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第78話 噂を探って
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「……噂の強弱はどのような感じです?」
私は考え考えながら、カーミラ嬢に尋ねた。
「お妃様に関する噂はわりとどれも信じられています。何しろみんなお妃様を知りませんから」
「…………なるほど」
知らないものの話は正確にはできない。
だからといって、知ってしまったことの話は、したくなる。
そのような感じなのだろう、私の知らない誰か達も。
「陛下が非道を働いている……という噂あたりは眉唾物です。皆、陛下の人となりはそれなりに存じ上げていますので」
「それはよかった」
「ただ、お妃様が偽物の先代魔王の娘だと考えているものは少なくありません。その中にも二種類、陛下が偽って連れてきたというのと、陛下も騙されている、というもの」
自分がユリウスを騙している。
そんな噂が流れていることには胸を痛むが、ユリウス本人はそう思っていないはずだ。
それを思えば、耐えられた。
「ああ……まあ、そうよね……私なんて本当に何も知らなかっただけなのだけれど、他人から見ればそういう疑惑は出るでしょうね……」
「アーダーベルトに関しては、性格が知れ渡っているので、まあ、毀誉褒貶についてはあんまり気にしなくていいです。……お妃様を手込めにしたという噂以外は、ですね……」
「そう……」
アーダーベルト、まあ、あまり好まれる性格をしている感じはしなかった。
魔王族であることを盾に威張り散らしているのが普段からの彼の姿だとしたら、悪い噂はいくらでも立つだろう。
「……それで、襲われたのですか?」
カーミラ嬢は事もなげにそう言った。
ドラキュラを離席させていて正解だった。
妹へと雷を落としていただろう。
「無事よ。何か起こる前に陛下が助けてくださったわ。それに魔界では婚前交渉は普通なのでしょう?」
私はこともなげに微笑んだ。
「ええ、まあ……」
「それに純潔は……ま、まあ、とっくに陛下に捧げていたし……」
恥じらいながらも私は素直に口にしていた。
だから私は平気だ。そう強調したくて。
けれども、私は素直すぎた。
「え」
「え」
カーミラ嬢の顔が赤くなったり青くなったりする。
心配になるような顔色の変化に、私は困惑する。
「あ、あのカーミラ嬢……え、ええと……」
カーミラ嬢はしばらく無言で口をわななかせていたけ。
「…………うわあああん!」
「カーミラ嬢!?」
とうとうカーミラ嬢はテーブルに突っ伏して泣き出した。
私は慌てて思わず立ち上がった。
子供のような泣き声は、大きく長くその場に響き渡った。
私は考え考えながら、カーミラ嬢に尋ねた。
「お妃様に関する噂はわりとどれも信じられています。何しろみんなお妃様を知りませんから」
「…………なるほど」
知らないものの話は正確にはできない。
だからといって、知ってしまったことの話は、したくなる。
そのような感じなのだろう、私の知らない誰か達も。
「陛下が非道を働いている……という噂あたりは眉唾物です。皆、陛下の人となりはそれなりに存じ上げていますので」
「それはよかった」
「ただ、お妃様が偽物の先代魔王の娘だと考えているものは少なくありません。その中にも二種類、陛下が偽って連れてきたというのと、陛下も騙されている、というもの」
自分がユリウスを騙している。
そんな噂が流れていることには胸を痛むが、ユリウス本人はそう思っていないはずだ。
それを思えば、耐えられた。
「ああ……まあ、そうよね……私なんて本当に何も知らなかっただけなのだけれど、他人から見ればそういう疑惑は出るでしょうね……」
「アーダーベルトに関しては、性格が知れ渡っているので、まあ、毀誉褒貶についてはあんまり気にしなくていいです。……お妃様を手込めにしたという噂以外は、ですね……」
「そう……」
アーダーベルト、まあ、あまり好まれる性格をしている感じはしなかった。
魔王族であることを盾に威張り散らしているのが普段からの彼の姿だとしたら、悪い噂はいくらでも立つだろう。
「……それで、襲われたのですか?」
カーミラ嬢は事もなげにそう言った。
ドラキュラを離席させていて正解だった。
妹へと雷を落としていただろう。
「無事よ。何か起こる前に陛下が助けてくださったわ。それに魔界では婚前交渉は普通なのでしょう?」
私はこともなげに微笑んだ。
「ええ、まあ……」
「それに純潔は……ま、まあ、とっくに陛下に捧げていたし……」
恥じらいながらも私は素直に口にしていた。
だから私は平気だ。そう強調したくて。
けれども、私は素直すぎた。
「え」
「え」
カーミラ嬢の顔が赤くなったり青くなったりする。
心配になるような顔色の変化に、私は困惑する。
「あ、あのカーミラ嬢……え、ええと……」
カーミラ嬢はしばらく無言で口をわななかせていたけ。
「…………うわあああん!」
「カーミラ嬢!?」
とうとうカーミラ嬢はテーブルに突っ伏して泣き出した。
私は慌てて思わず立ち上がった。
子供のような泣き声は、大きく長くその場に響き渡った。
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