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第32話 お食事
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トライアングルアルファ行きつけの焼き肉屋のレディースランチはなかなかにボリュームたっぷりであった。
私は三分の一をシュンくんにあげた。
……私、ここ最近、肉かカップ麺しか食べていない気がする……?
ちょっと健康が気になってきたぞ。
「そういえばシュンくんたち3人は自分たちで自炊してるんだっけ?」
「はい。食べたものを写真撮って瀬川さんに報告してます」
「そうなんだ……! 私も瀬川さんに報告しようかな……」
そうしたら、健康的な生活を送れるようになる気がする。
「あはは、いいですよ」
瀬川さんが3人分のお肉を焼いてくれながら笑う。
しかしその目が微妙に笑ってない。
お仕事モードが抜けきってない感じの顔だ。
「……すごく厳しく見ますからね、その場合」
なんか先日のカップ麺→コンビニ弁当のコンボがバレたらめちゃくちゃ叱られそうだった。
「……考えておきます。そういえば瀬川さんは料理は……?」
「こう見えて得意です」
こう見えてというが、けっこうイメージ通りである。
「大学からひとり暮らしでしたし……まあ、家庭の一通りのことは。そういえば、明日から大学だな、シュン。一足先に、入学おめでとう」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「いろいろあると思うが、怪しいのには近付くなよ……本当いろいろあるから……大学……」
なんだか瀬川さんが遠い目をした。
いろいろあったらしい。気になるが、なんだか聞きにくい。
「深海さんの学生時代気になる」
シュンくんがズバッと私の気持ちを代弁してくれた。
「あはは、この表情を見て聞くかー……まあいちばん大きかったのは結局社長に会ったことかなあ」
「就活の話……ですか?」
「はい、まあそんなところです」
それは大学の話と呼べるのだろうか……?
結局、瀬川さんはそれ以上、話はせず、シュンくんにサークルに入ることは禁止しないけれど、このご時世に未成年飲酒をさせるようなサークルにだけは入るなと口酸っぱく言い続けた。
「サークルは入るつもりはないです。アイドル活動と大学の両立でいっぱいっぱいですよ」
「そうか、まあサポートはしていくから、何でも言うんだぞ。高山さんもいるしな」
「あ、はい! 私がんばるね!」
「お願いします、高山さん、深海さん」
シュンくんは深々と頭を下げた。
真摯なその態度に気が引き締まる思いがした。
事務所に到着、地下のダンススタジオに直行する。
「あー! 焼き肉のにおい!」
ダンススタジオに入ってそうそうリクくんがそう叫んで駆け寄ってきた。
鼻がいいのかよっぽど匂うのか。
「いいなー! フカミン、焼き肉! 俺も焼き肉ー!」
「今度な、今度リクとエイジも連れてくから」
「やったー!」
リクくんとエイジくんがハイタッチをした。
ハイタッチの姿勢のまま、エイジくんが口を開く。
「あ、そうだ。ジャージ届いてましたよ、深海さん」
「おお、じゃあ、さっそく着て記念撮影するか。明日のスポーツバラエティーでたぶん汚れるしな」
「今度は鏡のないとこで、写り込み厳禁!」
「はい、気を付けます」
リクくんの注意に瀬川さんが頭をかいた。
ダンススタジオは鏡だらけだ。ジャージを着て廊下に移動する。
イメージカラーのお揃いのジャージ。胸元には三角形のロゴがついている。
「あれやろーぜ! あれ!」
リクくんがジャージを着てはしゃぐ。
「はいはい」
「やろうか!」
シュンくんエイジくんがリクくんに応える。
「黄色い太陽あなたに煌めく! リクでーす!」
「青い風が心を奪う。シュンです」
「緑の木陰に癒やされて! エイジです」
「3人合わせてー」
「トライアングルアルファ!!!」
その一連の動作を、瀬川さんはせわしなくシャッターを切って写真に収めた。
「うん、いい感じ」
「あとで写真ちょうだい、フカミン。グループメッセージに送って!」
「はいはい」
瀬川さんからの写真が送られてくる通知が鳴り止まない『トライアングルアルファ+スタッフ』と書かれたグループメッセージを私はニコニコと見つめた。
そこにはキラキラに輝く彼らがいた。
私は三分の一をシュンくんにあげた。
……私、ここ最近、肉かカップ麺しか食べていない気がする……?
ちょっと健康が気になってきたぞ。
「そういえばシュンくんたち3人は自分たちで自炊してるんだっけ?」
「はい。食べたものを写真撮って瀬川さんに報告してます」
「そうなんだ……! 私も瀬川さんに報告しようかな……」
そうしたら、健康的な生活を送れるようになる気がする。
「あはは、いいですよ」
瀬川さんが3人分のお肉を焼いてくれながら笑う。
しかしその目が微妙に笑ってない。
お仕事モードが抜けきってない感じの顔だ。
「……すごく厳しく見ますからね、その場合」
なんか先日のカップ麺→コンビニ弁当のコンボがバレたらめちゃくちゃ叱られそうだった。
「……考えておきます。そういえば瀬川さんは料理は……?」
「こう見えて得意です」
こう見えてというが、けっこうイメージ通りである。
「大学からひとり暮らしでしたし……まあ、家庭の一通りのことは。そういえば、明日から大学だな、シュン。一足先に、入学おめでとう」
「おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「いろいろあると思うが、怪しいのには近付くなよ……本当いろいろあるから……大学……」
なんだか瀬川さんが遠い目をした。
いろいろあったらしい。気になるが、なんだか聞きにくい。
「深海さんの学生時代気になる」
シュンくんがズバッと私の気持ちを代弁してくれた。
「あはは、この表情を見て聞くかー……まあいちばん大きかったのは結局社長に会ったことかなあ」
「就活の話……ですか?」
「はい、まあそんなところです」
それは大学の話と呼べるのだろうか……?
結局、瀬川さんはそれ以上、話はせず、シュンくんにサークルに入ることは禁止しないけれど、このご時世に未成年飲酒をさせるようなサークルにだけは入るなと口酸っぱく言い続けた。
「サークルは入るつもりはないです。アイドル活動と大学の両立でいっぱいっぱいですよ」
「そうか、まあサポートはしていくから、何でも言うんだぞ。高山さんもいるしな」
「あ、はい! 私がんばるね!」
「お願いします、高山さん、深海さん」
シュンくんは深々と頭を下げた。
真摯なその態度に気が引き締まる思いがした。
事務所に到着、地下のダンススタジオに直行する。
「あー! 焼き肉のにおい!」
ダンススタジオに入ってそうそうリクくんがそう叫んで駆け寄ってきた。
鼻がいいのかよっぽど匂うのか。
「いいなー! フカミン、焼き肉! 俺も焼き肉ー!」
「今度な、今度リクとエイジも連れてくから」
「やったー!」
リクくんとエイジくんがハイタッチをした。
ハイタッチの姿勢のまま、エイジくんが口を開く。
「あ、そうだ。ジャージ届いてましたよ、深海さん」
「おお、じゃあ、さっそく着て記念撮影するか。明日のスポーツバラエティーでたぶん汚れるしな」
「今度は鏡のないとこで、写り込み厳禁!」
「はい、気を付けます」
リクくんの注意に瀬川さんが頭をかいた。
ダンススタジオは鏡だらけだ。ジャージを着て廊下に移動する。
イメージカラーのお揃いのジャージ。胸元には三角形のロゴがついている。
「あれやろーぜ! あれ!」
リクくんがジャージを着てはしゃぐ。
「はいはい」
「やろうか!」
シュンくんエイジくんがリクくんに応える。
「黄色い太陽あなたに煌めく! リクでーす!」
「青い風が心を奪う。シュンです」
「緑の木陰に癒やされて! エイジです」
「3人合わせてー」
「トライアングルアルファ!!!」
その一連の動作を、瀬川さんはせわしなくシャッターを切って写真に収めた。
「うん、いい感じ」
「あとで写真ちょうだい、フカミン。グループメッセージに送って!」
「はいはい」
瀬川さんからの写真が送られてくる通知が鳴り止まない『トライアングルアルファ+スタッフ』と書かれたグループメッセージを私はニコニコと見つめた。
そこにはキラキラに輝く彼らがいた。
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