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1章
屋敷
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気分はお嬢様な鴨根李都、十四歳です。
お風呂が……温泉の大浴場みたいなところで、ここでもやっぱり金の鹿の蛇口。
しかも巨大な鹿の口からお湯がザバーッと出ている。
この世界は鹿は蛇口の神様か何かなのかな?
デンちゃんを先に丸洗いして、メイドさん達がデンちゃんを拭いてくれて、人に任せられるっていいなぁと、思ってたんだよね。
私は、久々のシャンプ―を念入りにしている最中……だったんだけど、戻ってきたメイドさん達に、髪も体も洗われたよ。
爪の間もブラシで綺麗にされて、ペンチの様な爪切りで綺麗に切り揃えられた。
足の指は自分でやるの大変だったから、そこは嬉しいけど、他人に洗われたり、爪を切られたりは疲れた……
ようやくメイドさん達が浴室から出て行って、一人で大浴場を独り占め状態。
まぁ、体を洗われて疲れたから直ぐに出るけど、私には無理ぃー……
大浴場から出ると、メイドさん達が居た。
この後は、なにがあったか? それはもちろん、着替えをさせられて髪を梳かされてと、危うく意識が離脱する所だったよ。
イクシオン、こんな事されて育ったんだろうか?
本当にお坊ちゃんかもしれない。
始めはドレスの様なのを着せられそうになったのを、何とかメイドさんと交渉して交渉しまくり、土下座寸前までの勢いで、可愛い丸い襟ぐりのシャツにハイウエストの長いスカートにしてもらった。
動きやすさを求めて、ズボンをお願いしたら却下され、久々のスカートになった。
群青色のロングスカートは銀糸で百合の花が刺繍されている。
靴は革で出来たブーツで少し踵が高い。髪も綺麗に切り揃えて貰って、ハーフアップにして群青色のリボンと、銀色のリボンを付けて貰った。
「うう……っ、森に帰りたい……」
田舎者が都会にくるんじゃなかったっ!
確かに、ここもカントリーな感じではあるけど、西部劇の中の様なカントリーさで、森の中に比べたら全然都会だよ!
昔懐かしのアルプスの少女が、都会に出てきちゃったくらいだよ!?
ヨタヨタしつつ、私に用意された部屋のベッドにボフンッと倒れ込む。
凄い柔らかさ……このまま眠ったら、きっと気持ちよさそう……
イクシオンの『オレの番』発言から、何故か私はチヤホヤ状態を通り越して、お姫様の様な扱いを受けているのは何故なのか!?
「って、いうか……イクシオンは立派なお家もあるんだし、帰りは一人かな?」
胸が少し痛い気もするけど、道は迷わないだろうし、帰れるし、またここにも一人でも来れるかな? デンちゃんが居れば道案内もしてくれるから大丈夫そう。
屋敷の人達があんなに喜んでるのに、森に帰るのは一週間以内とか言ってたけど、それは可哀想。
いや、荷物を届けたら、イクシオンはこの屋敷に帰るのかな?
少しだけ、鼻の頭が痛くて涙がじわっと出たのを、枕に押し付けて拭いて「寂しくなんか、ないんだから」と、口に出した時点で、私は随分とイクシオンが一緒にいる生活が当たり前になり始めていたんだと思う。
まぁ、誰だって、一人で半年以上も訳の分からない所で暮らして、やっと人が来たと思ったら、また別れて一人で暮らすって、寂しいのは当たり前。
うん。だから、私の寂しいは間違いじゃない。
コンコンッと、ドアがノックされて「はい」と答えれば「失礼致します」とアーデルカさんのハッキリとした口調が聞こえ、部屋に入ってくる。
「リト様、イクシオン殿下の準備が出来ましたので、お迎えに上がりました」
「あ、はい。あの、様は要らないんですが……」
「いいえ、イクシオン殿下の番様に対して無礼があっては、ヴインダム国民の名が廃ります」
「そんな……大袈裟な……」
キリッとした顔で言われて、反論できずに大人しくリュックサックを持って出ようとしたら、「お持ち致します」と、アーデルカさんがリュックサックに手を伸ばす。
「あの、それ重いですよ?」
「まぁ、本当に重いですね。何が入っているのですか?」
「ガラス瓶に入った傷薬です。モギア草ってやつです。あとゼキキノコの乾燥させた物に、飲み水です」
ガシッとアーデルカさんに両手で手を握られて、「まぁまぁまぁ!」と何だかズンズン顔を近付けられて、何事なの!? と、驚いて体が後退る。
「イクシオン殿下の部隊の方々に、そんな貴重な物をご用意するなんて……っ! やはりお小さくてもイクシオン殿下の番様なのですね!」
「え? あ、はぁ……」
感動した! と、言わんばかりのアーデルカさんに「いや、それ売れるかなー? って持ってきたんです」とは言えなくなった。
アーデルカさんについて行き、イクシオンの所にまで案内してもらうと、ビシッと群青色の詰襟を着て、髪も群青色の髪紐に黒い紐で結んである。
お風呂に入って、綺麗さっぱりになったイクシオンのイケメン度が上がってる……?
いや、普通に周りに人が居るからビシッとしているのかな?
「リト、うん。その服、よく似合ってる。髪もいつもと違って新鮮だ」
「あ、はい。どうも?」
おだてても何もでないよ? イクシオンの褒めちぎりには耐性少しはついてるからね?
イクシオンにアーデルカさんがリュックサックを渡し、「リト様から部隊の方々への手土産ですので、くれぐれも慎重に」と、言われて、イクシオンが私を見て眉を下げて笑う。
あー、うん。そうだよー。アーデルカさんには敵わないから、部下の人にあげると良いよ?
私のお小遣いが……グスン。
「じゃあ、まずは買い物と思っていたけど、先に部下達の宿舎からでいいかい?」
「イクシオンにお任せします」
イクシオンが私の髪を撫でて、「そうだな……」と言い、ニッコリする。
「こうして、婚約の証明を髪にしているのだし、イクスと愛称で呼んで?」
「うん? 婚約の証明?」
「髪に二本色紐やリボンをしているのは「婚約している」と周囲に分かりやすくする為だ。結婚前の男性は髪を伸ばして、結婚後に切る」
「それ、聞いてない……マジですかー……」
異世界、分からないしきたりみたいなのが多い……誰か、私に異世界の常識を教えてプリーズ!
お風呂が……温泉の大浴場みたいなところで、ここでもやっぱり金の鹿の蛇口。
しかも巨大な鹿の口からお湯がザバーッと出ている。
この世界は鹿は蛇口の神様か何かなのかな?
デンちゃんを先に丸洗いして、メイドさん達がデンちゃんを拭いてくれて、人に任せられるっていいなぁと、思ってたんだよね。
私は、久々のシャンプ―を念入りにしている最中……だったんだけど、戻ってきたメイドさん達に、髪も体も洗われたよ。
爪の間もブラシで綺麗にされて、ペンチの様な爪切りで綺麗に切り揃えられた。
足の指は自分でやるの大変だったから、そこは嬉しいけど、他人に洗われたり、爪を切られたりは疲れた……
ようやくメイドさん達が浴室から出て行って、一人で大浴場を独り占め状態。
まぁ、体を洗われて疲れたから直ぐに出るけど、私には無理ぃー……
大浴場から出ると、メイドさん達が居た。
この後は、なにがあったか? それはもちろん、着替えをさせられて髪を梳かされてと、危うく意識が離脱する所だったよ。
イクシオン、こんな事されて育ったんだろうか?
本当にお坊ちゃんかもしれない。
始めはドレスの様なのを着せられそうになったのを、何とかメイドさんと交渉して交渉しまくり、土下座寸前までの勢いで、可愛い丸い襟ぐりのシャツにハイウエストの長いスカートにしてもらった。
動きやすさを求めて、ズボンをお願いしたら却下され、久々のスカートになった。
群青色のロングスカートは銀糸で百合の花が刺繍されている。
靴は革で出来たブーツで少し踵が高い。髪も綺麗に切り揃えて貰って、ハーフアップにして群青色のリボンと、銀色のリボンを付けて貰った。
「うう……っ、森に帰りたい……」
田舎者が都会にくるんじゃなかったっ!
確かに、ここもカントリーな感じではあるけど、西部劇の中の様なカントリーさで、森の中に比べたら全然都会だよ!
昔懐かしのアルプスの少女が、都会に出てきちゃったくらいだよ!?
ヨタヨタしつつ、私に用意された部屋のベッドにボフンッと倒れ込む。
凄い柔らかさ……このまま眠ったら、きっと気持ちよさそう……
イクシオンの『オレの番』発言から、何故か私はチヤホヤ状態を通り越して、お姫様の様な扱いを受けているのは何故なのか!?
「って、いうか……イクシオンは立派なお家もあるんだし、帰りは一人かな?」
胸が少し痛い気もするけど、道は迷わないだろうし、帰れるし、またここにも一人でも来れるかな? デンちゃんが居れば道案内もしてくれるから大丈夫そう。
屋敷の人達があんなに喜んでるのに、森に帰るのは一週間以内とか言ってたけど、それは可哀想。
いや、荷物を届けたら、イクシオンはこの屋敷に帰るのかな?
少しだけ、鼻の頭が痛くて涙がじわっと出たのを、枕に押し付けて拭いて「寂しくなんか、ないんだから」と、口に出した時点で、私は随分とイクシオンが一緒にいる生活が当たり前になり始めていたんだと思う。
まぁ、誰だって、一人で半年以上も訳の分からない所で暮らして、やっと人が来たと思ったら、また別れて一人で暮らすって、寂しいのは当たり前。
うん。だから、私の寂しいは間違いじゃない。
コンコンッと、ドアがノックされて「はい」と答えれば「失礼致します」とアーデルカさんのハッキリとした口調が聞こえ、部屋に入ってくる。
「リト様、イクシオン殿下の準備が出来ましたので、お迎えに上がりました」
「あ、はい。あの、様は要らないんですが……」
「いいえ、イクシオン殿下の番様に対して無礼があっては、ヴインダム国民の名が廃ります」
「そんな……大袈裟な……」
キリッとした顔で言われて、反論できずに大人しくリュックサックを持って出ようとしたら、「お持ち致します」と、アーデルカさんがリュックサックに手を伸ばす。
「あの、それ重いですよ?」
「まぁ、本当に重いですね。何が入っているのですか?」
「ガラス瓶に入った傷薬です。モギア草ってやつです。あとゼキキノコの乾燥させた物に、飲み水です」
ガシッとアーデルカさんに両手で手を握られて、「まぁまぁまぁ!」と何だかズンズン顔を近付けられて、何事なの!? と、驚いて体が後退る。
「イクシオン殿下の部隊の方々に、そんな貴重な物をご用意するなんて……っ! やはりお小さくてもイクシオン殿下の番様なのですね!」
「え? あ、はぁ……」
感動した! と、言わんばかりのアーデルカさんに「いや、それ売れるかなー? って持ってきたんです」とは言えなくなった。
アーデルカさんについて行き、イクシオンの所にまで案内してもらうと、ビシッと群青色の詰襟を着て、髪も群青色の髪紐に黒い紐で結んである。
お風呂に入って、綺麗さっぱりになったイクシオンのイケメン度が上がってる……?
いや、普通に周りに人が居るからビシッとしているのかな?
「リト、うん。その服、よく似合ってる。髪もいつもと違って新鮮だ」
「あ、はい。どうも?」
おだてても何もでないよ? イクシオンの褒めちぎりには耐性少しはついてるからね?
イクシオンにアーデルカさんがリュックサックを渡し、「リト様から部隊の方々への手土産ですので、くれぐれも慎重に」と、言われて、イクシオンが私を見て眉を下げて笑う。
あー、うん。そうだよー。アーデルカさんには敵わないから、部下の人にあげると良いよ?
私のお小遣いが……グスン。
「じゃあ、まずは買い物と思っていたけど、先に部下達の宿舎からでいいかい?」
「イクシオンにお任せします」
イクシオンが私の髪を撫でて、「そうだな……」と言い、ニッコリする。
「こうして、婚約の証明を髪にしているのだし、イクスと愛称で呼んで?」
「うん? 婚約の証明?」
「髪に二本色紐やリボンをしているのは「婚約している」と周囲に分かりやすくする為だ。結婚前の男性は髪を伸ばして、結婚後に切る」
「それ、聞いてない……マジですかー……」
異世界、分からないしきたりみたいなのが多い……誰か、私に異世界の常識を教えてプリーズ!
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