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1章 

黒歴史と反省文は嫌だ

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 歩き回って気付いた事、ここには先生も班のグループの子も学校のクラスメイト達も居ないということ。

 頭を過るのは、『李都! アンタまた人様に迷惑かけて!』と怒る母親に『カモ……あんたどんだけ人に迷惑掛けんのさ?』と呆れた声を出す友人の坂庭安奈さかばあんな、通称サバちゃんが眉を下げて「うへぇ」と今にも言いそうな顔だ。

 発見された私を取り囲むカメラとか、警察の人とか先生とか……ああ、考えるだけでも自力でキャンプ場に帰りつかなければ、黒歴史になってしまう!!

 しかし、自分は随分とキャンプ場から離れてしまったのではないかと思う。

 歩けども歩けども、同じ様なジャングル……

 もしや自分は同じ場所をぐるぐる回っているのではないかと思って、手に持っていた草刈り鎌で木に印を付けて歩き回ったが、自分が付けた印のある木は見当たらないし、確実に同じ場所をぐるぐる回っているわけでは無かった。

「やっばいよー……お母さんに怒られる。先生にも反省文書かされるかも? クラスの男子に絶対揶揄からかわれるし、下手すれば中学卒業まで私、この事で揶揄われ続ける……」

 憂鬱ゆううつだ。
でも私としてはキャンプ場の側から離れたつもりは無い。

 少し草刈りに熱中していたとはいえ、周りの声は聞こえていたし、中学生女子が草刈りでズンズン山奥に草を刈りまくって進むなんて有り得ないでしょ?

 気になることと言えば一つだ。
私がこんなジャングルに来る前に足元が白く光ったのだ。
太陽の照り返しか何かだと思ったけど、怪しいのはあれくらいだ。
もしかして、あの白い光で私は倒れて死んだとかで、ここは死後の世界とか?

うわー……それは嫌かも!
わけもわからず、いきなり死にましたとか、説明ぐらい欲しいし、こんな死に方は嫌だよ。

 草刈りしてたら死にましたってなったら、先生とか学校がうちの親に訴えられたりするのかな? うちのクラス担任はそれなりに明るい先生で私は嫌いじゃないし、熱中症とかそういう類で死んだなら、誰のせいでもなく水分補給をしっかりしなかった私が悪いから、どうかお母さんお父さん訴えたりしないでね? 本当に勘弁してね?

 でもまぁ、私は自分が死んだとか思って無いし、痛みもなく倒れた衝撃もないまま、自分がどうこうなったとは思えないから、とにかく今はここから出ることだけを考えよう!

 もし、死んでいるにしたってこのジャングルの中に永久に居るとかはないはず。

 このジャングルで永久に彷徨さまようとしたら、私はどんだけ悪人な人生を送ったというのか聞きたいところだ。

 良くも悪くも、私は少しヤンチャが過ぎるところがあると、両親や友人や先生に言われても、それは悪さをしたりとかではなく、ただひたすら寝坊して学校を遅刻して、校門から出入りするのではなく、グラウンド場のフェンスをよじ登って出入りしたり、昇降口に行ったのでは間に合わないと一階の教室なのをいいことにそのまま教室の窓から入って、教室に置き上履きを用意しているぐらいしか思い当たらない。

たかがそのぐらいで、こんなジャングルを永久に彷徨えとかいう地獄があるとしたら、随分酷い物だと思う。

「キャンプのお楽しみのカレーを食べる為にも、ここを出るぞー!」

 自分を元気づける為にも私は大きな声で「えいえいおー!」と声を出して、再び歩き始めた。
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