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エンジュの過去 ③
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ダンテさんの身辺調査で得た情報によると今のダンテさんは日雇の傭兵をしているようだ。一時は酒に溺れていた時もあったようだ……。
そして、報告書にはダンテさんは『人間を嫌っている』とも書いてあった。
あのダンテさんが人嫌いだなんて信じられなかった僕は、その情報を信用せずにダンテさんの元へと向かう。
よくダンテさんが食事を食べにやってくると報告書に書いてあった酒場へと向かうと、噂通り殆どの客が獣人だ……。
ここは人嫌いの獣人が集まる酒場で有名のようだ。
人間だとバレないようにフードを目深く被り、僕の匂いを消すために獣人が好む香水をたっぷり体にふりかけておく。
ガヤガヤと騒がしい店内でダンテさんの姿を探すと、ジョッキを片手にお酒を煽るダンテさんの姿が目に入る。
出会った時と変わりない姿に胸はときめきいつ声をかけようかタイミングを見計らう。
すると、ダンテさんは食事も終わったのか机に小銭を置くと席を立ち出口の方へと向かってくる。
あまりのタイミングの良さに慌てて僕は店から出てダンテさんが出てくるのを待つ。
なんて声をかけようか……。
そして、何を話そう……。
僕を見てあの時みたいに微笑んでくれるだろうか……。
そして、また僕を守ってくれるかな……。
ドキドキと脈打つ鼓動を落ち着けるようにフゥ……と深呼吸をして、店から出てきたダンテそんの後を追う。
大通りから少し離れ路地に入り、人通りが少なくなくなった場所を通りかがった時、僕はフードを外し勇気を出してダンテさんに声をかける。
「あ、あの!」
「ん……? 人間が何のようだ……」
満月の夜だというのに、ダンテさんの琥珀色の瞳は色を失ったようにくすんでいて……僕を映し出す瞳は憎悪の色を濃くする。
ダンテさんが見せる表情や態度に目を見開き茫然としてしまう。言葉も出ずただ立ち尽くすことしか出来ない僕を見て、ダンテさんは眉間に皺を寄せると大きく舌打ちをする。
「嫌な事を思い出させる面だな……。人間とは関わりたくないんだ。他を当たってくれ」
最後に吐き捨てるような言葉をぶつけると、ダンテさんはそのまま闇の中へと消えていった……。
辛いとか悲しいとか……そんな言葉では表現できず、胸が苦しくて息ができずにその場に座り込むと、どこかで僕を監視していたアダンが駆け寄ってくる。
「エンジュ様! 大丈夫ですか? ゆっくり……ゆっくり呼吸をしましょう」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
過呼吸になりかけた僕にアダンは優しく声をかけてくるが、その表情は怒りの色を見せる。
「エンジュ様……もうあの獣人の事は忘れましょう。あんな野蛮でデリカシーのカケラもない奴はエンジュ様に相応しくありません……」
「……そんなこと……出来ない……。ダンテさんは……僕にとって……大切な人なんだ……。絶対に……諦めない……」
「エンジュ様……。とりあえず今日は一旦帰りましょう……」
アダンの手を借りなんとか立ち上がると僕はダンテさんが消えて行った暗闇を見つめた……。
そして、報告書にはダンテさんは『人間を嫌っている』とも書いてあった。
あのダンテさんが人嫌いだなんて信じられなかった僕は、その情報を信用せずにダンテさんの元へと向かう。
よくダンテさんが食事を食べにやってくると報告書に書いてあった酒場へと向かうと、噂通り殆どの客が獣人だ……。
ここは人嫌いの獣人が集まる酒場で有名のようだ。
人間だとバレないようにフードを目深く被り、僕の匂いを消すために獣人が好む香水をたっぷり体にふりかけておく。
ガヤガヤと騒がしい店内でダンテさんの姿を探すと、ジョッキを片手にお酒を煽るダンテさんの姿が目に入る。
出会った時と変わりない姿に胸はときめきいつ声をかけようかタイミングを見計らう。
すると、ダンテさんは食事も終わったのか机に小銭を置くと席を立ち出口の方へと向かってくる。
あまりのタイミングの良さに慌てて僕は店から出てダンテさんが出てくるのを待つ。
なんて声をかけようか……。
そして、何を話そう……。
僕を見てあの時みたいに微笑んでくれるだろうか……。
そして、また僕を守ってくれるかな……。
ドキドキと脈打つ鼓動を落ち着けるようにフゥ……と深呼吸をして、店から出てきたダンテそんの後を追う。
大通りから少し離れ路地に入り、人通りが少なくなくなった場所を通りかがった時、僕はフードを外し勇気を出してダンテさんに声をかける。
「あ、あの!」
「ん……? 人間が何のようだ……」
満月の夜だというのに、ダンテさんの琥珀色の瞳は色を失ったようにくすんでいて……僕を映し出す瞳は憎悪の色を濃くする。
ダンテさんが見せる表情や態度に目を見開き茫然としてしまう。言葉も出ずただ立ち尽くすことしか出来ない僕を見て、ダンテさんは眉間に皺を寄せると大きく舌打ちをする。
「嫌な事を思い出させる面だな……。人間とは関わりたくないんだ。他を当たってくれ」
最後に吐き捨てるような言葉をぶつけると、ダンテさんはそのまま闇の中へと消えていった……。
辛いとか悲しいとか……そんな言葉では表現できず、胸が苦しくて息ができずにその場に座り込むと、どこかで僕を監視していたアダンが駆け寄ってくる。
「エンジュ様! 大丈夫ですか? ゆっくり……ゆっくり呼吸をしましょう」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」
過呼吸になりかけた僕にアダンは優しく声をかけてくるが、その表情は怒りの色を見せる。
「エンジュ様……もうあの獣人の事は忘れましょう。あんな野蛮でデリカシーのカケラもない奴はエンジュ様に相応しくありません……」
「……そんなこと……出来ない……。ダンテさんは……僕にとって……大切な人なんだ……。絶対に……諦めない……」
「エンジュ様……。とりあえず今日は一旦帰りましょう……」
アダンの手を借りなんとか立ち上がると僕はダンテさんが消えて行った暗闇を見つめた……。
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