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第29話 マネージャー、SNSをする
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3人をマンションに送り届け、私達は事務所に戻った。
5階のデスクに戻ると、私の席が用意されていた。
瀬川さんの隣だった。
瀬川さんは席に着くと猛スピードでパソコンのキーボードを叩き始めた。
お仕事のメールでも来ていたのだろう。
瀬川さんの横顔はお仕事モード。真剣な顔つきだった。メガネの向こうにキリリとした目が覗く。
パソコンから視線を離さないまま、瀬川さんが口を開いた。
「あ、高山さん、送った写真4枚まとめてSNSに上げておいてください。末尾に『かっこマネージャーTかっことじ』ってつけて」
「あ、はい」
瀬川さんが送ってきたのは土曜日のライブの写真だった。
3人が揃っているのと1人ずつのアップで合計4枚。
「えっと文面はどのような感じで……」
「はじめましてよろしくお願いします系とあとは過激じゃなければ、なんでも大丈夫です。僕らの過去の投稿など参考にしてもらえれば」
「分かりました」
私は少し悩んで、過去の投稿をいくつか見て、こう打ち込んだ。
『土曜日のリリイベの写真をお届けします! はじめまして、新人マネージャーTです! 以後よろしくお願いします!(マネージャーT)』
投稿した瞬間に反応が来る。
『やったー! かっこいい!』
『ありがとうございます。憂鬱な月曜に供給ありがとうございます!』
『Tさんよろしく~』
『あ、謎の女さん?』
『写真よく撮れてますね』
『3人のはトライアングルαのとき、リクのはMCのとき、エイジのは春空の色のとき、シュンはtelepathy rhythmのときですね』
「おお、特定班だ……」
私にはこの特定班さんの分析が正しいのか自信がなかった。けど、たぶん合ってるのだろう。
そして今、思い出したけれど、私はトライアングルアルファのCDを持っていない。
『トライアングルα』のカップリング曲と恋愛ドラマの主題歌のカップリング曲に至っては聞いたこともない。
マネージャーとして、これはマズい。
それに今までのお仕事についても知っておくべきだろう。
そう思って、私は瀬川さんに声をかけた。
「……あの、瀬川さん、私、トライアングルアルファの3人の今までのお仕事について知っておきいたいんですが……」
瀬川さんはパソコンから視線を切って、私を見た。
その顔は少しだけ嬉しそうで、でも、お仕事モードの真剣な色だった。
「今までの活動はスマホのスケジュール帳に同期してあります。実際の映像なんかは資料室にあります。今後、使うかもしれませんから、見に行きましょう。社員証持ってください。ICカードになってます。ロック外すのに使います」
「あ、はい」
瀬川さんは、パソコンの電源を落として立ち上がった。
「それが終わったら今日は上がりにしましょう。ということでカバンも持っていきましょう」
「は、はい!」
私もカバンを持って立ち上がる。
瀬川さんはフロアに声をかけた。
「それではお先に失礼します!」
「し、失礼します!」
「おつかれー」
「お疲れ様です」
「高山さん、初日お疲れー」
「あ、ありがとうございます」
私に労いの言葉が飛ぶ。私はペコペコと頭を下げた。
エレベーターで4階に降りる。
会議室の奥に資料室はあった。
入り口のセンサに社員証を当てる。ハイテクだ。
棚をすり抜けると、比較的入り口に近いところにその棚はあった。
「ここです。この棚全部トライアングルアルファの3人のもの」
「おお……」
武骨な棚に録画媒体や雑誌がぎっしりと置いてあった。
「退社時間まであるので、どうぞご自由にご覧ください。あ、CDなら余分が僕の車に積んであるんでお渡ししますよ」
「あー……今まで出したCDって3枚ですよね?」
「はい。『トライアングルα』『トライアングル愛』『春空の色』の3枚です」
『トライアングル愛』……そういえば、あの恋愛ドラマは三角関係のドラマだったか。
「じゃあ、買います。買いたいです」
「……そうですか」
瀬川さんは、嬉しそうに笑った。
その笑顔はやっぱり眩しかった。
資料室を出て、駐車場に向かう。
「ご自宅までお送りしますよ」
「あ、いや、私今日はあの飲み屋……瀬川さんと社長にお会いした飲み屋に寄ります」
「じゃあ、そちらまでお送りします」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
明日はドラマの撮影で早い。
そんなに飲むつもりはない。
ただ、常連仲間のお姉さんに会いたかった。
色々と愚痴をこぼして、心配をかけている。
だから再就職を報告して安心させたかった。
飲み屋最寄りの駐車場につくと、瀬川さんは電話をかけ始めた。
「シュンに早く寝ろ、って釘刺しておきます」
「なるほど、今日はありがとうございました」
「いえいえ、お疲れ様でした」
私達は、別れた。
5階のデスクに戻ると、私の席が用意されていた。
瀬川さんの隣だった。
瀬川さんは席に着くと猛スピードでパソコンのキーボードを叩き始めた。
お仕事のメールでも来ていたのだろう。
瀬川さんの横顔はお仕事モード。真剣な顔つきだった。メガネの向こうにキリリとした目が覗く。
パソコンから視線を離さないまま、瀬川さんが口を開いた。
「あ、高山さん、送った写真4枚まとめてSNSに上げておいてください。末尾に『かっこマネージャーTかっことじ』ってつけて」
「あ、はい」
瀬川さんが送ってきたのは土曜日のライブの写真だった。
3人が揃っているのと1人ずつのアップで合計4枚。
「えっと文面はどのような感じで……」
「はじめましてよろしくお願いします系とあとは過激じゃなければ、なんでも大丈夫です。僕らの過去の投稿など参考にしてもらえれば」
「分かりました」
私は少し悩んで、過去の投稿をいくつか見て、こう打ち込んだ。
『土曜日のリリイベの写真をお届けします! はじめまして、新人マネージャーTです! 以後よろしくお願いします!(マネージャーT)』
投稿した瞬間に反応が来る。
『やったー! かっこいい!』
『ありがとうございます。憂鬱な月曜に供給ありがとうございます!』
『Tさんよろしく~』
『あ、謎の女さん?』
『写真よく撮れてますね』
『3人のはトライアングルαのとき、リクのはMCのとき、エイジのは春空の色のとき、シュンはtelepathy rhythmのときですね』
「おお、特定班だ……」
私にはこの特定班さんの分析が正しいのか自信がなかった。けど、たぶん合ってるのだろう。
そして今、思い出したけれど、私はトライアングルアルファのCDを持っていない。
『トライアングルα』のカップリング曲と恋愛ドラマの主題歌のカップリング曲に至っては聞いたこともない。
マネージャーとして、これはマズい。
それに今までのお仕事についても知っておくべきだろう。
そう思って、私は瀬川さんに声をかけた。
「……あの、瀬川さん、私、トライアングルアルファの3人の今までのお仕事について知っておきいたいんですが……」
瀬川さんはパソコンから視線を切って、私を見た。
その顔は少しだけ嬉しそうで、でも、お仕事モードの真剣な色だった。
「今までの活動はスマホのスケジュール帳に同期してあります。実際の映像なんかは資料室にあります。今後、使うかもしれませんから、見に行きましょう。社員証持ってください。ICカードになってます。ロック外すのに使います」
「あ、はい」
瀬川さんは、パソコンの電源を落として立ち上がった。
「それが終わったら今日は上がりにしましょう。ということでカバンも持っていきましょう」
「は、はい!」
私もカバンを持って立ち上がる。
瀬川さんはフロアに声をかけた。
「それではお先に失礼します!」
「し、失礼します!」
「おつかれー」
「お疲れ様です」
「高山さん、初日お疲れー」
「あ、ありがとうございます」
私に労いの言葉が飛ぶ。私はペコペコと頭を下げた。
エレベーターで4階に降りる。
会議室の奥に資料室はあった。
入り口のセンサに社員証を当てる。ハイテクだ。
棚をすり抜けると、比較的入り口に近いところにその棚はあった。
「ここです。この棚全部トライアングルアルファの3人のもの」
「おお……」
武骨な棚に録画媒体や雑誌がぎっしりと置いてあった。
「退社時間まであるので、どうぞご自由にご覧ください。あ、CDなら余分が僕の車に積んであるんでお渡ししますよ」
「あー……今まで出したCDって3枚ですよね?」
「はい。『トライアングルα』『トライアングル愛』『春空の色』の3枚です」
『トライアングル愛』……そういえば、あの恋愛ドラマは三角関係のドラマだったか。
「じゃあ、買います。買いたいです」
「……そうですか」
瀬川さんは、嬉しそうに笑った。
その笑顔はやっぱり眩しかった。
資料室を出て、駐車場に向かう。
「ご自宅までお送りしますよ」
「あ、いや、私今日はあの飲み屋……瀬川さんと社長にお会いした飲み屋に寄ります」
「じゃあ、そちらまでお送りします」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
明日はドラマの撮影で早い。
そんなに飲むつもりはない。
ただ、常連仲間のお姉さんに会いたかった。
色々と愚痴をこぼして、心配をかけている。
だから再就職を報告して安心させたかった。
飲み屋最寄りの駐車場につくと、瀬川さんは電話をかけ始めた。
「シュンに早く寝ろ、って釘刺しておきます」
「なるほど、今日はありがとうございました」
「いえいえ、お疲れ様でした」
私達は、別れた。
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