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別れてやらないんだから
しおりを挟む「お嬢、おいで…」
ソファに座って呼ぶ愛慈の元におずおずと天音が近づくと、そのまま腕を引いて隣に座らせる。
「お嬢、明日は休みですよね?」
「う、うん。だから車は大丈夫だよ。」
「…どっか行きます?」
「へ…愛慈、仕事は?」
「ちょっとだけ、朝付き合ってくれれば…」
天音は嬉しそうに頷いて、愛慈に甘えるように頭を預けた。
(う、わ…可愛いっ!お嬢、俺のお嬢!)
愛慈は片手で目元を覆って天井を仰いだ。
「あー、帰んないとな。」
「うん。」ギュッ
(言葉と行動がちげーよお嬢。可愛すぎて死にそう。)
ーー
どうしてこうなった?あんなに幸せだったのが数十分前。
「……。」
「あの…お嬢?誤解だから…ね?」
(何、こんな愛慈くん初めて見たんだけど。いつもと全然違うじゃない。ギリ)
「ちょっと、愛慈くん。なんでこの人いるのよ。」
「逆になんでココ知ってんの?」
無言で微笑む天音に対して、機嫌を伺うように必死で話しかける愛慈は星華に対してはいつも通り冷たく突き放すような話し方。
「星華、お前と付き合った事はないよ。勝手にそう言ってただけだし、無害だったから女避けに放っておいただけ。」
確かに、星華は愛慈に付き合おうと言われた事もないし、仕事以外で会ったりすることはそういう時だけだった。
「こんな子供で満足できるわけ?」
「?」
「 !お前っお嬢の前でやめろよ。」
もう天音も子供ではない、会話の中でなんとなく満足の意味が分かってしまった。
「…あ。」カァ
「このぐらいで赤くなっちゃって…愛慈くんって、とっても激しいの。ちょっとSだし…あなたじゃ役不足よねぇ…」ニヤリ
天音は顔を真っ赤にして、キッっと愛慈を睨むと慌てて天音の手を握る愛慈に「さいてー。へ、変態。」って言ったと思えば、
星華の方を真っ直ぐに見つめた。
「愛慈はもしかしたら本当に、女性にだらしないのかもしれない。でも、誰が相応しいかなんて愛慈が決める事よ。」
「なっ!生意気な子ね!」
「お前!誰に向かっていってん……」
怒って言い返す愛慈を手で制して、背筋を伸ばして言った。
「ここで親の立場を傘にきるつもりは無い。でも、貴女が愛慈の彼女じゃなかったのなら、私はこの気持ちに気付いてしまったもの、引き返すつもりはないわ。それに…」
「お嬢…!」
「なによ……!?!!!」
天音は愛慈の襟を掴んで噛み付くようにキスをして、愛慈が絡める舌に必死でついていく。
そのまま愛慈のおっきくなったものを服越しにさすって、
愛慈にキスの嵐を降らせると、
瞳の奥を燃え上がらせ、恍惚とした表情でまるで天音を獲物を捕らえるかのような視線で見る愛慈に星華はドキリとする。
星華に対して愛慈は求めてくれた事など無く、星華が誘えば何となく部屋に来て、まるで誰かの代わりにでも抱くように激しく、無理矢理果てる。
もちろんキスなどした事は無かった。
それが、まるで飢えた獣のようにぎこちなく愛慈に口付ける天音を求め大切そうに髪を撫でる。
(何あの顔、ガキでも顔がいいとサマになんのね)
愛慈が必死で薄着の彼女のあちこちに赤い華をさかせているその天音の表情はまるできちんと大人の女のようだった。
「愛慈くん、悪ふざけはいい加減に…っ」
「星華さん、子供だというのならこのまま確かめますか?」
ソファに押し倒した愛慈に跨ってこっちを真っ直ぐに見る天音はとても妖艶に見えた。
(なによ、愛慈くん顔真っ赤にして、あんなにおっきくしちゃって!!!!)
「どきなさいよ!愛慈くんとは別れないわ!私のものよ!」
「…っお嬢、やめ…!せいかお前と付き合ったことはねぇ…」
「!!??」
「っ!んっ!」
天音はいきなり愛慈のTシャツをまくって、突起部をペロリと舐めて口に含んだ。
(やば、お嬢の唇…こんなに赤くなりながら…)
「星華さん……見ていきます?」
天音が努めて強気に言うと星華怒って、グラスの水を天音と愛慈にぶっかけて、ドタバタと出て行った。
星華が出て行ったあと、ヘナヘナと愛慈の上に倒れかかった天音をぎゅっと抱きしめて愛慈は、自身を治めようと深呼吸した。
(俺、大人の男らしく、我慢しろ。)
「愛慈…ごめん、ヤキモチ妬いてしまったの、とんでもない事しちゃった…恥ずかしいわ……。」
「俺の心臓が持ちません…。たまににして下さいね。」
天音のおでこにキスして笑った愛慈に、恥ずかしそうに顔を隠したら天音は少しのあいだ愛慈と顔を合わせられなかった。
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