役目を終えて現代に戻ってきた聖女の同窓会

この世界で幸せになります。

「ジュナ」
「ど、どうしたのフィン！？」


みんなの顔を見回していると、フィンが突然私の前に跪く。


「ジュナが元の世界に帰る前に伝えようと思っていたんだけど、馬鹿な大臣共が勝手にジュナを帰してしまったから言えなかったことを今言わせてほしい」
「なに？」
「君の事を世界の誰よりも愛している。どうか、俺を君の生涯のパートナーにしてほしい！」
「……………」


生涯の、パートナー？


「それって、まるでプロポーズみたいだね」
「まるでじゃなくてプロポーズなんだけど？」


ニッコリと爽やかに笑うフィンに言葉を失う。


はい？プロポーズ？？？なんで！？
しかも、私が向こうに帰る前にしようと思ってた？？？
旅をしている時にそんな気配は全くありませんでしたよね？
どうしたの？頭でも打った？


「ちょっと！抜け駆けはズルいですよフィンさん！僕だって、ずっと言いたかったんですから！」
「ロン？」
「ジュナさん！フィンさんではなく、僕を生涯のパートナーに選んで下さい！必ず幸せにすると約束します！」


えぇーー！？フィンに続きロンまで！？
待って、全然頭が追いつかないんだけど！
こういう困った時は、頭のいいキールに頼るのが1番だよね。


「ジュナ、私も貴方のことを愛おしいと思っていました。出来ることなら、死ぬまで貴女と添い遂げたいと思っています。どうか、私を選んで頂けませんか？」


キールまでー！！？
なら、最後の砦のスタング！


「堅苦しいコイツらより、俺といた方が気楽で楽しい人生を送れると思うぜ。愛の告白ってのは気恥しいが、お前を想う気持ちは誰にも負けねぇ。だから、俺を選べ」


な、なんだってー！！！
なに？この突然のモテ期！
しかも元パーティメンバー全員からプロポーズされるなんて意味がわからない！


「えっと…みんな私の事が、その…好きなの？」
「「「「ああ/はい/ええ/おう」」」」


仲良く同じタイミングで返事をされる。


「でも、旅をしてた時、全然そんな感じなかったよね…？」
「それは、4人で旅の間は抜け駆けしないって約束していたからね」
「はい？」


そんなこと知りませんでしたが…？


「それでジュナさん！誰を選ぶんですか！？やっぱり僕ですよね！」
「いや、俺だよね？」
「私ですよね？」
「俺だろ？」
「「「「ジュナ(さん)」」」」


この後私は全力で逃げた。
仲間だと思っていた人達からプロポーズをされて、どうしていいか分からなかった。


なので、異世界で使っていた聖女の力をフル活用して三日三晩逃げ回った。
だけど、相手は魔王を倒したパーティーメンバー。
流石に逃げきれずに捕まり、話をすることになった。


とりあえず、いきなりプロポーズされても気持ちに応えられないと伝えた。
そうすると、自分達で私を惚れさせると言われ、異世界でよく分からない5人の共同生活が始まった。


その数年後、私は子供を産むことになった。
その子供の父親が誰なのかは、私達5人の秘密だ。


今では子供も増えてとても賑やかな生活を送っている。
高校の同窓会なんて出席したくもなかったけど、今思えば強引に参加させてきたAB子に感謝だな。


可愛い子供達に囲まれ、愛する人達と穏やかな生活を送ることが出来ているんだから。