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公爵令嬢は残さない2
しおりを挟むそこに、駆けつけたのはテオドールであった。
それを後から追うのは、アルマン達である。
「セシール!!!!アルフレッド、貴様っ!!!!」
「テオ!待て!!」
テオドールが凄い殺気を放ってそのままアルフレッドに向かう、
テオドールの魔力は強大な威力で、一歩足を踏み込むだけで地面が丸く削られている。
「テオ、来てはいけないわ…」
セシールはテオドールに首を振りながら言ったが、テオドールの勢いは止まらない。
アルフレッドは、向かってくるテオドールとの圧倒的な力の差に、本能的に身体が震え、テオドールに懇願する。
「テオドール、来るな、やめろっやめてくれ頼む、」
「セシール、すまない、動かずには居られなかった。」
「仕方がありません、終わりにしましょう、アルフレッド」
セシールの魔力が上昇し。吸い切れなくなった魔道具は粉々に壊れる。拘束していたアルフレッドの魔力は弾かれ、アルフレッドはまた、本能的にまずいとセシールから逃げようとした。
が…次の瞬間には 自分の身体とセシールを客観的に見ていた。
「セ…シール、」
アルフレッドの首を刎ねたのはテオドールの魔力で強化された手刀だった。
「テオ、全て終わるわ。」
「セシール…?」
ーー王都side
エレメントはエミリーを聖女に仕立て上げ、クーデターを起こしていた。
(アルフレッドがじきにテオドールの首を持ってくる、それまでにディアーナ様を手に入れ、王宮を占拠しなければ)
だか、エレメントの思うようには行かなかった。
マケールとディアーナは片時も側を離れないし、その強さはとても簡単に彼女を力尽くで奪えるものではなかった。
そして、お互いを見る目線は、深い愛で満ちておりエレメントをイライラさせるものばかりであった。
(ほんと昔からマケールは嫌いだよ。ディアーナ様が欲しい、どうやったら手に入る!?)
一旦引き返し、隠れ家としているデボラ邸の地下に一緒に連れて帰ったエミリーを乱雑に床に放り投げた。
「いっ!!!!っエレ様!??どうなさったの??」
エミリーは期待と不安を混ぜた眼差しでベルトを緩めるエレメントを見つめるが、エレメントには、脳内のディアーナの姿しか映っていなかった。
エミリーの髪を掴み、彼女の小さなお尻を、後ろから力まかせに何度も叩いた。
「痛いっ!お父様が、来ます!や、やめて下さい!!!」
捲り上げたそこは、真っ赤に腫れており、まだ準備をしていないエミリーの中にエレメントは激しく、ディアーナの名を何度も呼びながら何度も欲を吐き出した。
「ディアーナ!なせ貴方はマケールと居る!!」
「いけない人だ!ディアーナ、愛しているのに!!」
エミリーは激怒していたが、エレメントの魔力に当てられ声も出せずに抵抗すらできぬまま涙を流し続けていた。
(そうよ、子が出来ればこっちのものだし、コイツがあの女の母親を好きでもテオ様を飼って愛し合えばいい、)
心の中でそう考えながらエミリーは今を耐えていた。
そしてエミリーの美しい身体はエレメントによって、叩かれ赤くなり、強く床に押し付けられたせいで、膝にはアザができていた。
すると、エレメントが麻袋を取り出し放り投げた。
「あ、それと…君の父上はもう来ないよ」
(思わず身代わりにしてしまったが…どうせすぐ殺すからいいか)
地面に鈍い音を立てて落ちた袋から飛び出た手には、デボラ家の当主が代々譲り受ける指輪がされていた。
「ひっ…お父様!!な、なんで!」
堪えることなく、髪をかきあげながら、エレメントはエミリーに言い放った。
「エミリー、ほんとうによくやってくれたよ。」
「一度動き出せば争いはなかなか止まらない。」
「だからなんだっていうのよ!!!!この人殺し!!」
「おや?君もだろう?君の魅了は巧妙だが感情に左右される実に中途半端なものだ。恨みも沢山買っているようだね。」
「そうだとして。なに?関係あるの?雑魚共に私はもったいないわ!!!」
汚らわしげににエミリーを見て、エレメントは使用人に合図をした。
すると、ぞろぞろとかつて愛したエミリーの魅了にかかり、人生を壊され、エミリーにズタボロに捨てられた様々な身分の男たちが地下に入ってきた。
「あんた達なによ、早く助けなさいよ!」
「この娘は、聖女でもなんでもないただの紛い物だ。僕の用は済んだし、うっかり、使っちゃったけど気晴らしにはなるでしょう。気が済んだら始末しといてね。」
興味無さげに部屋をでたエレメントに手を伸ばしたが、
男たちの力には敵わず、叩かれ、欲に穢され続けた。
「キャアアアアアア、やめろ!やめろよ!!!!」
(私がこんな目にあうなんて!!許さないわセシール!!!どいつも!絶対に許さない!!!!)
狭い地下に逃げ場は無く、エミリーの意識がなくなっても、ずっと、ずっとソレは続いた。
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