4 / 15
3
曜
しおりを挟む
「俺、変わった? 」
「変わったよな、絶対」
俺は隣を歩く幼馴染を見た。
聖司は、どこが?何が?と言う感じで首を傾げる。張本人のくせに。
ため息をつきつつ、どんよりとした空を突き破るかのようにうんと伸びをする。寒いと体も、心も縮こまってしまう気がして。2月は嫌いだ。
一週間は長い。特に月曜日は。昨日さくらに会ったばかりなのに、もう次の日曜日が待ち遠しくなっている。できることなら、毎日毎日会っていたい。せめて休日は土曜も日曜もずっと一緒にいたい。
普通の恋人同士のように。
ふつうの。
右を歩く聖司の気配を感じる。
変わった、よな。
自分がこんな恋愛に納得するなんて思いもよらなかったけど。
否、今も納得はしていないのだろうけれど。
ぽつりとつぶやく。
「自分が何番目の彼氏かなんて分からないけど」
仕方ないよな。
好きになっちゃったんだから。
これでさくらを繋ぎ止める事ができるのなら。
情けないけれど。
恋をして人は成長すると言うけれど。
恋をしている時の方が人間は情けなくなる。
そう思う。
それに、どうして彼女を責められるだろう。
さくらは誠実なのだ。誰に対しても。だから一人を深く愛せないのだ。
最 初は分からなかった。分かるわけがないと思った。実際、付き合い始めて五ヶ月たった今も納得はできていない。
けれど、だんだんと彼女の気持ちを、彼女自身を理解してあげたいと思い始めている。
聖司は分かっていたと言うのだろうか。
だからこいつはすぐに了承したのだろうか。
こんな恋愛の形を。
再び黙々と隣を歩く聖司を見た。
彼は何もかもが薄い。
髪の色も瞳の色も肌の色も。人形のように端整で目立つ外見なのに、何故か存在感も薄いのだ。そうしてそれを一向に気にもしていない。
雰囲気が同じだ。
__彼女と。
思わずげんこつでぽかりと彼の頭をなぐった。
聖司は、な、何、ときょとんとこちらを見ている。
「お前のどこがいいんだろうな。雰囲気が華奢なだけじゃないか」
何となく腹立たしくなって、何か言いかけた彼を無視して校舎へと急いだ。吐く息が白い。白い空気。
空気が、似ているんだ。二人とも。
「変わったよな、絶対」
俺は隣を歩く幼馴染を見た。
聖司は、どこが?何が?と言う感じで首を傾げる。張本人のくせに。
ため息をつきつつ、どんよりとした空を突き破るかのようにうんと伸びをする。寒いと体も、心も縮こまってしまう気がして。2月は嫌いだ。
一週間は長い。特に月曜日は。昨日さくらに会ったばかりなのに、もう次の日曜日が待ち遠しくなっている。できることなら、毎日毎日会っていたい。せめて休日は土曜も日曜もずっと一緒にいたい。
普通の恋人同士のように。
ふつうの。
右を歩く聖司の気配を感じる。
変わった、よな。
自分がこんな恋愛に納得するなんて思いもよらなかったけど。
否、今も納得はしていないのだろうけれど。
ぽつりとつぶやく。
「自分が何番目の彼氏かなんて分からないけど」
仕方ないよな。
好きになっちゃったんだから。
これでさくらを繋ぎ止める事ができるのなら。
情けないけれど。
恋をして人は成長すると言うけれど。
恋をしている時の方が人間は情けなくなる。
そう思う。
それに、どうして彼女を責められるだろう。
さくらは誠実なのだ。誰に対しても。だから一人を深く愛せないのだ。
最 初は分からなかった。分かるわけがないと思った。実際、付き合い始めて五ヶ月たった今も納得はできていない。
けれど、だんだんと彼女の気持ちを、彼女自身を理解してあげたいと思い始めている。
聖司は分かっていたと言うのだろうか。
だからこいつはすぐに了承したのだろうか。
こんな恋愛の形を。
再び黙々と隣を歩く聖司を見た。
彼は何もかもが薄い。
髪の色も瞳の色も肌の色も。人形のように端整で目立つ外見なのに、何故か存在感も薄いのだ。そうしてそれを一向に気にもしていない。
雰囲気が同じだ。
__彼女と。
思わずげんこつでぽかりと彼の頭をなぐった。
聖司は、な、何、ときょとんとこちらを見ている。
「お前のどこがいいんだろうな。雰囲気が華奢なだけじゃないか」
何となく腹立たしくなって、何か言いかけた彼を無視して校舎へと急いだ。吐く息が白い。白い空気。
空気が、似ているんだ。二人とも。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
きみこえ
帝亜有花
恋愛
月島 ほのかは事故により聴力を失った。転校先では学校で超モテる男子二人がお世話係? 先輩や保健室の先生にまで迫られてドキドキしっぱなしの毎日!
失われた音と声と季節巡る物語。
『好きだ』
この声は誰のものなのか・・・・・・。
※ifシリーズは時系列がバラバラになっていますので、ショートショートとしてお楽しみ下さい。ifの方が糖度高めかも。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる