公爵令嬢は破棄したい!

abang

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伯爵令嬢の行方

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エレメントが部屋を出てからどのくらいが経ったか、目を覚ますと男達は、血を流し、倒れていた。

「きゃー!!な、なによこれ、」

自分の姿を見て驚愕した。

艶のある亜麻色の髪は何かがベットリとついていたし、所々固まってしまっていた。

美しい顔も、打たれた頬が赤くなり、顔はカピカピと表情筋が動かしにくい。

この部屋もかなり臭うが、口内からは生臭い匂いがして、身体中は動くたびに痛んだ。

立ちあがろうとすると太ももから何かが勢いよく溢れでて全身に広がるアザはきっと跡に残るだろうと思った。

「…っ!なんでっこうなったのよっ…ぇ…っく」


止まらない涙を拭うこともせず、とにかく逃げないとと無理矢理立ち上がると、ギデオンが座っていた。


「クーデターは失敗したそうだ。」


騒ぎに紛れて牢を出たと言うギデオンはエミリーを探しに来たのだと言った。

「ギデオン!ご、ごめんなさい、あの時は気が立ってたの、、お願い、綺麗にしてくれない?」

魔法をきちんと勉強していないエミリーはエレメントの魔力を間借りしても生活魔法すら使えなかった。


「すまんな。俺は強化魔法しか使えない。」

「…っそう。」

「エミリー嬢の屋敷だ、湯浴みをすればいい」

「ひとりで入ったことないわ…」



ーー王宮

ほとんどが片付き、別室に皆集められていた。

「皆に礼を言う。エラサは激戦だったと聞いた。」

「私からも礼を言います。よくやってくれました。」


国王と王妃が頭を下げる。


マチルダが恐縮したように焦って言う、



「頭をお上げ下さい、両陛下!私共が戦うのは臣下として当然ののことで、それにエラサについてはセシール嬢の力になりたくて、公爵様に自ら志願したことです。」



「私も同じです。国の為、大切な友人の為に戦えたことを光栄に思っております。」


続けてクロヴィスが床に膝をついて言うと、口々に皆も同じようなことを言った。



そして、テオドールはその場で頭をさげ、謝罪した。


「今回の事は私に責任があります。幼稚な一時の感情に揺さぶられ、判断を鈍らせてデボラ令嬢を増長させました。

セシールにも辛い時間を過ごさせたでしょう。父上、母上、処罰は謹んでお受け致します。皆も、申し訳無かった。」


「テオドール、今回の件はどちらにせよお前ではどうにもできまい。だが、王太子としての自覚が欠如しておる。紛い物の小娘にうつつをぬかすとは、心が弱いからだ。」


「あなたには、当面の謹慎を命じます。王宮を出てはなりません。きちんと1から鍛え直し、学び、ありあまる時間で自分というものを考えなさい。」


「はい。」

「そして、セシール嬢との婚約の件だが…」



テオドールはピクリと肩をはねさせ、伺うように顔をゆっくり上げた。


「では、国王に代わって私が…

私達はセシールを実の子のように愛していますがだからと言って王家に無理矢理縛り付ける訳にはいきません。

セシールの想いをきちんと聞き、それ次第では婚約をこちらの責任で解消致します。」


「もちろん、セシールが愚息を選んだ時は有り難く受け入れるつもりだが。」


皆はそれぞれ、違う表情で聞いていた。とにかくセシールが目を覚ますまでは保留となり、


それぞれ、邸に戻ることになった。

マチルダ、クロヴィス、ダンテ、リアムは一度エラサに戻り、セシールが眠っているので代理としてエラサの住人を安全に帰し、王都に戻る準備をすることになった。


「すまないね、私とディアーナが行ければいいのだか、まだ少しこっちを離れられそうになくてね…」

「貴方達にお願いすることになってしまって、、」


申し訳無さそうにするノーフォード夫妻にふふっとマチルダは笑って言う。

「ここに、セシールの他に大暴れした人がいるので、念のため、巡回してきます!」

「なっ!お前もだろう!」

「門ごと泉の手前までが更地になっていました。」

「ダンテ!」「お嬢様は見通しが良くなったと。」

「リアム!!!お前達!!!」

馴染み深いノーフォード夫妻を見て安心したのか、年相応に騒ぎ始めた4人を微笑ましげに見て、マケールは微笑んだ。

「セシールはいい仲間を持ったのだな、」


「「「「……………。」」」」



「あら、どうしたの?」
「なんだ、急に?」


「お、おじさんがそんなに優しく笑うなんて…」

マチルダはとっさに子供の頃に戻ったような口調で目を大きく開いて言うと、

他の3人は首顔もげるほど頷いた。


「お前達は昔から……」

「ダンテまで立派に仲間入りね、ふふっ」


笑っているディアーナを横目に、額に手をあて、呆れたように言って、シッシッと手を振り早く行けという素振りをした。



そして、エミリーの捜索は続行中だったが、それは思わぬ形で発見することとなった。


結局、身体を清めることもできず、ギデオンに連れられ王都に入ったエミリー嬢は爪を噛みながら何かを考えていた…。

(そうよ、そうすればいいわ!!!)
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