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第46話 提案
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一杯で終わらせ、店を辞す。
自宅に帰り着き、私用のメッセージで深海さんに「お時間大丈夫ですか? お電話してもよろしいでしょうか」と連絡入れる。
即座に「大丈夫です」と返信が来た。
「もしもし」
『もしもし、こんばんは、由香さん。もうお家ですか?』
「はい。あの……ちょっと今日のリクくんのことでちょっと思い付いたのですが……」
『あ、仕事のお話しですか……』
深海さんはちょっと残念そうな声を出した。
「あ、はい、仕事です!」
『はい、何でしょうか?』
深海さんは即座に切り替えた。
「……今日、お話しはできました?」
『話聞くくらいですね。リクの感じていたのは……エイジも、忙しいシュンも少しずつ考えていたみたいで……なかなか話がは白熱しました』
「そうだったんですね……。あの、で、ええと、これただの思い付きなんですけど……」
『大丈夫です。それを僕らは高山さんに求めてスカウトしています』
「動画配信……ってどうでしょう?」
『動画配信……ですか』
「はい。今の時代、自分たちで3人の仕事を増やすとすれば、動画配信は一つの手かなと思ったんです」
『なるほど……』
深海さんは思考のために沈黙した。私は待つ。
『……一つの戦略としてアリです』
「本当ですか!」
『はい。この時代、そういうのはどんどんしていくべきです。ただ……そうですね、構成が問題になってきます』
「構成……」
『生半可な動画では現行ファンが喜ぶだけの毒にも薬にもならない動画にしかなりません。それももちろんファンサービスとして必要なものです……社長の言うところの癒やし、ですね』
「はい」
『だけど、トライアングルアルファの規模をもっと拡大していくことを考えると、それ以上が欲しくなります』
「ファン以外にも話題になるような面白動画、ということですね」
『はい。それを作れる人間……構成作家を頼む……もありはありですが……ラジオもやったことのない子たちにできるかどうか……あ、構成作家』
深海さんは何かに気付いた声を出した。
『構成作家なら……モラル藤原さんがやってらっしゃいます。僕が明日以降話を通してみます』
「本当ですか!」
『はい。とりあえず、明日の生放送が終わったら社長に相談してみましょう。実現性がまだ高くないのでトライアングルアルファの3人にはまだ話さないでおきましょう。ぬか喜びさせたくありません』
「分かりました」
『由香さん、アイデア、ありがとうございます』
「いえ! ただの……本当に思いつきで……深海さんみたいにちゃんと深めて考えたりとかは私は全然……」
『あなたがいてくれてよかった』
「…………!」
言葉が出ない。
うれしさで胸が詰まる。
恥ずかしさで顔が赤らむ。
なんだか溺れているみたいに、呼吸ができない。
「あ……ありがとう……ございます……」
私はなんとかそう返事をした。
『本当に、出会えてよかった。あなたが僕たちに……トライアングルアルファと瀬川深海にいてくれてよかった』
「そ、それは……お仕事の話、ですよね?」
『さあ、どうでしょう』
電話越しにいたずらっぽく笑う深海さん。
「……嬉しいです。私も、よかった。三角アイドル事務所に来れてよかった……」
言い淀む。照れくさい。でも、言っておきたい。
「……深海さんに会えて良かった」
『はい、僕もです』
しばしの沈黙。だけどその沈黙が心地よかった。
『……あ、今日はすみません。恋愛観を聞かれて思わずあんなことを……』
「ああ、いいんですよ、そんなこと」
いいのだ。終わったことだ。それがトライアングルアルファのためになるなら、それでいい。
赤井アルファさんがトライアングルアルファのためになる。それはちょっと痛快なことだった。
再びの沈黙。
いつまでもこうしていたいけどそういう訳にもいかないから、私は口を開いた。
「えっと、じゃあ、おやすみなさい」
『はい、おやすみなさい。あ、そうだ。明後日お休みですし、明日よかったらまたウチに泊まりに来ませんか?』
「あ、はい! 是非!」
『美味しい料理、今度こそ、ご馳走しますね。それじゃあ、おやすみなさい』
電話を切る。ふうとため息をつく。
「……下着!」
キレイな下着とついでに着替えを用意しなければいけない。
私は慌ててタンスをあさりに向かった。
自宅に帰り着き、私用のメッセージで深海さんに「お時間大丈夫ですか? お電話してもよろしいでしょうか」と連絡入れる。
即座に「大丈夫です」と返信が来た。
「もしもし」
『もしもし、こんばんは、由香さん。もうお家ですか?』
「はい。あの……ちょっと今日のリクくんのことでちょっと思い付いたのですが……」
『あ、仕事のお話しですか……』
深海さんはちょっと残念そうな声を出した。
「あ、はい、仕事です!」
『はい、何でしょうか?』
深海さんは即座に切り替えた。
「……今日、お話しはできました?」
『話聞くくらいですね。リクの感じていたのは……エイジも、忙しいシュンも少しずつ考えていたみたいで……なかなか話がは白熱しました』
「そうだったんですね……。あの、で、ええと、これただの思い付きなんですけど……」
『大丈夫です。それを僕らは高山さんに求めてスカウトしています』
「動画配信……ってどうでしょう?」
『動画配信……ですか』
「はい。今の時代、自分たちで3人の仕事を増やすとすれば、動画配信は一つの手かなと思ったんです」
『なるほど……』
深海さんは思考のために沈黙した。私は待つ。
『……一つの戦略としてアリです』
「本当ですか!」
『はい。この時代、そういうのはどんどんしていくべきです。ただ……そうですね、構成が問題になってきます』
「構成……」
『生半可な動画では現行ファンが喜ぶだけの毒にも薬にもならない動画にしかなりません。それももちろんファンサービスとして必要なものです……社長の言うところの癒やし、ですね』
「はい」
『だけど、トライアングルアルファの規模をもっと拡大していくことを考えると、それ以上が欲しくなります』
「ファン以外にも話題になるような面白動画、ということですね」
『はい。それを作れる人間……構成作家を頼む……もありはありですが……ラジオもやったことのない子たちにできるかどうか……あ、構成作家』
深海さんは何かに気付いた声を出した。
『構成作家なら……モラル藤原さんがやってらっしゃいます。僕が明日以降話を通してみます』
「本当ですか!」
『はい。とりあえず、明日の生放送が終わったら社長に相談してみましょう。実現性がまだ高くないのでトライアングルアルファの3人にはまだ話さないでおきましょう。ぬか喜びさせたくありません』
「分かりました」
『由香さん、アイデア、ありがとうございます』
「いえ! ただの……本当に思いつきで……深海さんみたいにちゃんと深めて考えたりとかは私は全然……」
『あなたがいてくれてよかった』
「…………!」
言葉が出ない。
うれしさで胸が詰まる。
恥ずかしさで顔が赤らむ。
なんだか溺れているみたいに、呼吸ができない。
「あ……ありがとう……ございます……」
私はなんとかそう返事をした。
『本当に、出会えてよかった。あなたが僕たちに……トライアングルアルファと瀬川深海にいてくれてよかった』
「そ、それは……お仕事の話、ですよね?」
『さあ、どうでしょう』
電話越しにいたずらっぽく笑う深海さん。
「……嬉しいです。私も、よかった。三角アイドル事務所に来れてよかった……」
言い淀む。照れくさい。でも、言っておきたい。
「……深海さんに会えて良かった」
『はい、僕もです』
しばしの沈黙。だけどその沈黙が心地よかった。
『……あ、今日はすみません。恋愛観を聞かれて思わずあんなことを……』
「ああ、いいんですよ、そんなこと」
いいのだ。終わったことだ。それがトライアングルアルファのためになるなら、それでいい。
赤井アルファさんがトライアングルアルファのためになる。それはちょっと痛快なことだった。
再びの沈黙。
いつまでもこうしていたいけどそういう訳にもいかないから、私は口を開いた。
「えっと、じゃあ、おやすみなさい」
『はい、おやすみなさい。あ、そうだ。明後日お休みですし、明日よかったらまたウチに泊まりに来ませんか?』
「あ、はい! 是非!」
『美味しい料理、今度こそ、ご馳走しますね。それじゃあ、おやすみなさい』
電話を切る。ふうとため息をつく。
「……下着!」
キレイな下着とついでに着替えを用意しなければいけない。
私は慌ててタンスをあさりに向かった。
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