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やっぱり来るんじゃなかった…。
しおりを挟むと思っていた時期も私にもありました。
「え?佐藤さん?相変わらず地味だね」
あなたは相変わらず化粧でがっちり武装されてますね。C子さん。
抵抗するのも面倒で同窓会会場まで来ると、そこには私を虐めていた子達がうじゃうじゃ。
なに?まだ同窓会始まる時間じゃないのに皆気合い入れすぎじゃない?貴族令嬢でも流石にこんなことはしなかったよ。
あ、あの人達はそもそも時間なんてそんなに守らなかったか。私を呼び出しておいて数時間待たせるなんて普通でしたもんね。
だけどそのおかげで高級ソファで仮眠を取れたのは良かったな。
そういえば、待っている間にソファで寝てたってパーティのみんなに言ったら爆笑してたなぁ。
『ここに来た時よりだいぶ図太くなったな!』
『空いている時間に仮眠を取るのはとてもいい事だと思います』
『その図太さ俺も欲しいです!』
『君のそういう所、本当に好きだよ』
なんて言われたっけ。
本当にみんな今どうしているんだろう。
「ねぇ、佐藤さんって今何してるの?」
「え?」
あ、そういえば今は高校の同窓会に来てるんだった。
異世界のことを思い出していたら、いつの間にか同窓会も始まっていて、私と会った元いじめっ子達はずっと何か私に話しかけてきてたっけ。
相変わらずこの人達暇だな。
「私は×××って会社の部長と結婚して、子供2人いて専業主婦してるんだけどぉ、佐藤さんは?」
どうしてB子は現在の状況を教えてくれるのかな。
別に聞いてないし興味もないだけど。
「私は普通の会社員です」
「へぇ、相変わらず大したことないのね?私の旦那なんて○○○って会社のーーーー」
「私の旦那もーーー」
B子を皮切りに、何故かいじめっ子達が旦那さんがどこに務めているかを我先にと言ってくる。
本当にどうでもいいなぁ。
というか、自分が、じゃなくて会ったこともない旦那さんの事を言われてもなぁ。
異世界でも良く、『私のお父様はどこどこの役職ですのよ!』とか、『私は公爵家の人間ですわよ!』とか言っていたなぁ。
自分の功績じゃなくて家とか親を出してくる時点で
【自分には価値がない】って言っているようなものなのにね。
「はあ、そうですか凄いですね」
「でしょ!佐藤さんは結婚もせずにこの歳になっても自分の為に働いてるなんて大変ね」
「特に大変なことは無いですよ。自分のしたいことをしているだけなので」
「っ、強がり言って…!」
どこら辺が強がりだと思われたのかな。
よく分からないけど、元いじめっ子達がなんでか一瞬悔そうな顔をした。
ご令嬢達と話している時もこんなことあったなぁ。
その後は決まって『覚えておきなさいよ!次はそんな生意気な口を聞けなくしてあげますわ!』って言われったけ。懐かしいなぁ。
なんて思っていると、急に会場の外が騒がしくなる。
「なになに?芸能人でも来てるの?」
「誰か見てきてよ」
「誰かしら」
外の騒がしさに比例して、会場の人たちもざわめき始める。
そして誰かが見に行ったのか、会場中に聞こえるように声を上げる。
「○○○会社の社長と、○○○製薬会社の社長と、○○○報道会社の社長と×××SP会社の社長が来てるみたいだぞ!」
「え、ホント?」
「見たい見たい!」
「あんな美形を揃って見られるなんて滅多に出来ないわよ!」
言われた4つの会社は名前くらいなら誰もが知ってる王手ばかりだ。だからか会場中(特に女性)が色めき立っている。
そういえば、とても顔が整っていて雑誌の表紙になったりしてるって聞いたことがあるな。
こんなにもみんなが色めきたっているのなら、今度どんな人か本屋に行って見てみようかな。
「ねぇ、佐藤さん。佐藤さんもあの4人の事見たいよね?」
「いえ、特に」
雑誌の表紙に乗ってるならそれを見てみようかとは思うけど、別に実物を見たいとは思わないかな。
「いやいや、見たいでしょ?見たいよね?」
「いえ、別に」
あの、どうしてA子に腕を掴まれているのかな?
「わかる~私も見たいもん!見たいなら近くで見ないとそんだよねぇ」
「あの、ちょっと…」
B子まで腕を掴んできてなにをするつもり。
「そんなに見たいなら、行ってきた、ら!」
「わっ、」
腕を引っ張られて会場の外へ出たかと思うと、少し人の集りが出来ている中心に向かって背中を押された。
背中を押されたことでバランスを崩して無様に床に転んでしまう。
「佐藤さん大丈夫!?」
「私達は止めたんですけど、彼女がどうしても皆さんのことを見たいと言って…」
おいA子B子、有名会社の社長さん達に話しかけたいからって私を利用しないでよ。
話しかけたいなら自分で話しかければいいでしょ。
膝も打ったし最悪。やっぱり同窓会なんて来なきゃ良かった。
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