公爵令嬢は破棄したい!

abang

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伯爵令嬢の秘密の朝

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今日は朝から目当てのテオドールが居なくて、イライラしていた。


実技の授業が始まるので新調した動きやすい服はとびきりセクシーに可愛く仕立てた。


(実用性はあんまり無いのだけど、ただの授業だし大丈夫ね!)


お母様は私にはとても甘く、お父様もお母様には弱いのでなんでも思うがままだった。


胸元が開いたピンクのブラウスにパンツは身体のラインがピッタリと出る黒い生地のもので両サイドが網タイツのように透けている。

はしたないと私を見下す奴もいるけれど、中には肌を見せて武器とする平民の考えを野心が高いと支持する奴もいた。


(せっかく早く着替えたのにテオ様はいないし……生徒会室かしら?)


「ごきげんよう~!」


生徒会室の中には水色の綺麗な髪を下ろしたダグさまと、逞しい筋肉がセクシーなギデオンさまの二人だけで彼らもまた着替えの最中のようだ。



「あ……っ、きゃぁ!」

「「エミリー嬢!?」」

「お着替え中だったのですね、お二人も魔法科ですものね……」


美丈夫の着替えなんていつまでだって見て居たけれど、ここは恥じらうフリをしておかないと……と純粋な照れた表情を貼り付けた。



ダグラスの目に映った扉の前に立つエミリーは何とも煽情的であった。


貴族女性では珍しい、身体の形がピタリと分かる授業用の服は彼女の豊かな胸を強調させその胸元は見えるか見えないかというギリギリの所まで開いている。


細い足を黒のパンツが更に引き締め、その両端は腰から足首までがレースのようなもので透けていてその奥を想像させるものだった。


そんなエミリーの姿に隣に居るギデオンはもう完璧に陥落したようだ。


政略であるとはいえ、不憫なエミリー嬢を守っているうちに彼女に惹かれていることには気づいていたが一応婚約者のいる身。

彼女から目を逸らしキデオンにも何事もないようにと声を掛けた。


「ああ、私達はここで着替えていたんだ。エミリー嬢は斬新で素敵な格好だね」


「おっ俺はエミリー嬢の格好好きだ!俺の婚約者なんかより数百倍いい」


「まぁ、ギデオン様ったらダメですよ?婚約者様を大切にしないと!」


と彼女がギデオンの腕に触れながら照れたように覗きこんだら、ギデオンは一瞬固まったかと思うともう我慢出来ないというように顔を熱らせ、自身の主張を隠すように座った。


「ダグ様?」と無言だった私を覗き込んで心配そうにする彼女のブラウスの中が見えてしまい急いで目を逸らしたが、

「あっ…はしたないわ、恥ずかしいです」私の視線に気付いてボタンをひとつ閉めながら見上げてくる誘惑するような瞳に理性というものが消えるのを感じた。



(あーあ。テオ様居ないし、ダグ様とギデオン様でいっか。まだまだ時間あるし遊んでいこうっと)


エミリーの格好と魅了の力によって二人の理性はすっかり飛んでしまったようだった。


エミリーは少しだけ力を使って遊んでいたはずが、どうやらエミリーを好きな者達にはテキメンな効果を表すらしい。

二人はもうすっかりエミリーしか見えていないようだった。

「エミリー嬢…っ」

「エミリー嬢っ」


二人の熱っぽい視線にエミリーは熱くなる疼きを感じながら貼り付けた純粋な笑顔で微笑んだ。


すると二人はエミリーの手を取りソファに座らせ、地面に膝をついて強請るように手の甲にキスをした。


「そ、そんな!どうされたのですか……っ?」


と白々しく恥じらうエミリーの芝居には気付かず、そんな安っぽい芝居すらも可愛いと思ってしまう様子だった。


(まぁ魅了にかかれば言いなりだし、バレる危険はないわね)


エミリーを挟んで両端からキスの雨を降らせる二人の見えないところでニヤリと顔を歪めた。



「だめです、私、恥ずかしいわ……何をするの?」



無知で純粋なエミリーの反応に二人は身を震わせる。


「あぁエミリー嬢、貴方に幸せを教えてあげたいのです。優しくします」

「俺が教えてやる。良くするから、な?」


いつも女生徒達の憧れで立派な紳士である二人が、頬を染め目を潤め、欲望を隠そうともせず縋るようにエミリーを欲する心酔ぶりに気が良くなった。


(テオ様はまた今度で良いわ。こんなにも私を好きだなんて悪く無いわね)


「何だか分かりませんが……貴方達を信じます」


純情な素振りでエミリーは身を預けたのだった。


(2人はきっと使えるわね)

(美丈夫が2人も私に心酔だなんて気分いいわ!)


(私(俺)はこんなにもエミリー嬢に惹かれていたのか)



何も知らないテオドールはセシールとマチルダと別れ、授業の準備をしていた。
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