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平和への使者
2話 学校生活の変化
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次の日の朝、もう、だいぶ外は寒くなり、
外はうっすらと霜が降りていた。
マリは両親と3人で暮らしている。
この町は都会とは縁遠く、学校のそばは拓けてはいるが、マリが住んでいるところは森や自然が多いところだ。
家から歩いて30分ぐらいのところにある
中学校に通っている。
マリは両親には言っていないことがあった。
実はこれまでマリは学校でいじめられていたのだ。
中三になり、卒業まではあと三ヶ月、毎日、
つらい思いをしていた。
学校に着くといつものように言葉の暴力が飛び交う、
「なんか、臭わない?」
「本当、なんか臭~い」
また、クラスメイトのいじめが始まった。
言葉だけではない。上履きを盗まれてしかたなく靴下のまま教室に行くと、ゴミ箱に捨ててあるのを発見したり、トイレで席を離れた隙に教科書やノートをゴミ箱に捨てられたりもした。
同じクラスのスミコ達のグループが中心になって、マリにいやがらせをしてくる。
でも何よりマリが一番つらいのは、クラス全員がマリと一言も口をきいてくれないことだった。
今日もようやく学校が終わり、自宅に帰ってきた。
マリは特にいじめで心が傷ついた日には
夜こっそりと家を抜け出し、自宅から10分程度のところにある芝生に座って夜の星空を見てスケッチをしていた、一人で星空を描いているうちに目は涙でいっぱいになり、いつもスケッチする紙に大粒の涙が落ちる。
昔はよくここで大好きなおばあちゃんと
夜空を見ながら色々な話をした、
私の事を本当に大事に思ってくれて、
普段はとても厳しかったが、ここに来ると、
とても優しかった。
自分を信じてくれる人がいるだけで、
いつも力が湧いてきた。
マリには両親がいるが自分を大事に
してくれているのは分かるのだが、
悩みや相談をしても軽く受け流すだけで
あまり感情というか気持ちが伝わってこない。
おばあちゃんが亡くなって3年が過ぎているが、ここに来ると不思議と隣におばあちゃんが
いるように思えて、ほんの少しだけど、元気になるのだ。
そんな日が続く中、いつもと変わらない朝がまた来た。
教室に入ると誰とも目を合わせたくない
マリは机にうつ伏せ状態だった。
「お~い、みんな席に着け」
担任の上田先生が声を出した。
「今日から転校生がきた。橘ユウキくんだ」
「橘ユウキです。よろしく」
その容姿は一瞬にしてクラスの女の子の
視線をくぎ付けにした。
背が高く、色白であまいマスク、なにかただらぬ、
オーラのような物が出ているようだった。
「きゃ~」
女子の声が教室内に響きわったった。
「なに、こんな時期に転校生なんて、ありえねえだろ」
男子はあまり歓迎していない様子だ。
「親の転勤で急に転校になりました」
落ち着いた声でクラスメイトに説明をしていた。
マリはその声を聞いてビクついた。
「まさか、あの人」
おそるおそる、顔を上げみると、
やはり、3日前の夜にあった、あの男だった。
またしても、震えがきてしまった。
それもとんでもない震えが。
近くにいたスミコが
「ねえ、あんた、まさかトイレじゃないわよね。こんなところでちびんないでよ、あ~気持ち悪い。」
相変わらずの冷たい言葉は胸に突き刺さる。
しかも、マリのそばにはみんな近づきたくないため、
隣の席は空いていた。
「お~い、マリ。隣の席に橘くんを座らせるぞ、
そこしか空いてないしな」
「先生、病気がうつるかもしれないから、
そんな席やめたほうがいいよ」
また、言われた。
「なんだ~マリ具合でも悪いのか」
また、担任の天然ボケ、私はいじめられてるのよ、
と大声で叫びたい。
でもできない、そんなことを思っているうちに
ユウキが笑いながら私の席の横に座っていた。
「お~い、おいマリちゃ~ん」
隣からかわいらしい声で話しかけてきた。
ホームルーム中だし、
また、話をするとクラスメートから、
何か言われることもあるから、マリは無視していた。
「無視しないでよ~。これから、よろしくね」
しばらくして、休み時間になり、
ユウキの廻りには人だかりができた。
「ユウキくんはどこから引っ越ししてきたの?」
「う~ん、だいぶ都会の方からかな」
「どこどこ、もしかして東京なの」
「そうだね。そんな感じのところかな」
「なんで、こんな時期に引っ越しなんてめずらしいね。高校はどこいくか決まっているの?」
「これから、相談して決めようと思っている」
ユウキはマリの方を見つめながら、話していた。
「でもね、ここ田舎でしょ。
行く高校は近くにひとつしかないから、
みんなそこに行くんだよね」
「あ~、そうなんだ」
このクラスには2人ほど、
以前に転入してきた子がいたが、相変わらず、
同じ質問をするんだなとマリは思った。
今日は6時間授業だが、ユウキは転校生ということもあり、先生から各科目共、、問題を投げかけられていた、英語ではハーフのカーラ先生が
「ユウキくんこのページ読んでみて」
マリはまた始まったと思った、
カーラはアメリカ育ちということもあり、
すぐに難しい英語をひけらかし、勝ち誇る癖がある、
田舎の中学生がそんな本格的な発音に
ついていけるわけがない、でもユウキは
「goodmorning・・・・・」
すごいスピードでベラベラと話し始めた。
カ~ラは目をぱちぱちさせてユウキを見つめていた。
いや、カーラだけではない、クラスのみんなが・・・
「先生、こんな感じでよろしいでしょうか」
「すごいじゃない、完璧な発音だったわよ。
あなた、外国育ちなの?」
「外国といえば、そうですね、そうなりますね」
それから、カーラとユウキの英会話が続いて、
英語の授業は終わってしまった。
そのあとの・数学・化学・国語・歴史も先生は
ユウキの学力を知りたいのか色々と質問したが、先生の予想を超える解答の連続でクラス中の生徒の度肝を抜いた。極めつけは体育の時間だ。
体育はマラソンだったが、県大会でも
トップクラスの陸上部のエースの橋本くんを
軽くぶっちぎっていた。
クラスのみんなも最初は
「すご~い、ユウキくん、頭いいのね」
なんて言っていたのに、だんだん、ユウキが、
なんでもできすぎるから、クラスメイトが距離を置くようになり、体育のマラソンが終わった後は誰も声をかけなくなっていた。
マリは私は何をやってもみんなにバカにされて、距離を置かれているけど、ユウキは私とは
全く逆の意味でみんなから、距離を置かれているわ。となぜか、親近感が湧いてきた。
今日はユウキが目立ちすぎたため、気がついたら、マリは
「あれ、ユウキくんが来てから、私、今日、誰からもいやがらせされなかった」
外はうっすらと霜が降りていた。
マリは両親と3人で暮らしている。
この町は都会とは縁遠く、学校のそばは拓けてはいるが、マリが住んでいるところは森や自然が多いところだ。
家から歩いて30分ぐらいのところにある
中学校に通っている。
マリは両親には言っていないことがあった。
実はこれまでマリは学校でいじめられていたのだ。
中三になり、卒業まではあと三ヶ月、毎日、
つらい思いをしていた。
学校に着くといつものように言葉の暴力が飛び交う、
「なんか、臭わない?」
「本当、なんか臭~い」
また、クラスメイトのいじめが始まった。
言葉だけではない。上履きを盗まれてしかたなく靴下のまま教室に行くと、ゴミ箱に捨ててあるのを発見したり、トイレで席を離れた隙に教科書やノートをゴミ箱に捨てられたりもした。
同じクラスのスミコ達のグループが中心になって、マリにいやがらせをしてくる。
でも何よりマリが一番つらいのは、クラス全員がマリと一言も口をきいてくれないことだった。
今日もようやく学校が終わり、自宅に帰ってきた。
マリは特にいじめで心が傷ついた日には
夜こっそりと家を抜け出し、自宅から10分程度のところにある芝生に座って夜の星空を見てスケッチをしていた、一人で星空を描いているうちに目は涙でいっぱいになり、いつもスケッチする紙に大粒の涙が落ちる。
昔はよくここで大好きなおばあちゃんと
夜空を見ながら色々な話をした、
私の事を本当に大事に思ってくれて、
普段はとても厳しかったが、ここに来ると、
とても優しかった。
自分を信じてくれる人がいるだけで、
いつも力が湧いてきた。
マリには両親がいるが自分を大事に
してくれているのは分かるのだが、
悩みや相談をしても軽く受け流すだけで
あまり感情というか気持ちが伝わってこない。
おばあちゃんが亡くなって3年が過ぎているが、ここに来ると不思議と隣におばあちゃんが
いるように思えて、ほんの少しだけど、元気になるのだ。
そんな日が続く中、いつもと変わらない朝がまた来た。
教室に入ると誰とも目を合わせたくない
マリは机にうつ伏せ状態だった。
「お~い、みんな席に着け」
担任の上田先生が声を出した。
「今日から転校生がきた。橘ユウキくんだ」
「橘ユウキです。よろしく」
その容姿は一瞬にしてクラスの女の子の
視線をくぎ付けにした。
背が高く、色白であまいマスク、なにかただらぬ、
オーラのような物が出ているようだった。
「きゃ~」
女子の声が教室内に響きわったった。
「なに、こんな時期に転校生なんて、ありえねえだろ」
男子はあまり歓迎していない様子だ。
「親の転勤で急に転校になりました」
落ち着いた声でクラスメイトに説明をしていた。
マリはその声を聞いてビクついた。
「まさか、あの人」
おそるおそる、顔を上げみると、
やはり、3日前の夜にあった、あの男だった。
またしても、震えがきてしまった。
それもとんでもない震えが。
近くにいたスミコが
「ねえ、あんた、まさかトイレじゃないわよね。こんなところでちびんないでよ、あ~気持ち悪い。」
相変わらずの冷たい言葉は胸に突き刺さる。
しかも、マリのそばにはみんな近づきたくないため、
隣の席は空いていた。
「お~い、マリ。隣の席に橘くんを座らせるぞ、
そこしか空いてないしな」
「先生、病気がうつるかもしれないから、
そんな席やめたほうがいいよ」
また、言われた。
「なんだ~マリ具合でも悪いのか」
また、担任の天然ボケ、私はいじめられてるのよ、
と大声で叫びたい。
でもできない、そんなことを思っているうちに
ユウキが笑いながら私の席の横に座っていた。
「お~い、おいマリちゃ~ん」
隣からかわいらしい声で話しかけてきた。
ホームルーム中だし、
また、話をするとクラスメートから、
何か言われることもあるから、マリは無視していた。
「無視しないでよ~。これから、よろしくね」
しばらくして、休み時間になり、
ユウキの廻りには人だかりができた。
「ユウキくんはどこから引っ越ししてきたの?」
「う~ん、だいぶ都会の方からかな」
「どこどこ、もしかして東京なの」
「そうだね。そんな感じのところかな」
「なんで、こんな時期に引っ越しなんてめずらしいね。高校はどこいくか決まっているの?」
「これから、相談して決めようと思っている」
ユウキはマリの方を見つめながら、話していた。
「でもね、ここ田舎でしょ。
行く高校は近くにひとつしかないから、
みんなそこに行くんだよね」
「あ~、そうなんだ」
このクラスには2人ほど、
以前に転入してきた子がいたが、相変わらず、
同じ質問をするんだなとマリは思った。
今日は6時間授業だが、ユウキは転校生ということもあり、先生から各科目共、、問題を投げかけられていた、英語ではハーフのカーラ先生が
「ユウキくんこのページ読んでみて」
マリはまた始まったと思った、
カーラはアメリカ育ちということもあり、
すぐに難しい英語をひけらかし、勝ち誇る癖がある、
田舎の中学生がそんな本格的な発音に
ついていけるわけがない、でもユウキは
「goodmorning・・・・・」
すごいスピードでベラベラと話し始めた。
カ~ラは目をぱちぱちさせてユウキを見つめていた。
いや、カーラだけではない、クラスのみんなが・・・
「先生、こんな感じでよろしいでしょうか」
「すごいじゃない、完璧な発音だったわよ。
あなた、外国育ちなの?」
「外国といえば、そうですね、そうなりますね」
それから、カーラとユウキの英会話が続いて、
英語の授業は終わってしまった。
そのあとの・数学・化学・国語・歴史も先生は
ユウキの学力を知りたいのか色々と質問したが、先生の予想を超える解答の連続でクラス中の生徒の度肝を抜いた。極めつけは体育の時間だ。
体育はマラソンだったが、県大会でも
トップクラスの陸上部のエースの橋本くんを
軽くぶっちぎっていた。
クラスのみんなも最初は
「すご~い、ユウキくん、頭いいのね」
なんて言っていたのに、だんだん、ユウキが、
なんでもできすぎるから、クラスメイトが距離を置くようになり、体育のマラソンが終わった後は誰も声をかけなくなっていた。
マリは私は何をやってもみんなにバカにされて、距離を置かれているけど、ユウキは私とは
全く逆の意味でみんなから、距離を置かれているわ。となぜか、親近感が湧いてきた。
今日はユウキが目立ちすぎたため、気がついたら、マリは
「あれ、ユウキくんが来てから、私、今日、誰からもいやがらせされなかった」
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