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第43話 新しいお仕事
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シュンくんは生放送もそつなくこなした。
というか母屋さんと棟方さんが中心で、シュンくんは最後にCDを宣伝する役回りだった。
母屋さん、棟方さん、シュンくんがCDを手に持って、生放送は終わった。
「『刑事藤野の初恋』、来週月曜21時から! よろしくお願いします!」
そんな言葉とともにCMに移った。
「ふー……」
ため息をついていると深海さんとシュンくんが戻ってきた。
「お帰りなさい」
「ただいまです」
シュンくんはすでに鑑識の上着を脱ぎ、その下のシャツに手をかけていた。
私はお約束のように目をそらす。
深海さんが何か言いたげな顔をしたけど、私は視線でそれを制した。
アルファさんのことは、シュンくんの前では話したくなかった。
そんなことより事務所に帰ったら新曲の打ち合わせだ。
私はそれが楽しみだった。
事務所に戻るとまだ時間があった。
シュンくんは食堂に、私達は事務所のデスクに戻る。
「……瀬川さん、赤井アルファさんとのことなのですが……」
「ああ、4階行きましょう。新曲の打ち合わせに使う部屋がもう空いていると思います」
さすがにデスクでは話をしたくなかったようだ。
私だってそうだ。個人的な話も含まれるのだから。
「……って感じで、ええと、喧嘩売っちゃいました……」
「いや、良いと思います」
私の報告に、深海さんは苦笑した。
「ありがとうございます。僕、そんな風に言えなかったと思います……彼女には」
「いえいえ」
「そうですよね、トライアングルアルファの3人……気にしてないはず、ない」
深海さんは少し、落ち込んでいた。
「気付けなかった、僕の失策です」
「いやいや……」
なんと言うべきか困る。
こんな風に落ち込んでいる深海さんは珍しい。
写真に私が写り込んだときですら、こうはならなかった。
「……あの、深海さん……」
「ここにいたか! ふたりとも!」
「うおっ!?」
ノックもせずに社長が入ってきた。
「いいニュースだ! リクにCMの話が来た!」
「本当ですか!」
深海さんの顔が輝いた。立ち上がって社長に近付く。
「うん! なんかの雑誌取材で『もやしの山』の話しただろ? それが拾われて、『もやしの山』のメーカーからオファーが来た! 受けるな! 瀬川くん!」
「もちろんです!」
二人が盛り上がっていく。
これでリクくんはCM、シュンくんはドラマ、エイジくんはスポーツバラエティーの本戦……すごい。なんだか皆それぞれのフィールドで活躍しだしている。
私の胸は高鳴り始めた。
「すごい……」
「はい!」
深海さんは私を振り返って微笑んだ。
仕事中なことを忘れるくらい、素敵な笑顔だった。
その後、打ち合わせの部屋で私たちは細々とした業務をこなした。
「あ、深海さん。SNSの更新なんですけど、単独の仕事には名前のタグつけたらいいかなって」
「ああ、そうですね。それがいいかも」
「文字数多くなっちゃって本文短くなるかもしれないけど……」
「まあ、そこは工夫していきましょう」
「そういえば、今日の打ち合わせって、どういう方がいらっしゃるんですか?」
「作詞家さんと作曲家さん、それからレコード会社の井守さんですね」
「井守さん!」
深海さんが手元のパソコンにふたりの公式ホームページを出してくれた。
「作詞家さんはこの道のベテラン。社長のお知り合いです。作曲家さんは逆に新進気鋭のクリエイター。イマドキの方ですね。二人ともいい人ですよ」
「そうですか。お会いするのが楽しみです!」
「ええ、きっといい刺激になりますよ」
私は書類を作りながら、打ち合わせの時間を待った。
というか母屋さんと棟方さんが中心で、シュンくんは最後にCDを宣伝する役回りだった。
母屋さん、棟方さん、シュンくんがCDを手に持って、生放送は終わった。
「『刑事藤野の初恋』、来週月曜21時から! よろしくお願いします!」
そんな言葉とともにCMに移った。
「ふー……」
ため息をついていると深海さんとシュンくんが戻ってきた。
「お帰りなさい」
「ただいまです」
シュンくんはすでに鑑識の上着を脱ぎ、その下のシャツに手をかけていた。
私はお約束のように目をそらす。
深海さんが何か言いたげな顔をしたけど、私は視線でそれを制した。
アルファさんのことは、シュンくんの前では話したくなかった。
そんなことより事務所に帰ったら新曲の打ち合わせだ。
私はそれが楽しみだった。
事務所に戻るとまだ時間があった。
シュンくんは食堂に、私達は事務所のデスクに戻る。
「……瀬川さん、赤井アルファさんとのことなのですが……」
「ああ、4階行きましょう。新曲の打ち合わせに使う部屋がもう空いていると思います」
さすがにデスクでは話をしたくなかったようだ。
私だってそうだ。個人的な話も含まれるのだから。
「……って感じで、ええと、喧嘩売っちゃいました……」
「いや、良いと思います」
私の報告に、深海さんは苦笑した。
「ありがとうございます。僕、そんな風に言えなかったと思います……彼女には」
「いえいえ」
「そうですよね、トライアングルアルファの3人……気にしてないはず、ない」
深海さんは少し、落ち込んでいた。
「気付けなかった、僕の失策です」
「いやいや……」
なんと言うべきか困る。
こんな風に落ち込んでいる深海さんは珍しい。
写真に私が写り込んだときですら、こうはならなかった。
「……あの、深海さん……」
「ここにいたか! ふたりとも!」
「うおっ!?」
ノックもせずに社長が入ってきた。
「いいニュースだ! リクにCMの話が来た!」
「本当ですか!」
深海さんの顔が輝いた。立ち上がって社長に近付く。
「うん! なんかの雑誌取材で『もやしの山』の話しただろ? それが拾われて、『もやしの山』のメーカーからオファーが来た! 受けるな! 瀬川くん!」
「もちろんです!」
二人が盛り上がっていく。
これでリクくんはCM、シュンくんはドラマ、エイジくんはスポーツバラエティーの本戦……すごい。なんだか皆それぞれのフィールドで活躍しだしている。
私の胸は高鳴り始めた。
「すごい……」
「はい!」
深海さんは私を振り返って微笑んだ。
仕事中なことを忘れるくらい、素敵な笑顔だった。
その後、打ち合わせの部屋で私たちは細々とした業務をこなした。
「あ、深海さん。SNSの更新なんですけど、単独の仕事には名前のタグつけたらいいかなって」
「ああ、そうですね。それがいいかも」
「文字数多くなっちゃって本文短くなるかもしれないけど……」
「まあ、そこは工夫していきましょう」
「そういえば、今日の打ち合わせって、どういう方がいらっしゃるんですか?」
「作詞家さんと作曲家さん、それからレコード会社の井守さんですね」
「井守さん!」
深海さんが手元のパソコンにふたりの公式ホームページを出してくれた。
「作詞家さんはこの道のベテラン。社長のお知り合いです。作曲家さんは逆に新進気鋭のクリエイター。イマドキの方ですね。二人ともいい人ですよ」
「そうですか。お会いするのが楽しみです!」
「ええ、きっといい刺激になりますよ」
私は書類を作りながら、打ち合わせの時間を待った。
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