上 下
61 / 141
ライズまでの道のり

作戦会議

しおりを挟む
「ここら辺で野営しようか…」


「ユウリは料理できるんやんな?手伝ってくれへん?この3人ろくにでけへんねん。」

誰がろくにできないだって?エレンは知らないけど僕とイリアスはそこまで下手ではない、はずだ。

「はい、いいですよ。」


「それじゃあ僕らは薪でも拾いに…ってカイ!こんな所で寝たら風邪引くよ」


「もう無理、動けない…」

これからの戦いを考えると胃痛が酷くなる。奴らのボスの強さによるがおそらくギリギリの戦いになるだろう。

「ほら、行くぞ!」

エレンに引きずられた。…てゆうかエレンのせいなんだけど?とんずらするところをわざわざ復讐の機会をつくってやるって言ってんのになんだその態度は…


「これだからバカはダメなんだ…」

思わず心の声が漏れてしまった

「なんだとコラ!!誰がバカだ!」

と首もとを掴まれるがニヤリと笑ってエレンの腕をつかむ。

「2人とも喧嘩する元気があるなら手を動かしてくれ」

いいところではあったが、イリアスが怒ったら怖いのでこの辺でやめることにした。

「そういや、コウもイリアスも珍しい色の眼をしてるよな」

エレンがそう言うとイリアスの肩がピクリと動いた。

しかたないなぁ

「そう?僕にしてみたら紫色の方が珍しいと思うけど。人間は知らないけど赤色の眼なんてウサギを探せばすぐに見れるけど、どの魔物を探しても紫はいないんじゃないかな。図鑑でも見たことないし…」


「人と魔物を一緒くたにするなよな!あんまり因果関係がなさそうだし…」

そうぼやけるエレンにイリアスは少しホッとしたかのように微笑んだ。

「ボソッ)言ってほしくなかったなら先に言っといて欲しいんだけどな…」


その独り言はイリアスに届くことはなく夜の空へと消えていった。

-----------------------------‐-------------------------------------------------------------

「それで、どないするん?」


「その話をする前に、、エレン、もしくはユウリ、どっちかとても強力な睡眠薬の類いを持ってない?」


「あっ、それなら僕持ってますよ。でも、失敗作で広範囲に広がるんですが自分も喰らってしまうんです。」

僕からすればそれは失敗作ではない。

「いや、それで構わないよ。どのくらい効くの?」


「密閉状態で縦横10m以内なら少し嗅いだだけでも卒倒します。でも、10m以上離れていれば一切効きません。一度吸うと1時間は寝ますが5分たつとどんなけ吸っても効果は一切ありません。」


「なるほどね。それは使える。」

自分でも口角が上がるのがわかった。

「わっるい顔してんな…」

うるさいよ、コウ

「カイ、具体的に教えてくれないか?」

「わかった。簡単に言うとルーンの影魔法の中にその睡眠薬を投入して奴らを一気に取り込みそのまま眠らせて5分たったらまとめて殺す、って感じかな」


「殺すのは決まってんねや…」


「世の中に何の価値もない人間を生かす理由がないでしょ?コイツらに至ってはほっといたら何をしでかすか分からないんだから…それに大切な人を亡くす悲しさは理解しているつもりだ。例え何をしても亡くした人は戻ってこないが気持ちが少しでも晴れるのならそれで構わないだろう…。特に自分の利益のために人を無差別に殺すやつらは殺される覚悟を持っていなければならない。雑な命乞いなんかは無視しなよ、エレン。あんな奴らに慈悲なんて要らないんだから。」


「ああ、わかってる。だが、作戦決行時ユウリはどうしたらいい?アイツは戦闘要員じゃない。」


「ユウリは…「僕、戦えます!」」


「おい、ユウリ!「兄さん、殺したいくらい盗賊を憎んでいるのは僕もなんですよ?お留守番は嫌です。」」


「じゃあユウリは何ができるの?」


「僕は父さんの錬金術を見て育ちました。この森にある材料だけで煙玉や麻痺玉を造れますし、状況に応じてそれらを投げて応戦できます。」


「なら問題ないね。お留守番はなしだ。明日は敵の出方を伺うからその間にできるだけたくさん作ってほしい。」


「はい!ありがとうございます、カイさん。」


「神も残酷なことをする。」

はしゃぐユウリを見ながらそうポツリと呟いた言葉は空へと消えていった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

異世界物語 ~転生チート王子と愉快なスローライフ?~

星鹿カナン
ファンタジー
目が覚めるとそこは、ファンタジーのような異世界で、僕はよくあるように、赤ちゃんだった。前世の記憶は、朧気であるものの神様との話は、よく覚えていた・・・・・・ 転生王子の異世界チートスローライフ? スローライフ要素は3章~4章まで殆ど無いかもしれません。 人名のスペルは、英検4級すら受からない作者が、それっぽい音になりそうな綴りを書いているだけなので、鵜呑みにして、参考にする様なことはしないでください。特に深い意味がある訳でもありません。 地図等、自作していますが、絵はかなり苦手なので、大まかなイメージを掴むための参考程度にしてください。 その他、物語の解説などには、地球上の仕組みの中に、実在するものと実在しないものが、混ざっています。これらは、異世界感を演出するためのものなので、ご注意ください。 R指定は特に出していませんが、怪しい部分が多いので、気になる方は、自主規制をお願いします。 現在最新話まで、本編のための前日譚のような外伝ストーリーです。 本編の時間軸に辿り着くまでの長い前日譚もお付き合いいただけると幸いです。 最終更新日:4月15日 更新話:3-027 次回更新予定日: 4月20日

【完結】捨てられ令嬢は王子のお気に入り

怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」 そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは、強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って… リリーアネの正体とは 過去に何があったのか

勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている

まる
ファンタジー
 樋口康平はそこそこどこにでもいるごく平凡な人間を自負する高校生。  春休みのある日のこと、いつものように母親の経営する喫茶店・ピープルの店番をしていると勇者を名乗る少女が現れた。  手足と胴に鎧を纏い、腰に剣を差した銀髪の美少女セミリア・クルイードは魔王に敗れ、再び魔王に挑むべく仲間を捜しに異世界からやって来たと告げる。  やけに気合の入ったコスプレイヤーが訪れたものだと驚く康平だが、涙ながらに力を貸してくれと懇願するセミリアを突き放すことが出来ずに渋々仲間捜しに協力することに。  結果現れた、ノリと音楽命の現役女子大生西原春乃、自称ニートで自称オタクで自称魔女っ娘なんとかというアニメのファンクラブを作ったと言っても過言ではない人物らしい引き籠もりの高瀬寛太の二人に何故か自分と幼馴染みの草食系女子月野みのりを加えた到底魔王など倒せそうにない四人は勇者一行として異世界に旅立つことになるのだった。  そんな特別な力を持っているわけでもないながらも勇者一行として異世界で魔王を倒し、時には異国の王を救い、いつしか多くの英傑から必要とされ、幾度となく戦争を終わらせるべく人知れず奔走し、気付けば何人もの伴侶に囲まれ、のちに救世主と呼ばれることになる一人の少年の物語。  敢えて王道? を突き進んでみるべし。  スキルもチートも冒険者も追放も奴隷も獣人もアイテムボックスもフェンリルも必要ない!  ……といいなぁ、なんて気持ちで始めた挑戦です。笑 第一幕【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている】 第二幕【~五大王国合同サミット~】 第三幕【~ただ一人の反逆者~】 第四幕【~連合軍vs連合軍~】 第五幕【~破滅の三大魔獣神~】

おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限
ファンタジー
 俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。  人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。  そんな俺は、突如病に倒れ死亡。  次に気が付いたときそこには神様がいた。  どうやら、異世界転生ができるらしい。  よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。  ……なんて、思っていた時が、ありました。  なんで、奴隷スタートなんだよ。  最底辺過ぎる。  そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。  それは、新たな俺には名前がない。  そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。  それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。  まぁ、いろいろやってみようと思う。  これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。

勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。 勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。

転生したけど、前世の記憶いる?

護茶丸夫
ファンタジー
ファンタジーな世界に転生したぜ、やっほう? お約束な神様にも会えず、チートもなく。文明レベルははテンプレより上ですか。 ゲームか何かの世界ですか?特に記憶に無いので、どうしたらいいんでしょうね? とりあえず家族は優しいので、のんびり暮らすことにします。 追記:投稿仕様は手探りで試しております。手際が悪くても「やれやれこれだから初心者は」と、流していただけると幸いです。 追記2:完結まで予約投稿終了しました。全12話 幼少期のみの物語です。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

処理中です...