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28、少し忙しくなりました
しおりを挟む皇帝からパーティの開催について聞かされた次の日から、準備で少し慌ただしくなっていった。まずは予算について、それから会場の飾り付けに、お客様を持て成す食事のメニュー決めに、アイリと私のドレス決め…他にも色々決めたり手配したりと、思いの外することが多くて疲れる毎日だ。
だけど、アイリのドレス決めだけは楽しすぎて、危うくアイリのミルクの時間を過ぎるてしまう所だった。一緒にアイリのドレスを選んでいたリアム様が言ってくれなかったら気づかなかった所だ。本当にありがとうリアム様。
それと、アイリは何を着ても可愛い天使でした…。
どれも似合うから、本当に決めるのが大変だった。最終的に、リアム様と意見が一致して白のシンプルなドレスに決まった。
パーティは心底嫌だけど、アイリが可愛いドレスを着れるのは素直に嬉しい。ホント、なんでこの世界にカメラが無いんだ!うちの可愛いアイリの晴れ舞台だと言うのに!
「ルビア様?頭痛い?」
「あ、リアム様。大丈夫だよ、ありがとう。ちょっと考え事をしてただけだよ」
勉強をしているリアム様の隣でカメラが無いことに静かに嘆いていたら心配されてしまった。ごめんね、勉強の邪魔して…。
「ずっと忙しそうだけど、大丈夫?僕、来ない方がいい?」
「ううん、そんな事はないよ。それに、リアム様が来てくれたら方が私は嬉しいし」
「本当?」
「うん」
だって、私にはアイリとリアム様しか癒しが無いんだから!皇后として、一応自分の仕事は全うしようと思っているから、別に忙しい事に不満はない。
いや、嘘。不満はある。最低でも育休として1年は休ませてほしかった…。
だけど、前世でも医者や看護士、保育士等は育休を6ヶ月で切り上げて現場復帰…なんて事はよくある話だった。私はお飾りと言っても皇后。なので、6ヶ月育休を取って仕事復帰というのは納得出来る。
それに、私が仕切らなければ好き勝手にパーティのあれやこれやを決められて不愉快な思いをするかもしれないので、少し忙しいくらいどうってことは無い。
だけど、忙しいからこそ癒しが必要なのだ!幸い、皇后の仕事は前世で言うところの在宅ワークのようなもの。しかも、上司とか監視するような人が居ないので自由にアイリを見れるし、リアム様とも楽しくお話できたりできる。
アイリとリアム様が遊んでる姿は本当に言葉で言い表せないほどの幸福を私に与えてくれる。そのおかげで、忙しくても私は毎日幸せだ。
それなのに、癒し要員のリアム様がここに来なくなるなんて考えられない…。アイリもリアム様に凄く懐いていて、いつもニコニコご機嫌さんなのに、来てくれないと、アイリだって寂しい思いをする。
なので、私達のためにもリアム様には無理が無い程度にここに来て欲しいと切に願う。
「リアム様とアイリは私の癒しなんだよ。だから、来ないなんて言わないでぇ」
「うわっ!」
リアム様にガバッと抱きつけば、驚いた様に声を出すが、しっかりと抱きしめ返してくれる。ああ~癒される…。この後はアイリを抱きしめてほっぺスリスリしよ。
「ルビア様」
「うん?なぁに?」
「すごく疲れてるみたいだから、休んだほうがいいよ」
「心配してくれてありがとう。だけど、結構休んでるよ?」
前世で1番しんどかった時は、9時から17時まで働いた後に残業して23時くらいに帰れる、なんて当たり前だったし、休日出勤も普通に残業してたから、これくらいどうって事は全くない。むしろ、めちゃくちゃ休みながら仕事してて、これって仕事なのかな?と思うレベルだ。
忙しいくしているように見えるのは、アイリのお世話は絶対に誰にも譲りたくなくて、お世話しながら仕事をしているからだ。なので、少し忙しくはあるけど、そこまで疲れてはいない。
「でも、ルビア様は毎日お仕事してるよ?僕だって、母上や父上も、お休みの日はあるよ?ルビア様はお休みしないの?」
「毎日仕事はしているけど、少しの間しかしていないから、お休みの日が無くても全然平気だよ。だから安心して」
「そう…?」
まだ心配したような目で私を見てくるリアム様に苦笑する。本当に大丈夫なのに、私にゆっくりしてほしいみたいだ。
「わかった。じゃあ、今している仕事が終わったら絶対に休むから。それでいい?」
「その仕事っていつ終わるの?」
「う~ん…明後日くらいには終わるかな」
実際のところ、今している仕事を終えてしまえば、もうすることは何も無い。なので、必然的に休み…というか、元の状態に戻るのだけど、リアム様がせっかく心配してくれているので黙っておこう。
「本当にお休みにする?」
「うん、約束する」
「わかった…じゃあ、その日、アイリと一緒に馬を見に行かない?」
「馬?」
何故いきなり馬?確かに、ここには馬小屋もあるけど…リアム様は馬好きなのかな?そう思っていると、リアム様は少し恥ずかしそうに言う。
「あのね…最近、乗馬の練習が始まったんだけど、先生に上手だって褒められて…だから、ルビア様とアイリに見てほしいなって思って…」
最後の方は小声になって、ほぼ呟くように言っていたけど、私の耳にはしっかりと話が聞こえていた。
なんだって!それは是非見ないと!この、照れたような、恥ずかしそうな、なんとも言えない仕草をするリアム様のお誘いを断れるだろうか?いや、できない!なので答えは決まっている!
「行く!アイリと一緒にリアム様の乗馬姿をみたい!」
「本当!やったー!じゃあ、明後日に先生にも来てもらえるようにお願いしとくね!」
「うん、楽しみにしてるよ!ね、アイリ」
「うぅ、あー」
何を言っているか分かってないだろうけど、アイリがタイミング良く返事をしてくれる。そんなアイリに、やっぱりウチの子は天才だ!と心の中で親バカを発揮してしまう。
「アイリも楽しみにしてくれてるの?僕、すごく頑張るね!」
「頑張ってくれるのは嬉しいけど、無理はしないでね?怪我でもしたら私の心臓が持たないから」
「うん!わかった!」
そう頷いたリアム様と、約束した日に乗馬練習場で会うことになった。
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