ゴミ箱の男の話

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由美子の話

22話 満たされぬ身体

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由美子が休職してからしばらく経っていた。

この間まで、月光島恒例の夏祭りも終わり、夏に旅行に行っていた人達も戻って来ていた。

観光で来ていた人達は島から帰っていった。

もう夏も終わり、秋も深くなって行く頃、人々は暑さから解放されつつある。

夜には虫の声が聞こえ始め、月は星々と共に輝き出すだろう。

紅葉が彩りを添える中、落ち葉を踏みしめながら歩くことができるだろう。

普通の島じゃそうだろう。

月光島は違う、この島には季節などない。

年中真夏だ。

だから、観光客は毎日来るし、夏祭りは毎日ある。

私が子供を産んだ日、雪が降っていたが、あれは人工雪だ。

島の偉いさんが子供の誕生日だと、わざと雪を降らせたと言っていた。

あるのは、雨と太陽だけだ。

島の人達が住む場所にはエアコンがついているから涼しく過ごせているが、

早く夜になってくれないと汗でベチョベチョだ…………。

私は、そんな頃に休職解除され晴れて仕事復帰をした。

休職中に伸びた髪を切った。

髪も切ったのかサッパリとして顔つきや物腰前と比べて落ち着きすら感じる。

でも、変わらない島。 

休職中は、家でのんびりしてあまり外出する事はなかった。

休職中は夫婦生活は続いていた。

当然、匠さんとの夜の営みもあった。

それは、仲のいい夫婦にありがちなありふれた営みに過ぎなかった。

でも……あの事件以来、私は……抱かれるのが怖くて仕方ない。

匠さんには、まだ事件の事は、話していない。

あの夜から時間が経てば経つほど事件を語る勇気を失っていき、辛い日々を過ごす。

匠さんに愛撫を受け、ふと下着を脱がされると、疼き、愛液は流れ落ち、胸は期待と不安で高鳴り。

でも、あの事件の時も下腹部に挿れられそうになった瞬間にフラッシュバックし怖くなってしまう。

しかし、身体は、匠さんを求めている。

私は、あの事件の後病院の産婦人科で診てもらい、性病にも感染していないと診断された。

医師のお墨付きで、女性器と子宮に異常はないと言われた。

私は、匠さんの事が好きだし愛している。

それは変わらない事実だった。

しかし……あの事件の事を思い出すと、どうしても身体が拒否してしまう。

私は……匠さんに抱かれるのが怖くて仕方ない。

身体は、抱かれたがっているのに……。

私は幾度となく匠さんに謝った。

由美子「ごめんなさい……私……あの事件以来、身体を他人に見られるのが怖くて……まだ……。」

それを聞いて匠さんは驚いた顔をした。

匠「由美子、君まさか…あの事件……に関係しているんか……?」

私は頷き、こう言った。
由美子「うん……実は……私……。」

匠さんは、私を優しく抱きしめてくれた。

私は、あの事件の事を匠さんに話した。

匠さんは、私を強く抱きしめてくれた。

私は、あの事件の事を話し終わった後……匠さんは私にこう言ってくれた。

匠「由美子。気づいてやれなくてすまんかったな。」

私は、匠さんに抱かれた。

久しぶりの挿入は本当は不安や怖さもあったけど……。

身体は快感を覚えていた。

私は、何度も達してしまい気を失いそうなほどの快感に溺れてしまう。 

でもそれは……匠さんに抱かれているから、ではない。

私の身体はまだ求めてやまない。

求めているのだ。

身体は疼き、匠さんのモノを欲する。

由美子「匠さん!もっと!もっと!激しく突いて!もっと!」

私は、匠さんに何度も抱かれた。

しかし……私の身体はまだ、満足しない。

だって……私は……快楽の絶頂を知っているから。

誠也や男達に抱かれ、快楽の絶頂を覚えた身体はそう簡単に忘れられるものか……。 

由美子「匠さん!もっと!激しく突いて!」

匠「由美子……。お前……。」

私は、何度も達したのに……いつまでも身体の奥から溢れ出て来て絶頂を迎える事はできなかった。

私が求めているのは匠さんではない。

匠「由美子!凄いよ!お前の身体……。こんなになるなんて……。」

由美子「お願い!もっと、私をめちゃくちゃにして!!」 

私は、何度も達しているのに快楽がもっと欲しくなっている。

私の身体は満たされない。

いや……ずっと満たされずにいたんだ……。

私が欲し続けているのは、匠さんの愛だ! 

もしかしたら私はあの日に心を壊してしまう寸前だったのかもしれないと思っている。

いや……もう……とっくの昔に私の身体と心は
壊れていた。

私の身体は、自分でも分からない程コントロール出来なくなる事があるからだ。

由美子「もっと!私をめちゃくちゃに!そして壊れるほどに抱きしめて!!」

もう私は止められない。

止めれない。

この熱を止める術はないのだ……。

もう我慢する必要もない、私は私の淫らな姿をさらけ出す事にした。

私は、淫乱。

欲にまみれた女だ。

匠さん……愛が足りない……。

快感が足りない。

誠也さんのあれだと奥まで届いてくれる……。

幸田さんのならもっと…。

私は、匠さんに激しく突かれながら……そんな事を考えていた……。

そして……私の身体は絶頂を迎えた。

それでも、私はまだ満たされていない……。

ごめんなさい……匠さん……。

あなたの事……愛してる…。

私は、きっと救われない女……なのかもしれません。
でも、この身体はもう止まらない。
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