平和への使者

Daisaku

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進学と出会い

27話 世界の運命

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「何だい、ずいぶんと楽しそうじゃないか」

マツは孫3人に向かって、少し苛立ちながら話した。

「おばあさま、先ほどは、マリさんとのお話し中に割り込むようなことをして申し訳ありませんでした。どうしてもマリさんのことで確認したいことがあったので」

大介は恐る恐る、丁寧な言葉を使った。

「まあ、いいよ、こうして、マリさんに出会えたんだ。それにしても、三人が揃うなんて珍しいじゃないか。
仲良く楽しそうにしていて、いいじゃないか」

「おばあさま、兄さんが防衛大学での面白い
都市伝説みたいな話をして、私達を笑わせたんですよ」

「都市伝説?」

「いえいえ、おばあさまに話をするようなことじゃないですよ」

「私は、先が短いんだ、そうやってもったい付けるようなことを言うんじゃないよ」

大介はおばあさまは、どんなことでも、誰からでも、自分が気になることは徹底的に確認しないと気が済まない方であることを思い出した。
そして、祥子たちに話したことをまた、ここで話した。話が終わり、ユウキは隣でクスクスと笑っていたが、マツは機嫌が良かったさっきから一変して、体中が震えだすくらい怒り出した。

「ふざけたことを言っているんじゃないよ。あんた達!」

1階のホールにその声は大きく響き渡った。

「どうされたんですか?おばあさま」

祥子や大介はおばあさまがこんなに怒った姿を見たことがなく、驚いていた。葉子は私は違いますと言いたかったが

マツは「はあはあ・・・」と息切れをしながら

「マリさん、姐さんの名誉のため、そして、この子たちをマリさんの協力者にするために
ここは、思いっきり話をさせてもらいますよ」

マリは自分のおばあちゃんと長い間、一緒に戦い、苦楽を共にしてきたマツの言葉に小さく頷いた。
マツは大きい声を出したせいか、ちょっと立ち眩みがしてソファに腰をかけて受付の秘書に皆の飲み物を頼んで、その飲み物をゴクリと飲み、少し落ち着きを取り戻した様子で話を始めた。

「この松田グループがあるのも、私がここにいるのも、全部、ヤエさんのおかげなんだ。そして、大介、あんたが孫でなかったら、
ぶんなぐっているところだけど、あんたが言っていることは何一つ、間違っちゃあいないよ。
それとまずはその酔っぱらって秘密を話した、上官の名前を教えな。
秘匿情報漏洩の罪でしかるべきところに送還するから」

マツは厳しい顔をして、ここにいるみんなの顔を見ながら、さらに話し続けた。

「いいかい、これから言うことは、絶対に関係のない人に話しちゃあいかんよ。小さなことでも情報が漏れると、マリさんやこれから秘密を知るあんた達にも危害が及ぶかも知れないからね」

「おばあさま、さきほど、マリの協力者と言いましたが、わたくしは、遠慮しておきます、武術は確かに秀でてますけど、学力や普段の立ち振る舞い、容姿に至るまで、どう見ても総合的にはわたくしの方が優れていますもの」

祥子は自信満々の顔でそう答えた。

「はあ~、昔もたくさんいたよ。そうやって自分を過大評価する、バカ連中が」

マツはあきれた顔で祥子を睨みつけた。

「いいかい、祥子、あんたは何もわかっちゃいない。頭がいいの本当の意味を」

「本当の意味?」

大介や葉子も昔、おばあさまから、そのことを
よく言い聞かせられていたので祥子の気持ちも痛いほどわかっていた。

「あの戦争、なんで負けたかわかるかい。
あんたみたいな連中がたくさんいたから負けたんだよ」

祥子はおばあさまが何を言っているのか、さっぱりわからなかった。

「今も、たまにテレビなんか見ると、よくいるね。評論家や、教授、政治家、芸能人なんかが多いね、いいかい、どんなに知識があっても、どんなに容姿が良くても、それを生かさなければなんにもならないいだよ」

祥子は頭をかしげた。

「知識がある、容姿がいい、それは本当にすばらしいことだよ。でも、そのことだけに固執して、なんの実績も責任のない者が話しても、
くだらない人間なんだよ。その知識を生かし、たくさんの人を動かし、そして目標を達成して、国民や世界の人たちを幸せにできる人が
本当の頭のいい人だよ。特にたくさんの人たちをやる気にさせ、リーダーシップを発揮できる人はなかなかいない」

祥子はおばあさまがこんなに私に向かって話をしてくれることはないので、
言葉ひとつももらさずに一生懸命に話を聞いた。

「わたしも、よく、巷ではケチな資産家だとか、がめついババアだとか言われているけど、
世界でもわたしほど、たくさんの人を助けている人間はいないと思うよ。
さっきも言ったけど芸能人や資産家など、よくお金を国や地方自治体に寄付をしているけど、そのお金はそこの赤字などお金のたらない部署に回され、実際にに困っている人になんか、ほとんど活用されない。
特に海外の貧しい国にお金や物資を送ると、その地域を支配している、悪い者たちの資金になり、さらに格差が生まれ、さらに国民は貧しくなるなんてこともある。
わたしは直接、
そこにいる方達がどんなことを援助してほしいか分析して、その物資を直接本人に渡している、だから、お金だけの寄付なんて絶対にしない、いいか、こうやって、どんなことにもうわべだけでなく、実績や責任というのはこうやって生まれるんだ」

祥子はおばあさまの言いたいことがわかってきていた。
祥子はまだ未熟だが基本的にマツゆずりで理解する能力はずばぬけているのだ。

「集合体である学校の勉強だけで、良い大学に入り、良い就職先に入る、悪くない話に聞こえるが、実際は勉強ができるだけのこと。
勉強だけできても、人は動かないし、お客様から仕事ももらえない、ましてや、どこで、どんなことが起きて、どういうことをすればよいか、独立した考えもない。会社からの指示通りに動くロボットに成り下がってしまうんだよ。
そんな連中が組織のトップにいっぱいいたら、
自分のことばかり良ければいいという考えが生まれ、先の大戦でも陸軍だの海軍だの天皇派だの、各軍でも関東軍などいろいろな連中が自分勝手な行動を取り、現場を知らない勉強だけができる人間が上層部には多いから、
自分の命令で人が死のうが、たいして気にもしない連中が多く、なにかにつけて、天皇陛下そして、日本帝国のために命を捨てて戦えと連呼する。これこそがバカな連中の極めつけだよ。
まあ、まともな人もいたけどな」

マツは一度熱くなると、自分の考えを理解してもらおうと必死になってしまう。

「いいかい祥子、これから話すことは世界を救う大事なこと、小さなことでいがみあい、潰しあうようなことはしてほしくないんだよ」

「おばあさま、わたくしにこんなに色々なことを話していただきまして、ありがとうございます。大変、勉強になりました。
ですが、飛島マリの協力者になれというのは、また違うと思います。なぜマリなのですか?わたくしを中心にマリがわたくしに協力するのではだめなんですか?」

「あんたが優秀のはわかってるよ。でも祥子、あんたは平和への使者じゃない」

「平和への使者?」

祥子も大介も不思議な顔でおばあさまを見た。

「いいかい、さっきも言ったけどこれから話すことは絶対に他の人に話しちゃだめだよ」

松田兄妹は3人同時にうなずいた。
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