公爵令嬢は破棄したい!

abang

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公爵令嬢は帰りたい

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今日はセルドーラ、エウリアスの連合軍との戦いを労り、王宮よりパーティーが開かれるので、エラサで功績をあげたセシール達も勿論招待されており、欠席するわけにはいかなかった。




「お嬢様、目を離した隙に漬け込まれないように、くれぐれも男どもには気をつけて下さいよ。」

リアムにはあれからも中々至らぬわたくしに、淑女としての身を守る方法を教わっている。


「いけませんね、お嬢様。胸元が開きすぎです。エイダ、別のドレスを。」


「リアム、このくらいは普通よ。せっかくエイダとエイミーが時間をかけて用意してくれたんだもの、いいわ。」


笑顔のリアムから黒い雰囲気がして、マズイと思った時にはリアムがすぐ近くに立って居た。


「では、お嬢様。例えばエスコートの際です….」


セシールの手を取り腰に手を添えたリアムはセシールをエスコートする、だがその視線はセシールの胸元にあり、小柄なセシールを見下ろす形になるリアムに覗き込まれている気分になる。


「リアム、ど…どこをみるの!やめなさい。」


「お嬢様の白い肌が深い紫のドレスに生えて、こちらの角度からはその柔らかそうな膨らみが強調されて見えます。」



リアムのセシールの身体を観察するように見る目線にモジモジと居心地悪そうにセシールは身を小さくし、赤面していた。


「おや?お嬢様は、見られて感じるのですか?」



感じるとは?何か分かなくて首を傾げると、リアムに耳元で言われる。


「そんなに頬を赤くし、モジモジしていると見られるだけで気持ちが良くなって、誘っているのかと思われます。」


(嗚呼、なんてお可愛らしい…こんな顔はだれにも見せてやれない。)


セシールはデコルテまで真っ赤にしてリアムにゲンコツする。
最近は、どこか楽しんでいる様にも見えるリアムにふんっと顔を逸らすとダンテが来た所でクスクスと笑っていた。


「リアム、あまりお嬢様を責めてはいけない。時間ならたっぷりとあります。ゆっくり選びましょう。」


優しく言うダンテにほっとして、エイダとエイミーが次のドレスを持って来てくれるのを待とうと一人用のソファに座ると、ダンテが肩から毛布をかけてくれる。


「恥じらうお嬢様もとてもお可愛らしくて、そそるのですが…リアムの言う様にあまり男共を刺激してはいけませんからね。」

少しだけ戯けて言ったダンテにまた赤面しセシールはそっぽを向いて「からかわないで、二人とも。」努めて澄ました顔で言った。


結局はエイダとエイミーが持ってきたのは、タートルネックだが、肩紐は無く背中の大きく空いたタイトな白地に金の刺繍を施されたマーメイドドレスであった。


リアムは不服そうな顔をしていたが、部屋に来たディアーナにより絶賛されてしまい、それ決まった。


パーティーにはリアムとダンテが使用人の部屋で待つことになっていた。


「セシールちゃん、エスコートはどうしようかしら…騎士爵であるダンテは伯爵以上ではないので入れないし…」



解消したばかりで、テオドールと入城する訳にもいかず、
ディアーナが悩んでいると、マケールと共に珍しく軽く前髪を上げた正装姿のクロヴィスが入ってきた。


「ご機嫌よう、ディアーナ様、セシール。お父上の名で参りました。」


いつもの通り、エスコートする女性もいないもんでね、と苦笑していた。


「クロ、とても素敵だわ、あの…ありがとう」


この間の告白を思い出し恥ずかしげに言うセシールひマケールは眉をピクリと動かして、近くにいたエイミーを呼んだ。

「エイミー、ショールと金庫にしまってある我が家の紋章のは刻まれた金のアクセサリーを一式。」


「まぁ貴方ったら、厳しいのか甘いのだか、、」クスクス


ディアーナにクスクスと笑われ、居心地が悪そうに咳払いをした後クロヴィスに向いて鋭い目線で言った。


「クロヴィス、お前を信用している。」


「ええ、勿論きちんとお護りします。」

牽制するようなマケールに、余裕の表情で頭を下げたクロヴィスは続けて昔のような砕けた口調で言った。


「おじさん、変な気を起こすなら、もうやってるよ。」


「お前っ!…まぁいいお前なら大丈夫だと思い呼んだ。ハイエナ共に指一本触れさせるな?」


「御意」




セシールの成長に過保護が悪化するマケールを見て、ディアーナは頬に手を当てため息をついていた。



「まったく、大袈裟ねぇ…」
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