上 下
18 / 38

もやもやのクリスマスイヴ ③ 【✳︎R✳︎】

しおりを挟む
無事にバイトが終わり、いつものように直史先輩と苳也先輩と一緒に帰る帰り道……。

「千景。今日の約束覚えてるか?」
「はへ? や、約束ですか!?」

俺が酔っ払ってやらかしてしまった夜の『約束』の事をこんなところで聞いてきたのかと思い焦っていると、苳也先輩は少しムスッとする。

「お前~今日仕事変わってやっただろ!」
「あ……そうでしたね! コーヒー! コーヒー買います!」

バイト前にした苳也先輩との約束をハッと思い出し、俺は慌てて近くにあった自販機を指差す。

「直史先輩もコーヒー飲みますか? 俺、買ってきますよ」
「じゃあ、お願いしようかな」
「千景~俺、ブラックな~」

バタバタと自販機へと向かい焦ってしまった気持ちを落ち着ける。
苳也先輩と俺の関係が変な感じになって、なんだか普通に接する事ができない。苳也先輩はいつもと変わらないけど……。

ハァ……と大きなため息を吐きながら三人分の缶コーヒーを買って、先輩達の元へと向かう。
苳也先輩と直史先輩にはブラックを渡し、俺はカフェオレをちびちびと飲む。

「あ、そういやお前の恋人……奏ちゃんだっけ? 体調大丈夫だったのか?」
「うん。風邪だから薬飲んだら朝には熱も下がってたよ。今日もこの後、様子見に行く予定なんだ」
「そっか。まぁ、恋人達には大切なクリスマスイヴだからな。早く行ってやれよ」
「ありがとう」

直史先輩と恋人との話を聞いているのに、昨日ほど胸が痛まないのはなんでだろう……。
チラリと苳也先輩の方へと視線を向ければ目が合い思わず逸らしてしまう。

あぁ……もう、何が何だか分かんないってぇ……。




整理がつかない頭のまま、先輩達と別れて家へと帰り着くなりベッドへとダイブする。
時計はもうすぐ0時を回ろうとしている……。

色々ありすぎて疲れているのに眠れなくて……モヤモヤしている気持ちを切り替える為に俺はベッド下に隠していた秘密の箱へと手をかける。

こんな気持ちの時は……オナニーに限るよな。

シャキーン!と、愛用のディルドとローションを手にして俺はジーパンとパンツを脱ぎ捨てる。
室温でひんやりとしたローションをディルドに垂らしゆっくりと尻に埋めていく……。

「んっ……ぁ……」

慣れているはずのディルドの無機質な感覚が今日はなんだか変に感じる。ぬちぬちと奥へ奥へと進めていき、前立腺をディルドの先端で擦っていくが……なんか物足りない……。

何でだろうと考えながらディルドを出し入れしながら、ちんこも扱いていると、ふとある人の声を思い出してしまう。

『千景……』

苳也先輩の声が頭の中に響くとそれに反応してキュンと奥が疼き、ディルドを締め付けるように中が痙攣する。

うそ……。俺……苳也先輩の声で感じてる……。

ハァハァ……と、俺の興奮した息とディルドを出し入れする音が響く。
先輩の声を思い出しながらオナニーするなんて意味わかんないのに、俺の意識とは反対に尻もちんこも気持ち良さそうディルドを締め付け涎を垂らす。
もう声を思い出すだけじゃ足りなくて……スマホに保存されていた苳也先輩の声を探す。

確か……誕生日の時に直史先輩がくれた動画あったよな……。

スクロールして誕生日に送られた動画を見つけて再生する。


『千景~誕生日おめでとう。俺の誕生日の時は盛大に祝えよ~』

意地悪そうに笑う苳也先輩の笑顔と声に何故だが興奮してしまう。

最悪……。
最悪なんだけど……めっちゃイイ……。

何度も何度も動画をリピートとしながら少し奥が物足りないけど前立腺を擦る。

今日……苳也先輩にどうやって擦ってもらったっけ……?
先輩の長い指でこうやって……。

ディルドをクンッと腹側に押し込めば、いい感じに前立腺を押して……その刺激で俺は呆気なくイッてしまう。
気持ち良かった……けど……やっぱり物足りない……。

ディルドを突っ込み疼く奥とモヤる気持ちのまま、俺の20歳のクリスマスイヴは終わった……。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺が勝手に好きな幼なじみに好きって十回言うゲームやらされて抱えてたクソでか感情が暴発した挙げ句、十一回目の好きが不発したクソな件。

かたらぎヨシノリ
BL
幼なじみにクソでか感情を抱く三人のアオハル劇場。 ──────────────── ──────────────── 幼なじみ、美形×平凡、年上×年下、兄の親友×弟←兄、近親相姦、創作BL、オリジナルBL、複数攻3P、三角関係、愛撫 ※以上の要素と軽度の性描写があります。 受 門脇かのん。もうすぐ16歳。高校生。黒髪平凡顔。ちびなのが気になる。短気で口悪い。最近情緒が乱高下気味ですぐ泣く。兄の親友の三好礼二に激重感情拗らせ10年。 攻 三好礼二。17歳。高校生。かのん弄りたのしい俺様王様三好様。顔がいい。目が死んでる。幼なじみ、しのぶの親友。 門脇しのぶ。17歳。高校生。かのん兄。チャラいイケメン。ブラコン。三好の親友。

当たって砕けていたら彼氏ができました

ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。 学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。 教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。 諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。 寺田絋 自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子 × 三倉莉緒 クールイケメン男子と思われているただの陰キャ そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。 お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。 お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。

男とラブホに入ろうとしてるのがわんこ属性の親友に見つかった件

水瀬かずか
BL
一夜限りの相手とホテルに入ろうとしていたら、後からきた男女がケンカを始め、その場でその男はふられた。 殴られてこっち向いた男と、うっかりそれをじっと見ていた俺の目が合った。 それは、ずっと好きだけど、忘れなきゃと思っていた親友だった。 俺は親友に、ゲイだと、バレてしまった。 イラストは、すぎちよさまからいただきました。

君が好き過ぎてレイプした

眠りん
BL
 ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。  放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。  これはチャンスです。  目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。  どうせ恋人同士になんてなれません。  この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。  それで君への恋心は忘れます。  でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?  不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。 「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」  ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。  その時、湊也君が衝撃発言をしました。 「柚月の事……本当はずっと好きだったから」  なんと告白されたのです。  ぼくと湊也君は両思いだったのです。  このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。 ※誤字脱字があったらすみません

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

これって普通じゃないの?~お隣の双子のお兄ちゃんと僕の関係~

syouki
BL
お隣の5歳上のお兄ちゃんたちと兄弟のように育ってきた僕の日常。 えっ?これって普通じゃないの? ※3Pが苦手な方は閉じてください。 ※下書きなしなので、更新に間があきます。なるべくがんばります。。。(土日は無理かも) ※ストックが出来たら予約公開します。目指せ毎日!! ※書きながらかなりエロくなりました…。脳内ヤバいですwww ※エールをしてくれた方、ありがとうございますm(_ _)m 

諦めようとした話。

みつば
BL
もう限界だった。僕がどうしても君に与えられない幸せに目を背けているのは。 どうか幸せになって 溺愛攻め(微執着)×ネガティブ受け(めんどくさい)

処理中です...