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しづこの苦悩「番外編2」
番外編 1
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山梨県内の松田家所有の大きな敷地内に居住棟と分けられた生活するための建物がある。ここは祥子が使用する場所で土地は2000坪、祥子邸宅の家は建坪でもざっと150坪ほどある。ここには、使用人が2人いて、その他に、武道のコーチや家庭教師の先生なども専属でおり、学校の近くまでは、送り迎えなど専属ドライバーもいる。
敷地内の森林が静かな春風に揺られ、小鳥たちの楽しそうな小さな鳴き声が聞こえてきたところ松田祥子は目を覚ました。大きな西欧風のカーテンの隙間からまぶしいばかりの太陽の日差しが部屋に入ってきた。30帖以上ある大きな寝室のベットから大きなあくびをして、起き上がった。
祥子は毎日、朝6時に起床、7kmのジョギングと室内に完備しているスポーツジムで30分汗をかく。また、学校から帰宅後は武道館で専属コーチと2時間、その後、お風呂に入り、夕食、その後、家庭教師と1時間、そして自主勉強が2時間というのが日課となっていた。
朝の運動が終わり、
「祥子さん、朝食の準備ができています」
「ありがとう、大竹さん」
「あら、いつもだけど、今日もとってもおいしいわ。ねえ、佐島さんいるかしら、ちょっと呼んできてもらえるかしら」
「わかりました。少々お待ちください」
しばらくして、佐島が慌てて歩いてきて
「すみません。お食事がお口に合わなかったでしょうか?」
「違います。いつも通り、とってもおいしいし、いつも大竹さんとお世話していただいて
大変、感謝しています。今日の放課後はクラスメイトの自宅に伺うので、帰りが少し遅くなるのと、夜は外で食べてきますので、佐島さんは午後はお休みしてください」
「はい、承知しました」
「あと、こんなことを伺うのは大変失礼で申し訳ないんですけど、お聞きしたいことがあるんですけど」
「はい、何でもおっしゃってください」
「大竹さんも佐島さんもまだ、お若くて、ご結婚はされてないようですけど、お二人が高校生の時はどのような生活をされてましたか」
「え~と、どのようなと言いましても、普通の生活でしたけど」
「あの、今日の放課後にクラスメイトの家に伺うんですけど、諸事情があり、お父様と
お母さまが仲が悪く、クラスメイトはお母さまとは仲がよく、同じくお父様とは仲が悪いのですが、こういった場合、ご家族3人と冷静にお話をしたいと考えた場合、どんなアプローチの仕方が良いと思いますか?ごめんなさい、朝からこんな重い話」
二人は少し考えて大竹より2歳年上で26歳の佐島が
「まず、お父様に早めに話をしたいことを伝え、時間を決めることと、どんなことを相談したいのか事前に伝えておくことが重要だと思います」
「そうよね」
「それと、部外者である祥子さんは絶対にその場にいてはいけません。もし、行かれるのなら、お友達のお部屋で待機していただき、万が一、暴力やもめごとがあった場合にお助けにいかれるのが良いと思います」
隣で大竹がウンウンと頷いていた。
「でも、そのお父様がとんでもないお方で、もうお会いしたくないと思うような人でしたら、打ち合わせ・相談前に必要な荷物もサッサと出してしまったほうが良いかもしれません。
今は、夜逃げ専門の引っ越しや、離婚届け代行人のような会社もありますから、とにかく、しっかりと1回は話をしたほうがいいと思います」
「佐島さんは色々詳しいですね」
「いやあ、お昼のワイドショーとか、テレビでこういうのよくやってますから、お昼休みに
大竹さんとつい、見ちゃうんですよ」
佐島は大竹のほうを見て笑ったが、祥子さんの前でそういう話はしないでほしいといった顔つきで大竹は佐島を少し睨みつけた。
「ふ~、なるほど。私は朝のニュースぐらいでぜんぜんテレビは見ないからな、なるほど、そんな内容のテレビもやってるんですね。今度、面白い番組あったら録画して見せてください。
勉強になると思うので」
「祥子さんが見るような番組ではないですよ。絶対!そんな番組見せたら、マツ会長が目くじら立てて怒りますよ」
大竹は佐島がベラベラと余計なことを言ってしまったので、一生懸命、火消し係に徹した。
「とにかく、ありがとう。今日は自分にできることを頑張ってみるわ」
そう言って、祥子は車で学校に向かった。
「しづこ~、おはよう」
「おはようございます。祥子さん」
しづこは、とても元気のない声であいさつをした。
「今日は、しづこの家に行く日よね。学校が終わったら一緒に行きましょう」
「祥子さん、よろしくお願いします」
「それで、お母さんに援助の話してくれた?」
「はい、あれからすぐにしました。最初は断っていたんですけど、長い時間がかかっても必ず、ご援助いただいたお金はお返しするということならと言ってました」
「そう、返済よりも今はこれからの生活のことを考えなきゃね」
「それで、今日はお父様と何時ぐらいに話をすることになっているの」
「お父さんは最近、いろいろな事があり、帰りが遅いんですけど、今日は19時に帰ってくるからその時に話は聞くということになりました」
「わかったわ。私は、しづこの部屋にでも待機しているから、何かあったら呼んでね」
「はい、はい・・・わかりました。ありがとうございます」
しづこはまた、目に涙を浮かべた。祥子はしづこの肩を軽くさわって教室に行くようにうながした。
祥子は教室に行く前にしづこの様子を察し、無駄になってしまうかもしれないが、松田グループの運搬関係を担当している大島部長に相談して、引越用のトラックを2台今晩用意するように手配した。
そして放課後になり、しづこと一緒に帰るところに飯沢が走って近づいてきた。
「祥子~待ってくれよ。今日だろ、運命の日は」
ギロっと飯沢を睨みつけて
「飯沢!遊びじゃあないんだよ。しづこがこんなに元気がないのに、少しは気を使いなよ」
「ごめん、ごめん」
祥子たちが校舎を出て車の待機場所まで歩いていると飯沢がずっと後ろからついてきた。
「ついてこないでくれる。飯沢君」
「心配だから、僕も一緒に行くよ。うちもさあ、母さんいないし、父さんは単身赴任でフランスだし、家に帰っても僕は一人だしさ」
「大丈夫よ。飯沢君がいなくても」
「でも、両親がいないさびしさや、新しい生活なんか、僕なりに相談に乗れるしさ、とにかく、協力したいんだよ」
「飯沢君、ありがとう、あまり、きれいな家じゃないけど、来てくれると心強いな」
「いいの、しづこ」
「うん、だって、私の高校の友達ってマリを含めてここいる人だけだから、もう、あの学校もいつまで通えるかわからないし、少しでも友達と一緒にいたいんだ・・・」
そう言われると何も言えず、校舎外に待機している車に3人は乗り込んだ。
敷地内の森林が静かな春風に揺られ、小鳥たちの楽しそうな小さな鳴き声が聞こえてきたところ松田祥子は目を覚ました。大きな西欧風のカーテンの隙間からまぶしいばかりの太陽の日差しが部屋に入ってきた。30帖以上ある大きな寝室のベットから大きなあくびをして、起き上がった。
祥子は毎日、朝6時に起床、7kmのジョギングと室内に完備しているスポーツジムで30分汗をかく。また、学校から帰宅後は武道館で専属コーチと2時間、その後、お風呂に入り、夕食、その後、家庭教師と1時間、そして自主勉強が2時間というのが日課となっていた。
朝の運動が終わり、
「祥子さん、朝食の準備ができています」
「ありがとう、大竹さん」
「あら、いつもだけど、今日もとってもおいしいわ。ねえ、佐島さんいるかしら、ちょっと呼んできてもらえるかしら」
「わかりました。少々お待ちください」
しばらくして、佐島が慌てて歩いてきて
「すみません。お食事がお口に合わなかったでしょうか?」
「違います。いつも通り、とってもおいしいし、いつも大竹さんとお世話していただいて
大変、感謝しています。今日の放課後はクラスメイトの自宅に伺うので、帰りが少し遅くなるのと、夜は外で食べてきますので、佐島さんは午後はお休みしてください」
「はい、承知しました」
「あと、こんなことを伺うのは大変失礼で申し訳ないんですけど、お聞きしたいことがあるんですけど」
「はい、何でもおっしゃってください」
「大竹さんも佐島さんもまだ、お若くて、ご結婚はされてないようですけど、お二人が高校生の時はどのような生活をされてましたか」
「え~と、どのようなと言いましても、普通の生活でしたけど」
「あの、今日の放課後にクラスメイトの家に伺うんですけど、諸事情があり、お父様と
お母さまが仲が悪く、クラスメイトはお母さまとは仲がよく、同じくお父様とは仲が悪いのですが、こういった場合、ご家族3人と冷静にお話をしたいと考えた場合、どんなアプローチの仕方が良いと思いますか?ごめんなさい、朝からこんな重い話」
二人は少し考えて大竹より2歳年上で26歳の佐島が
「まず、お父様に早めに話をしたいことを伝え、時間を決めることと、どんなことを相談したいのか事前に伝えておくことが重要だと思います」
「そうよね」
「それと、部外者である祥子さんは絶対にその場にいてはいけません。もし、行かれるのなら、お友達のお部屋で待機していただき、万が一、暴力やもめごとがあった場合にお助けにいかれるのが良いと思います」
隣で大竹がウンウンと頷いていた。
「でも、そのお父様がとんでもないお方で、もうお会いしたくないと思うような人でしたら、打ち合わせ・相談前に必要な荷物もサッサと出してしまったほうが良いかもしれません。
今は、夜逃げ専門の引っ越しや、離婚届け代行人のような会社もありますから、とにかく、しっかりと1回は話をしたほうがいいと思います」
「佐島さんは色々詳しいですね」
「いやあ、お昼のワイドショーとか、テレビでこういうのよくやってますから、お昼休みに
大竹さんとつい、見ちゃうんですよ」
佐島は大竹のほうを見て笑ったが、祥子さんの前でそういう話はしないでほしいといった顔つきで大竹は佐島を少し睨みつけた。
「ふ~、なるほど。私は朝のニュースぐらいでぜんぜんテレビは見ないからな、なるほど、そんな内容のテレビもやってるんですね。今度、面白い番組あったら録画して見せてください。
勉強になると思うので」
「祥子さんが見るような番組ではないですよ。絶対!そんな番組見せたら、マツ会長が目くじら立てて怒りますよ」
大竹は佐島がベラベラと余計なことを言ってしまったので、一生懸命、火消し係に徹した。
「とにかく、ありがとう。今日は自分にできることを頑張ってみるわ」
そう言って、祥子は車で学校に向かった。
「しづこ~、おはよう」
「おはようございます。祥子さん」
しづこは、とても元気のない声であいさつをした。
「今日は、しづこの家に行く日よね。学校が終わったら一緒に行きましょう」
「祥子さん、よろしくお願いします」
「それで、お母さんに援助の話してくれた?」
「はい、あれからすぐにしました。最初は断っていたんですけど、長い時間がかかっても必ず、ご援助いただいたお金はお返しするということならと言ってました」
「そう、返済よりも今はこれからの生活のことを考えなきゃね」
「それで、今日はお父様と何時ぐらいに話をすることになっているの」
「お父さんは最近、いろいろな事があり、帰りが遅いんですけど、今日は19時に帰ってくるからその時に話は聞くということになりました」
「わかったわ。私は、しづこの部屋にでも待機しているから、何かあったら呼んでね」
「はい、はい・・・わかりました。ありがとうございます」
しづこはまた、目に涙を浮かべた。祥子はしづこの肩を軽くさわって教室に行くようにうながした。
祥子は教室に行く前にしづこの様子を察し、無駄になってしまうかもしれないが、松田グループの運搬関係を担当している大島部長に相談して、引越用のトラックを2台今晩用意するように手配した。
そして放課後になり、しづこと一緒に帰るところに飯沢が走って近づいてきた。
「祥子~待ってくれよ。今日だろ、運命の日は」
ギロっと飯沢を睨みつけて
「飯沢!遊びじゃあないんだよ。しづこがこんなに元気がないのに、少しは気を使いなよ」
「ごめん、ごめん」
祥子たちが校舎を出て車の待機場所まで歩いていると飯沢がずっと後ろからついてきた。
「ついてこないでくれる。飯沢君」
「心配だから、僕も一緒に行くよ。うちもさあ、母さんいないし、父さんは単身赴任でフランスだし、家に帰っても僕は一人だしさ」
「大丈夫よ。飯沢君がいなくても」
「でも、両親がいないさびしさや、新しい生活なんか、僕なりに相談に乗れるしさ、とにかく、協力したいんだよ」
「飯沢君、ありがとう、あまり、きれいな家じゃないけど、来てくれると心強いな」
「いいの、しづこ」
「うん、だって、私の高校の友達ってマリを含めてここいる人だけだから、もう、あの学校もいつまで通えるかわからないし、少しでも友達と一緒にいたいんだ・・・」
そう言われると何も言えず、校舎外に待機している車に3人は乗り込んだ。
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