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例外ってなに?

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「アテ、話はきいている。…クロノス王太子を招き入れる事を許可するが…その意味は分かっているのか?」



「はい。陛下…」


「いつも通りで良い。今は身内だけだ。」



「じゃ、お言葉に甘えて。勿論わかってるわ。イイ仲だと思われちゃうぞって事よね?お父様。」


「ああ…正式な縁談となれば勿論、申し分ない相手だが…」



「ただの友達よ。」


「そ、そうですよ陛下。我が国には王女がおりますもの、お気が早いわ。」



「ね?お義母様もそう言ってるわ。」




「では、質問を変えよう。アテ、お前はクロノス王太子を好きか?」




「ええ、勿論好きよ。」



「なんと!!お前が人間に興味を持つなんて、これは奇跡だ!」



「大袈裟ね、お父様ったら。」




「そ、そうよあなた大袈裟ですわ!」




「お前にもいずれ婚約者が必要となるだろう、だが、クロノス王太子がそうなれば、どうだ?」



「別に?いいんじゃない?知らない人よりはマシね。」



国王は感動したように立ち上がった。

頑なに婚約者の話になると拒絶していたアテがだとはいえ受け入れる姿勢を見せたのだ。




「例外も居るもんだな!アテは全く受け付けんと思っていたが…!」



「あなた!!それではシャーロットは…」


「ん?なぜ今シャーロットの名が出るのだ?」


「あ、いえ。その…」




「あ。妾の子が先に婚約だなんて変だからじゃない?」



「そ、そういう訳じゃ…、」



「…なら、シャーロットにも婚約者を探そう。舞踏会を開く。」



(そんなの、クロノス王太子よりも良い案件など滅多に居ないじゃない!!!シャーロットがこんなのアテに負けるなんて!)




「そういう話じゃ……」


「とにかく、アテはお客様をきちんともてなしなさい。」



「はーい。お父様ありがとう。クロとサティ様に言ってくるね!」



じゃあね、なんて片手を高くあげて去っていくアテを憎しげに見る王妃と、微笑ましげにみる国王は対照的であった。







「クロ!お父様ったら何故か逆に喜んでいたわ。」



「…!では別邸への滞在を許可されたのか?」



「ええ、貴方からお願いされたと国王は喜んでいたわ。」





「そうか…良かった!」

(これで、僕にはチャンスができた。)





「でも…なぜ国王はお喜びに?」





「うーん、わかんない。…あ!」



…?」




「クロが、もし婚約者だったらどうだって言ってたわ。」


「ー~っ!!(なんたる幸運!)」



「クロは?」


「へっ?僕!?…僕は、アテがもし婚約者なら嬉しいよ。」




何故かクロノスの言葉に胸がきゅっと縮むような感覚がしたアテは胸に手を当ててキョトンとした表情で首を傾げた。



「…私もよ。」




「アテ、それはどういう意味…」



アテ王女の噂は近隣国にも知れ渡っていた。

クレイジーでぶっ飛んだ彼女だが、基本的に公式の場では皇女としての所作を行える。


それに加えてこの美しい容姿は、妻にしたいという者も多く他国からの縁談は決して少なくはないはずだ。



だが、なぜか一度も誰とも会ったことすらないのだと聞いた事があった。



国に押しかけて縁談を迫れば、派手な魔法で追い返されたり。


別邸に押しかけた者は獣に襲われたのだという。




(獣というのは、この白い虎の事か?)




「これは、期待してしまうな。」


「ん?なんか言った?」


「いや…、」


「サティ様は?」



「そうだ!母上は公務があるので先にお帰りになられたんだ。」



「そう、ではクロだけが滞在なさるのね?」



「それでも…いいか?」




「勿論よ!初めてのお友達だもの、歓迎するわ!」




「ははは…お友達、ですよね。」



「なんで?」



「いや、なんでもない。」



さ、行きましょう。なんてご機嫌に言うアテに黙って着いていくクロノスだが彼は数日間もの間、甘く幸せな拷問が待っているという事を理解していなかったのだ。




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