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進学と出会い
23話 松田松涛館流師範
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10分ぐらいして、用意ができ、マリが部屋から出てきた。松田葉子はマリの道着を見て、
目を疑うような姿に驚いた。
マリの道着は背中に旭日旗、左肩には星が30個ぐらい入っており、帯は黒色で特に驚いたのが、そこに松田松濤館流師範という文字が金色で帯のもう一方には飛島マリと縫い付けられていた。
葉子は、自分も小さい時から、松田松濤館流を教わってきたが、おばあ様には師範どころか、
黒帯すらもらえず、いつも失望された目で見られていたのを思い出した。
しかし、葉子は警察内での柔道や空手では相手ができる人がいないほど強いというのに、
「マリさん、いつからその道着を着ているのですか」
「あ、これですか。試合の時しか着ないんですけど、たしか、おばあちゃんが
亡くなった年だから、12歳の時かな~」
「12歳!そうですか。フフフ、はあ~なるほど、私が、すぐに一撃をもらい、
眠らされるわけですね」
「さあ、松田さん、武道会館まで、お願いします」
「はい、ご案内します」
この時、松田葉子は初めて、マリに敬意を払い、心からお仕え、警護する気持ちになった。
長い通路を抜けて、大きな扉を開けたときに、そこに松田祥子が立っていた。
「飛島さん、逃げずに来たのね。待っていたわ。今日は正々堂々戦いましょう。
あちらに審判と念のために救急隊員を待機させているわ」
そう言って、少し歩きながら話していたので、松田祥子はマリの帯の色や道着には
あまり目に入らなかったようだ。それだけ、マリを見下しているともいえる。
「それでは試合は15分後でいいかしら、この試合では、柔術や空手でも構わないわ。
ただし、目や急所を狙うのはだめよ」
そう言って、反対側の方に歩いていき、祥子は柔軟体操を始めた。
その時、松田葉子が目を細めて、祥子の方を見て、
「あれ、兄さん、なんで、兄さんがここにいるのかしら」
葉子は試合まで時間もあるので、兄、大介のところに向かっていった。
「兄さん」
「お~葉子か。久しぶりだな」
「お元気でしたか。兄さん」
「元気だぞ」
「自衛隊のお仕事はお休みですか?」
「あ~、ちょっと働きすぎて、しばらく休みを取っていなかったから、上官から1か月は休むように言われてな。お前こそ、こんなところで何してるんだ?警察の仕事は今日は休みか?」
「いいえ、今も仕事中ですけど」
「仕事中?あ~ちょっと息抜きで帰ってきたのか。あんまり長く休んでると上司から怒られないか?」
「ですから、今も仕事中です」
「葉子も最近は冗談も言えるようになったのか。ハハハ・・・」
「冗談は嫌いなの、ご存じですよね。今も政府要人を警護中です」
「政府要人って、そんな人どこにもいないじゃないか。まあ、せっかく家に帰ってきたんだ。祥子の試合を見ていけよ」
相変わらず、人の話を聞かない兄だなと葉子は思った。
「でも兄さんも家に戻ってくるなんてめずらしいこともあるんですね」
「最近はずっとここにいるんだよ。おばあさまの具合も悪いそうだから、少しでもそばにいたくてな。そうしたら、祥子が同じクラスの子と試合するって聞いてな。あの祥子と戦おうなんて、全くとんだ、お調子者だよな、その同級生は」
葉子は兄のその話を聞いて、頭をかかえて、
「兄さん、その言葉は逆ですよ」
「逆?ギャグか葉子。なにが言いたいんだ」
「兄さん、高校でも大学でも空手では、世界でも敵なしと言われた兄さんでもおばあさまから松田松濤館流師範の称号はもらえなかったでしょ」
「なんだよ、またその話かよ。そうだよ。おばあさまは結局、認めてくださらなかった。
それがどうした?」
「祥子がこれから闘う同級生はその師範なんですよ」
「まさか!」
「兄さん、私は立場上、同級生のマリさんがお決めになったことは否定できません。
今回はマリさんに危険も及びませんから。ですが、兄さんが祥子に試合をやめるように
言ってあげてください。レベルが違いすぎます。本気でマリさんが戦かったら、あの子へたしたら死んじゃいますよ」
「お前も、相変わらず、ごちゃ、ごちゃ言うくせが治らないな。まあ、ちょっと時間もあるし、マリさんだっけ、近くで様子を見てくるか」
「ぜひ、そうしてください」
兄、大介は時間つぶしのつもりで、マリの近くまで歩いて行って声をかけた。
「こんにちは、祥子の兄の大介です」
マリは試合前のため、気分が高揚しているせいもあり、ギロリと大介のことをにらんだ。
マリも大介もお互いのことを見て
「何か、ご用ですか」
とマリが話した、その時、大介が軽くマリの顔めがけて突きを入れようとした。
その瞬間、大介はマリの後ろに飛ばされた。大介は自分が何をされたかも気づけず、
広い畳の上で青向けで天井を見上げていた。そして、松田松濤館流師範 飛島マリと書かれた黒い帯が目に入った。
それからだんだん体が震えてきた。そして
「あんた、何者だ。こんなバカなことがあるか、この俺が訳もわからずにすっ飛ばされるなんて」
マリは大介に向かって
「あなたには戦う心構えができていない、いついかなる時も他人をすぐに信じるべからず、
適材適所で応じることが大事のはず、弱い相手にはこれ以上言うだけ無駄」
そう言って、マリはスタスタと試合する場所へ歩いていった。
大介は高校生から試合では無敗記録を更新中でまだ現実を受け入れることができなかった。
葉子はその様子を見て
「兄さん、何をしに行ったの、勝てるわけないと言ってるのに、本当に人の話を聞かないんだから」
「試合を始めます。両者こちらまで来てください」
大きな声が武道会館に響き渡った。
目を疑うような姿に驚いた。
マリの道着は背中に旭日旗、左肩には星が30個ぐらい入っており、帯は黒色で特に驚いたのが、そこに松田松濤館流師範という文字が金色で帯のもう一方には飛島マリと縫い付けられていた。
葉子は、自分も小さい時から、松田松濤館流を教わってきたが、おばあ様には師範どころか、
黒帯すらもらえず、いつも失望された目で見られていたのを思い出した。
しかし、葉子は警察内での柔道や空手では相手ができる人がいないほど強いというのに、
「マリさん、いつからその道着を着ているのですか」
「あ、これですか。試合の時しか着ないんですけど、たしか、おばあちゃんが
亡くなった年だから、12歳の時かな~」
「12歳!そうですか。フフフ、はあ~なるほど、私が、すぐに一撃をもらい、
眠らされるわけですね」
「さあ、松田さん、武道会館まで、お願いします」
「はい、ご案内します」
この時、松田葉子は初めて、マリに敬意を払い、心からお仕え、警護する気持ちになった。
長い通路を抜けて、大きな扉を開けたときに、そこに松田祥子が立っていた。
「飛島さん、逃げずに来たのね。待っていたわ。今日は正々堂々戦いましょう。
あちらに審判と念のために救急隊員を待機させているわ」
そう言って、少し歩きながら話していたので、松田祥子はマリの帯の色や道着には
あまり目に入らなかったようだ。それだけ、マリを見下しているともいえる。
「それでは試合は15分後でいいかしら、この試合では、柔術や空手でも構わないわ。
ただし、目や急所を狙うのはだめよ」
そう言って、反対側の方に歩いていき、祥子は柔軟体操を始めた。
その時、松田葉子が目を細めて、祥子の方を見て、
「あれ、兄さん、なんで、兄さんがここにいるのかしら」
葉子は試合まで時間もあるので、兄、大介のところに向かっていった。
「兄さん」
「お~葉子か。久しぶりだな」
「お元気でしたか。兄さん」
「元気だぞ」
「自衛隊のお仕事はお休みですか?」
「あ~、ちょっと働きすぎて、しばらく休みを取っていなかったから、上官から1か月は休むように言われてな。お前こそ、こんなところで何してるんだ?警察の仕事は今日は休みか?」
「いいえ、今も仕事中ですけど」
「仕事中?あ~ちょっと息抜きで帰ってきたのか。あんまり長く休んでると上司から怒られないか?」
「ですから、今も仕事中です」
「葉子も最近は冗談も言えるようになったのか。ハハハ・・・」
「冗談は嫌いなの、ご存じですよね。今も政府要人を警護中です」
「政府要人って、そんな人どこにもいないじゃないか。まあ、せっかく家に帰ってきたんだ。祥子の試合を見ていけよ」
相変わらず、人の話を聞かない兄だなと葉子は思った。
「でも兄さんも家に戻ってくるなんてめずらしいこともあるんですね」
「最近はずっとここにいるんだよ。おばあさまの具合も悪いそうだから、少しでもそばにいたくてな。そうしたら、祥子が同じクラスの子と試合するって聞いてな。あの祥子と戦おうなんて、全くとんだ、お調子者だよな、その同級生は」
葉子は兄のその話を聞いて、頭をかかえて、
「兄さん、その言葉は逆ですよ」
「逆?ギャグか葉子。なにが言いたいんだ」
「兄さん、高校でも大学でも空手では、世界でも敵なしと言われた兄さんでもおばあさまから松田松濤館流師範の称号はもらえなかったでしょ」
「なんだよ、またその話かよ。そうだよ。おばあさまは結局、認めてくださらなかった。
それがどうした?」
「祥子がこれから闘う同級生はその師範なんですよ」
「まさか!」
「兄さん、私は立場上、同級生のマリさんがお決めになったことは否定できません。
今回はマリさんに危険も及びませんから。ですが、兄さんが祥子に試合をやめるように
言ってあげてください。レベルが違いすぎます。本気でマリさんが戦かったら、あの子へたしたら死んじゃいますよ」
「お前も、相変わらず、ごちゃ、ごちゃ言うくせが治らないな。まあ、ちょっと時間もあるし、マリさんだっけ、近くで様子を見てくるか」
「ぜひ、そうしてください」
兄、大介は時間つぶしのつもりで、マリの近くまで歩いて行って声をかけた。
「こんにちは、祥子の兄の大介です」
マリは試合前のため、気分が高揚しているせいもあり、ギロリと大介のことをにらんだ。
マリも大介もお互いのことを見て
「何か、ご用ですか」
とマリが話した、その時、大介が軽くマリの顔めがけて突きを入れようとした。
その瞬間、大介はマリの後ろに飛ばされた。大介は自分が何をされたかも気づけず、
広い畳の上で青向けで天井を見上げていた。そして、松田松濤館流師範 飛島マリと書かれた黒い帯が目に入った。
それからだんだん体が震えてきた。そして
「あんた、何者だ。こんなバカなことがあるか、この俺が訳もわからずにすっ飛ばされるなんて」
マリは大介に向かって
「あなたには戦う心構えができていない、いついかなる時も他人をすぐに信じるべからず、
適材適所で応じることが大事のはず、弱い相手にはこれ以上言うだけ無駄」
そう言って、マリはスタスタと試合する場所へ歩いていった。
大介は高校生から試合では無敗記録を更新中でまだ現実を受け入れることができなかった。
葉子はその様子を見て
「兄さん、何をしに行ったの、勝てるわけないと言ってるのに、本当に人の話を聞かないんだから」
「試合を始めます。両者こちらまで来てください」
大きな声が武道会館に響き渡った。
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