嫌われ者の俺はやり直しの世界で義弟達にごまをする

【番外編】〜嫌われ者の兄はやり直しの義弟達の愛玩人形になる〜

『兄』になるために 〜シャルルSide〜

義弟たちがやってきて二年が経った。
この二年で、俺を取り巻く環境は大きく変わった。
昔から勤めていた従者たちは次々に辞めていき、気がつけば顔の知らない従者ばかりになった。
父と継母は仲睦まじく、父は出来のいい義弟たちを可愛がる。
嫉妬心で心の中がいっぱいになり、義弟たちに冷たい態度をとり暴言を吐くが……二人はそんな俺のことなど気にもとめず平然としていた。
徐々に強くなる二人への違和感。
幼い二人が俺よりも大きく感じ、言葉や態度に恐怖心を抱いてしまう。
俺の心の中まで見透かすアメジストの瞳で見つめられると、とても恐ろしかった。
二人と一緒にいると怖いと感じたが、そんな気持ちを見透かされたくなくて、強気な態度をとる。
二人はいつも、そんな俺に対して嘲笑うように薄ら笑いを浮かべるていた。

学園の成績も優秀で、人当たりのいいジェイド。
天真爛漫な性格で愛嬌もあり、誰からも愛されるリエン。
二人は俺が持っていないもの全てをもっていた。
そんな二人に対して劣等感だけが大きくなっていく。
情けない自分が嫌になり、比べられたくなくて二人から距離をとるが……一人になると、俺の周りには誰もいないことに気付かされる。
そして、一人ぼっちになった俺に、手を差し伸べてくれるのは義弟——ジェイドとリエンだけだった。

怖いと分かりながら、恐る恐る二人の手を取れば、二人は笑みを浮かべ、俺の名を呼び必要としてくれた。
二人は常に俺を褒めてくれるが、その言葉に俺は追い詰められる。

———二人が求める『兄』にならなければ。

しかし、必死に努力はするも、気ばかり急いてしまい失敗も多くなる。
そんな俺に『気にしないで』と二人は優しい言葉をかけてくれるが……自分の情けなさに涙を浮かべてしまうこともあった。
こんな情けない姿を見せても、そばにいてくれる二人。

いつしか、俺の生活はジェイドとリエンを中心に回り出し、俺は二人が求める『兄』の姿を演じるようになっていくのだった。