だと思った。そしてユウキの顔を見たら、どうだすごいだろ、という顔をしたので、無視をしてまた話し出した。

「私がお前が組み込んでくれた、ピクチャーソフトで犯人の顔や姿を正確に再現すれば、その認証ソフトを連動して、捜索は可能か?」

「フフフ、当たり前じゃないですか。そのためにイブさんのPC専用に組みこんだんですから」

「いいぞ、それと、カミーユ大尉達も今日はいるのか」

「はい、皆、ここで待機中です」

「よしわかった。帰ったら、すぐに捜索開始だ。みな準備させておけ」

「了解」

マリとユウキは隣で、テキパキと指示をするイブを見て、やはり、たくさんの人の上に立っていたという、第一執政官だったというのは、本当だったんだな~とつくづく思ってしまった。
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