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色欲の魔女は冒険者になる。

リアナが可愛過ぎて困った

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 あの後、死体がある部屋はメイドさんに頼み、別の部屋に移った。今は高そうなソファーに座ってます。
 王様とリアナ姫、ボクとルリの二人づつ。

「ありがとう、助かったよ」

 軽いっ! この王様軽いよ!?

「危ない所を助けて頂き、誠にありがとうございます」

 あ、お姫様の方は普通に……可愛い。
 そういえば、リアナって呼び捨てにしてた気がするけど、昔のお姫様(暫定)と同じ名前だからって馴れ馴れしく話しちゃダメだよね。

 たぶん、前に色欲の魔女だった人の記憶なんだろうけど。感情とかがボクに流れ込んで来てた。
 というか、今もリアナ姫を見るとキュンキュンする。……うん? キュンキュン?

「お気になさらず。……報酬は頂きますけど」

「ははっ、勿論だよ! 命の恩人に対して、このまま帰れとでも言うと思ったかい?」

『思ってた!』

 ボクも思ってたんだけど。
 ほら、急に騎士団長と戦わせる人だし。とはいえ、あんまり苦戦はしなかったような……

「おや、僕の評価は低いようだね」

「そんな事は無いですけど……ここの騎士団に襲われたり、説明もなしに騎士団長と戦わされたりと……うーん、よく考えたら敬う相手じゃないような……」

 敬意さんはログアウトしました。
 常識のない人に敬語ってさ……使ってる方が馬鹿らしくなるよね? この王様はそういうのに寛容そうだしいいんじゃない?
 そして、ボクの言葉にソーディスさんは目を逸らしてる。擁護できなかったんだね?

「ご迷惑をお掛けしました……」

「いやいや、お姫様……王女様? が謝ることじゃありませんから。そこの陛下です」

「……私にも、気軽に接して頂けませんか? よろしければ、『リアナ』と先程のように」

 まるで女神のような……天使? どっちでもいいや。とにかく、男の子なら1発でノックアウトされる笑みでそう言われた。

 さっきの、覚えてたんだね。

「えっと……リアナ、でいい?」

「何でしょうか、ノ……ノアさんっ!」

 可愛いっ! なんだろうこの可愛さは……?
 口調も少し砕けてる。まあ、素であんな話し方をするのも疲れそうだよね。この方がボクも楽だし。

 ……妹はお嬢様みたいな口調だったけど。

「……ノア」

「ん? ルリ、どしたの?」

 袖なんか掴んじゃって、もう……ヤキモチ? ヤキモチなのかな? 思わずニヤニヤしちゃうボクを許してー!

『許す!』

 誰もクウには聞いてません。
 ちょっと黙っててもらっていいかな。

『お姉ちゃんにー、雑に扱われちゃったー♡』

 喜ぶんですかそうですか。……変態め。
 殴っていい? 全力で蹴り飛ばしていい?

『是非お願いします!』

 お願いされても……罵るまでなら割とノリノリでやってたよ? でも、暴力はちょっと無理。
 痛みが無いから気持ちいいんだろうけど、こっちは普通に幼女を虐めてる気分になるもん。

「わ、私も、ルリさんって呼んで良いでしょうか!?」

「……ん、良い」

 ずいっと迫ってくるリアナに対して、ルリが軽く引いてる。……リアナがとにかく可愛い。

「…………(じーっ)」

「? …………(じーっ)」

 互いに見つめ合うこと1分。
 リアナが立ち上がり、こちらまで歩み寄ると……

「わふ……」

 耳を触ってきた。

 それを見た王様は眉を寄せる。

「リアナ。獣人の耳や尻尾に触れると怒る人も居るから、勝手に触ってはいけないよ」

「えっ? ご、ごめんなさい! そうとは知らずに……」

「気にしなくていいよ。リアナに触られるのは嫌じゃないから」

 リアナが離した手を取り、再度自分の頭に乗せる。美少女ならいつでも大歓迎です!
 むしろ、リアナに触られると頬が緩んじゃうんだよね……なんでだろ?

「嬉しいです……えへへ」

 可愛い。お持ち帰りしたい。

 ……改めて見てみると、髪は薄い桃色でロング。瞳は薄紫っぽい感じ。胸は大きくはないけど、そこまで小さくもない。
 身長は同じくらいかな? 

 紛うことなき美少女だけど……うん、王様とは似てないね。王妃様に似てるんだろうなぁ……どこに居るのやら。

「リアナに友人が出来て何より。……でも、そろそろ自己紹介に移らせて貰えないかい」

 慌てて戻るリアナ。可愛い。
 名残惜しそうにこちらを見るリアナ。可愛い。

『お姉ちゃん、しつこいよ』

 だって、リアナが可愛い過ぎるんだもん!
 ただ、あんまりデレデレし過ぎるとルリが拗ねるかもしれないから気をつけよう。

 あ、自己紹介?
 ごめん、内容は覚えてるけどちゃんと聞いてなかった。

 王様の方は、
 エドワード・シュヴァイス。

 リアナはリアナだから言う必要無いよね。

 で、王妃様だけど、リアナを産んで1年くらいで病死しちゃったんだって。
 ……王族の病死=暗殺された、みたいに思わない?

 兄が1人居て、今は学園に通っているとの事。

 でもって今は、騎士団云々についての説明。

「騎士団長があんまり強くなかったのは?」

「ノア君があっさり倒してしまったから弱く感じるけど、冒険者なら2級並には強いんだ」

 それでも十分弱くない?
 騎士団のトップなら1級じゃないとあれだよね。

「でもまあ、この国では魔道師団の方に重きを置いていてね。騎士団がそこまで強くないのも事実ではある」

「……その魔道師団は?」

「ふっ……残念ながら、遠征中だったのさ」

 うわぁ……そこに騎士団が来ちゃったんだ。

「あれ、陛下とリアナの護衛は居ないの?」

「居たよ。……買収済みだっただけで。さすがの私も、こんなに腐っているとは思っていなかったね。さらに言うなら、何処の誰に買収されたのかも分からない。少なくともこの国の貴族じゃないんだけど……」

「ちょっと、ボクに重要そうなことをペラペラと話さないでよ。狙われたらどうするの!」

「いやいや、騎士団長を殺した時点で手遅れだと思わないかい?」

 そう言えばそうかも。
 どうせ狙われても返り討ちに出来るし、そこまで気にしなくてもいっかな……いいよね。

「はぁ……陛下の予想だと誰が犯人?」

「魔族、魔女、他国……心当たりはあるけど対象が多過ぎて分からない、というのが正直な所だよ」

「全然ダメじゃん!」

 ん……? なんで魔族と魔女に心当たりがあるの? 命を狙われる心当たりって事だよね……

 嫌な予感しかしないっ!

「……その心当たりっていうのは?」

 王様のをじっと見つめる……睨んでるとも言う。

 真顔でなんの反応も返さない王様を睨む。

 リアナが王様とボクを交互に見てオロオロしている。超絶可愛い。……じゃなかった。

 さらに睨み続けると、王様が笑みを浮かべた。
 早くして下さい。結構ウザイから。

 ようやく、その口が開かれる。







「私達のご先祖様が、色欲の魔女なんだ」


 …………………………さいですか。
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