34 / 56
崩れるのは壁じゃなく自分
しおりを挟む
「セリエ…….?何やってるんだ?」
「ルシアン……っ!」
イブリアを出迎えに来たルシアンは、怒りで震えるセリエが恐怖で震えているように見えて、イブリアの表情もまた酷く疲れているように見えた。
「状況を説明してくれ」
ルシアンが皆の顔を見渡して言うと、カミルが前に出て成り行きを説明するとルシアンは少し考えるようにしてセリエに向き合うと、
「イブリアの登城の説明はしておいた筈だセリエ」
「そ、そうだったかしら……?」
「君が怯えるから、念の為に部屋に居るようにとも言ったぞ」
「どうしても、用事があったの」
(なんで、私を庇わないの!?)
「バロウズ公爵、カミル卿、イブリア……引き止めて悪かった。貴賓室をそれぞれ用意してある。ゆるりと過ごしてくれ」
そう言ってセリエを支えるように、連れて行ったルシアンの様子を見て思わずカミルはイブリアに耳打ちした。
「妙に大人しいな……」
「そうね、その方が静かで良いわ」
「お前達、行くぞ」
イルザに促されて一先ず用意された部屋へと向かった三人はそれぞれ少し休むと準備を整えて国王の呼び出しに応じた。
「よく来てくれた、無礼を私から謝罪する」
「いえ……ですが陛下はどうお考えですか?」
「イルザ……イブリアが無能だと私が考えている訳がなかろう。まずお前ならどうする?いつでも殺せるハエを今から殺すと予告するか?」
「ふっ、いいえ。瞬時に消してしまうでしょう……日が昇る頃にはそのハエが居たかどうかも疑ってしまう程綺麗に」
「よい、手伝って欲しいのは犯人探しではない……私はこの国の未来を憂いている。だからこそイブリアが必要だった、なのに愚息は……」
「失礼ですが、陛下。イブを囮にしようと?」
「カミル」
「お兄様、大丈夫よ」
「はっはっは!殆どの者がイブリアの仕業だと信じておらんよ!そう思っているのは本人と熱狂的な聖女の信者達だけだ」
「「!!」」
「お前達は、部屋に戻っていなさい」
イルザが表情を和らげてそう言うと、カミルとイブリアは素直に頷く。
「あぁ、詳細はイルザに聞くといい。もうすぐディートリヒが物凄い剣幕で来るだろう奴が暴走せぬよう無事をみせてやってくれ」
国王がそう言って笑ったあと、表情を変えた。
とても申し訳なさそうに見えた。
「すまないな、イブリア。少しだけ手を貸してくれんか?……カミルもだ」
「陛下、私は陛下の臣下として国の未来の為に出来る事はするつもりです」
「妹がこう言ってしまっては、俺も引けませんね」
そう言って背を向けて扉まで歩く二人は幼い頃と同じ笑顔だったが、もう大人でイルザと国王は少しだけ寂しくなった。
「子供達はもう大人になったな」
「はい、陛下。時が過ぎるのはほんの一瞬ですね」
「まだルシアンには話していないが……」
国王の話に、イルザは驚愕した。
現聖女の重要性について国王が疑問を持つこと。
ルシアンが目を覚さなければ、もしくはセリエを妻に選んだ場合……彼を廃嫡すること。
そして王妃もまた、イブリアに危害を加えるのに加担したりセリエの肩を持つ場合はそれなりの責任を問うことだった。
「その口ぶりですと、犯人が聖女殿だと聞こえますが」
「それはまだ断言できぬが……ここだけの話私は、おおよそそう考えている」
「……分かりました。私も娘の名誉の為に断る理由はないでしょう」
手を握り合った二人の気分は複雑であったが、それでももう国の為、家族の為に後には引けないのだ。
その頃イブリアは、困惑と疲労感に押しつぶされようとしていた。
「イブリア、申し訳なかった……今晩は一緒に食事でも」
「イブ、私もご一緒します。話す事が沢山あります」
「ちょっと散歩に付き合って欲しいんだ、謝りたい事が……って二人共どうしたの!?」
「イブ……無事に到着したと聞いた。話したいことが……え!?」
部屋にやって来たのはルシアンを筆頭に、ティアード、レイノルド、セオドアだった。
イブリアは別に彼らを恨んではいなかったが彼に突然追い回されるようになるとかえって不気味だし、勘弁して欲しかった。
「私が!」「僕が!」とギャアギャアと騒ぎ始めた三人と何か言いたげなセオドアにとうとうイブリアの我慢は限界を迎える。
「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」
(急に怖いし、不気味なのよ!どうして今更こう構うのかしらっ)
「「「「……」」」」
「突然、構われても怖いだけなの!あなた達私を嫌っていたのではないの?私は婚約者を待ってるの。だから帰って頂戴」
魔法を使って一気に追い出され、扉を閉められた四人は呆然とイブリアの扉にかけられた大袈裟な結界魔法に早々諦めるしか無かった。
「お前達の話したいことって何だ」
「私はただ……誤解していたと謝罪を」
「僕も似たようなものだよ、真実を知りたくて」
「セオドア、お前は?」
「殿下こそ」
「わ、私はただ側妃ではなく正妃にするから戻ってくれと頼みに……」
「……追い出されてよかったよ」
四人は、自分達があまりにも情けなくて押し黙った。
「失礼ですが、何故イブはこのような結界を?」
「「「「ディートリヒ……侯爵」」」」
「ディートなの?」
気配だろうか扉の向こうからそう言ったイブリアにディートリヒは優しく問いかける。
「無事ですか?開けても?」
「待って、私が………」
イブリアの解除よりも先に静かに解除したディートリヒに四人は驚いて言葉を失う。
イブリアの結界を誰も解除できる気すらしなかったのに、最も簡単に解除して扉を開くディートリヒを見て敵わないと意気消沈した四人はトボトボとその場を去るしか出来なかった。
「何もされていませんか?」
「うん……ディート、魔力が乱れてるわ」
「イブが無実の罪で捕まったと……」
「そう言うわけでは無かったみたい、とにかくお父様を待ちましょう」
「ルシアン……っ!」
イブリアを出迎えに来たルシアンは、怒りで震えるセリエが恐怖で震えているように見えて、イブリアの表情もまた酷く疲れているように見えた。
「状況を説明してくれ」
ルシアンが皆の顔を見渡して言うと、カミルが前に出て成り行きを説明するとルシアンは少し考えるようにしてセリエに向き合うと、
「イブリアの登城の説明はしておいた筈だセリエ」
「そ、そうだったかしら……?」
「君が怯えるから、念の為に部屋に居るようにとも言ったぞ」
「どうしても、用事があったの」
(なんで、私を庇わないの!?)
「バロウズ公爵、カミル卿、イブリア……引き止めて悪かった。貴賓室をそれぞれ用意してある。ゆるりと過ごしてくれ」
そう言ってセリエを支えるように、連れて行ったルシアンの様子を見て思わずカミルはイブリアに耳打ちした。
「妙に大人しいな……」
「そうね、その方が静かで良いわ」
「お前達、行くぞ」
イルザに促されて一先ず用意された部屋へと向かった三人はそれぞれ少し休むと準備を整えて国王の呼び出しに応じた。
「よく来てくれた、無礼を私から謝罪する」
「いえ……ですが陛下はどうお考えですか?」
「イルザ……イブリアが無能だと私が考えている訳がなかろう。まずお前ならどうする?いつでも殺せるハエを今から殺すと予告するか?」
「ふっ、いいえ。瞬時に消してしまうでしょう……日が昇る頃にはそのハエが居たかどうかも疑ってしまう程綺麗に」
「よい、手伝って欲しいのは犯人探しではない……私はこの国の未来を憂いている。だからこそイブリアが必要だった、なのに愚息は……」
「失礼ですが、陛下。イブを囮にしようと?」
「カミル」
「お兄様、大丈夫よ」
「はっはっは!殆どの者がイブリアの仕業だと信じておらんよ!そう思っているのは本人と熱狂的な聖女の信者達だけだ」
「「!!」」
「お前達は、部屋に戻っていなさい」
イルザが表情を和らげてそう言うと、カミルとイブリアは素直に頷く。
「あぁ、詳細はイルザに聞くといい。もうすぐディートリヒが物凄い剣幕で来るだろう奴が暴走せぬよう無事をみせてやってくれ」
国王がそう言って笑ったあと、表情を変えた。
とても申し訳なさそうに見えた。
「すまないな、イブリア。少しだけ手を貸してくれんか?……カミルもだ」
「陛下、私は陛下の臣下として国の未来の為に出来る事はするつもりです」
「妹がこう言ってしまっては、俺も引けませんね」
そう言って背を向けて扉まで歩く二人は幼い頃と同じ笑顔だったが、もう大人でイルザと国王は少しだけ寂しくなった。
「子供達はもう大人になったな」
「はい、陛下。時が過ぎるのはほんの一瞬ですね」
「まだルシアンには話していないが……」
国王の話に、イルザは驚愕した。
現聖女の重要性について国王が疑問を持つこと。
ルシアンが目を覚さなければ、もしくはセリエを妻に選んだ場合……彼を廃嫡すること。
そして王妃もまた、イブリアに危害を加えるのに加担したりセリエの肩を持つ場合はそれなりの責任を問うことだった。
「その口ぶりですと、犯人が聖女殿だと聞こえますが」
「それはまだ断言できぬが……ここだけの話私は、おおよそそう考えている」
「……分かりました。私も娘の名誉の為に断る理由はないでしょう」
手を握り合った二人の気分は複雑であったが、それでももう国の為、家族の為に後には引けないのだ。
その頃イブリアは、困惑と疲労感に押しつぶされようとしていた。
「イブリア、申し訳なかった……今晩は一緒に食事でも」
「イブ、私もご一緒します。話す事が沢山あります」
「ちょっと散歩に付き合って欲しいんだ、謝りたい事が……って二人共どうしたの!?」
「イブ……無事に到着したと聞いた。話したいことが……え!?」
部屋にやって来たのはルシアンを筆頭に、ティアード、レイノルド、セオドアだった。
イブリアは別に彼らを恨んではいなかったが彼に突然追い回されるようになるとかえって不気味だし、勘弁して欲しかった。
「私が!」「僕が!」とギャアギャアと騒ぎ始めた三人と何か言いたげなセオドアにとうとうイブリアの我慢は限界を迎える。
「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」
(急に怖いし、不気味なのよ!どうして今更こう構うのかしらっ)
「「「「……」」」」
「突然、構われても怖いだけなの!あなた達私を嫌っていたのではないの?私は婚約者を待ってるの。だから帰って頂戴」
魔法を使って一気に追い出され、扉を閉められた四人は呆然とイブリアの扉にかけられた大袈裟な結界魔法に早々諦めるしか無かった。
「お前達の話したいことって何だ」
「私はただ……誤解していたと謝罪を」
「僕も似たようなものだよ、真実を知りたくて」
「セオドア、お前は?」
「殿下こそ」
「わ、私はただ側妃ではなく正妃にするから戻ってくれと頼みに……」
「……追い出されてよかったよ」
四人は、自分達があまりにも情けなくて押し黙った。
「失礼ですが、何故イブはこのような結界を?」
「「「「ディートリヒ……侯爵」」」」
「ディートなの?」
気配だろうか扉の向こうからそう言ったイブリアにディートリヒは優しく問いかける。
「無事ですか?開けても?」
「待って、私が………」
イブリアの解除よりも先に静かに解除したディートリヒに四人は驚いて言葉を失う。
イブリアの結界を誰も解除できる気すらしなかったのに、最も簡単に解除して扉を開くディートリヒを見て敵わないと意気消沈した四人はトボトボとその場を去るしか出来なかった。
「何もされていませんか?」
「うん……ディート、魔力が乱れてるわ」
「イブが無実の罪で捕まったと……」
「そう言うわけでは無かったみたい、とにかくお父様を待ちましょう」
60
お気に入りに追加
4,865
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
【完結】伯爵令嬢の格差婚約のお相手は、王太子殿下でした ~王太子と伯爵令嬢の、とある格差婚約の裏事情~
瀬里
恋愛
【HOTランキング7位ありがとうございます!】
ここ最近、ティント王国では「婚約破棄」前提の「格差婚約」が流行っている。
爵位に差がある家同士で結ばれ、正式な婚約者が決まるまでの期間、仮の婚約者を立てるという格差婚約は、破棄された令嬢には明るくない未来をもたらしていた。
伯爵令嬢であるサリアは、高すぎず低すぎない爵位と、背後で睨みをきかせる公爵家の伯父や優しい父に守られそんな風潮と自分とは縁がないものだと思っていた。
まさか、我が家に格差婚約を申し渡せるたった一つの家門――「王家」が婚約を申し込んでくるなど、思いもしなかったのだ。
婚約破棄された令嬢の未来は明るくはないが、この格差婚約で、サリアは、絶望よりもむしろ期待に胸を膨らませることとなる。なぜなら婚約破棄後であれば、許されるかもしれないのだ。
――「結婚をしない」という選択肢が。
格差婚約において一番大切なことは、周りには格差婚約だと悟らせない事。
努力家で優しい王太子殿下のために、二年後の婚約破棄を見据えて「お互いを想い合う婚約者」のお役目をはたすべく努力をするサリアだが、現実はそう甘くなくて――。
他のサイトでも公開してます。全12話です。
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
母と妹が出来て婚約者が義理の家族になった伯爵令嬢は・・
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
全てを失った伯爵令嬢の再生と逆転劇の物語
母を早くに亡くした19歳の美しく、心優しい伯爵令嬢スカーレットには2歳年上の婚約者がいた。2人は間もなく結婚するはずだったが、ある日突然単身赴任中だった父から再婚の知らせが届いた。やがて屋敷にやって来たのは義理の母と2歳年下の義理の妹。肝心の父は旅の途中で不慮の死を遂げていた。そして始まるスカーレットの受難の日々。持っているものを全て奪われ、ついには婚約者と屋敷まで奪われ、住む場所を失ったスカーレットの行く末は・・・?
※ カクヨム、小説家になろうにも投稿しています
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる