ようこそReading部へ!

浅野新

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 場が急にしん、とする。
 ちょっと言い過ぎたかな。いや、でもいつもはこの5倍巧に言われているんだし。
 沈黙を破ったのは美鳥だった。
「やっぱり、そうだったのね・・。薄々感じてはいたんだけど。なんで頑張ってるのに本を読もうっていう人が増えないのかなって。部員も増えないし。でも真面目にやってさえいれば、必ず分かってくれる人は出てくるって、私、信じてたのよ・・・」
 がっくりと首をたれ、今にも消え入りそうな声でつぶやく彼女に、私は慌てた。
「だ、大丈夫よ美鳥、そんなに落ち込まなくても!!ちょっとやり方が間違ってただけで!美鳥が悪いわけじゃないんだから!方法をもっと親しみやすいものに変えたら、本を読もうかなって人も出てくるわよ」
圭ちゃんがわーっと拍手をする。
「さすがだね、藤堂さん!もう既にいい案考えてるみたい。いや、藤堂さんならちょっと脅しをかければ皆本を読むと思うよ♪」
「何よそれ。・・・もしかして圭ちゃんって毒舌家?」
「ご名答♪」
そこで静かだった巧が、はっと何かを思い出したように勢い良く立ち上がり、私を指差した。
「そう、そこで、お前!!」
はい?
「本嫌いのお前なら、本を読まない者の気持ちもわかるだろう。そこで、部長として、お前に任務を授ける!栄えあるリーディング部部員として、皆に読書を広める事!そして4月に入学してくる新一年生から部員を確保する事だ!」
 え、ええええ!? 何その展開!?入部したばっかりなのに、何か責任重くなってない!?
「藤堂さんなら鬼に金棒だね♪」
「嬉しい、真琴ちゃん、私も頑張るから」
「じゃあ、今日はこのへんでお開きだな」
 え、ちょっと待ってよ!?
 一人呆気に取られた私を残して、三人はよかったよかったと、席を立ち帰り支度を始める。
 図書館に置かれた柱時計が、一度、ボーンと鳴り、18時30分の時を告げた。

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