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五突き目 幼馴染
生まれ変わる
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橘歩は、駅の改札を抜けると眩しくて目を細める。手で光を遮ると真っ青な空を仰いだ。冷めた風が心地いい。風に乱され額にかかった髪を指でかき分ける。
すれ違う男たちが、横目に歩を見て行く。
露出した肩に見えるピンク色のブラの紐が男心をくすぐっている。
歩は、見られる心地よさを味わっていた。
男として、これまで生きてきて、人からこれほど注目を浴びたことは、一度もなかった。
周囲を見回す歩。
「おかしいな、咲たち、来てないのかな?」
声のトーンが、少し高くなっている歩は、より女性らしくなっている。
スマホを取り画面をタップする歩。
傍目には、普通の女の子であった。膨らんだ胸の前でスマホを開く歩。
恵と咲からの新着メッセージのしらせは、なかった。
はあ・・ と、肩でため息をつく歩。
[帰って来たよ。一旦、家に帰ってます]
送信先に、咲と恵の所にチェックを入れ、送信すると書かれた部分をタップする。
歩は、スマホのサイドボタンを押すとショルダーバッグにしまう。弾むような足取りで歩き出す。
住み慣れた街の風景が、今の歩には以前と違って見えた。
途中、ソフトクリーム屋にしばらくぶりに見る笑顔が優しいおじさんを見つける。
「おじさん、久しぶりだね」
声をかける歩。
「おお、いらっ・・えーと、ごめんね。誰だったっけ?」
考えてみたら女性の姿で、ここを歩くのは、恵と一緒だったあの日以来だった。
かといって、女の子になったんだよ とは、言えるはずもなく
「あ、いえ、なんでもないです。苺ソフトを一つ下さい」
「はい、苺ソフトね」
以前なら、いつものかい?と、察してくれたおじさんはどこか遠くへ行き、今は初めて会う人になっていた。胸の前で軽く手を握ると、寂しい気持ちを抑え込む。
でも、歩の心は、ワクワクしていた。
女性になったら、やってみたい事がたくさんあった。
今のソフトクリームもそうである。
これを食べながら、街を歩く女性の姿をした自分をいつも想像していた。
可愛い洋服を手に取り、胸に当てるブラを選ぶことも、周りの目を気にすることなく出来る喜びが、歩く歩の足を軽くしていた。
このまま、家に帰るのが惜しくなった歩は、近くの公園に来ていた。
ブランコに腰掛けると、目一杯後ろに下がり後ろに向かって足を蹴った。
引力を前方に感じながら、立ちはだかる風に目を細める。さらに歩の心は弾んだ。
少し怖がる声が笑い声に変わる。
スカートの中を風に遊ばれる心地よさ。
さらに大きくブランコを漕ぐ歩。
童心に帰り、はしゃぐ歩には、めくれるスカートなど気にもならなかった。
そこに注がれる視線を感じた歩は、慌ててブランコを止めると、恥ずかしくなって逃げ出すように、その場を離れる。
「今、お姉ちゃんのパンツが見えた」
一緒にいたお父さんと思われる男性に、見たままを語る小さな男の子。
男性が、コラっと、男の子の頭を、コツンとする。
「いってえ、だってほんとだもん」
顔がへの字になる男の子は、今にも泣き出しそうになる。
ごめんね、と顔の前に手をやる歩。
男性と目が合い、ちょこんとお辞儀をすると、すみませんと頭をかいてお辞儀をして返す男性。
お姉ちゃんと言われ、歩は自分が女なのだと確信していた。
嬉しかった。周りの目が、自分を女として見てくれている。恵と咲に会うのが、より楽しみになる歩。どんな顔をして、迎えてくれるのかと勝手な想像をして軽く握った手で口元を隠すと、クスリとする歩。
公園を出て、しばらく歩いていると、向こうから高校の時に見かけた違うクラスの男子が、友達らしき男性と笑いながらこちらに向かって歩いてくる。
一瞬、ヤバいと感じる歩の鼓動が速くなっていた。
歩を見ると会話が止まり、二人の男性の視線が歩を追いかける。
何事もなく、すれ違うと他クラスだった男が口を開く。
「今の子、めっちゃ可愛くねえ?」
もう一人の男性に話しかけている。
ホッとする気持ちと可愛いと言われたことが、歩の頬を赤くする。
いつしか、歩は胸を張って歩いていた。
足取りも一段と軽くなり、飛んでいる気分とは、これなんだと初めて味わう感覚に身を躍らせている。
早く、恵と歩に会いたい。
スマホを取り出すと、送信記録を確認する。
まだ、二人からの既読の知らせすらなかった。
「どうしたんだろ?二人とも」
急に不安になった歩は、スマホの画面を指で滑らせながら、恵の欄をタップしてスマホを耳に当てる。
応答は、センターからの自動音声だった。
「バッテリー、切れたのかな?」
今度は、咲の欄をタップする歩。
何故か、咲のも応答は恵と同じであった。
二人同時に、バッテリーが切れているなど考えられなかった。
と、すれば、あえて電源を切っているとしか思えない。
「二人に何かあったんだ」
かといって、相談の出来る相手など、歩には誰一人いなかった。この二人を除いて。
二人の住んでいる場所は知っている。
咲の住まいに至っては、何度か訪れていたから知っていた。
恵の住まいは、最近、勤め先に住所を移したと聞いていたので、住所だけは知っている。
まず、行くとすれば咲の住む家。
クルリと向きを変えると、駅の方に走り出している歩。
すれ違う男たちが、横目に歩を見て行く。
露出した肩に見えるピンク色のブラの紐が男心をくすぐっている。
歩は、見られる心地よさを味わっていた。
男として、これまで生きてきて、人からこれほど注目を浴びたことは、一度もなかった。
周囲を見回す歩。
「おかしいな、咲たち、来てないのかな?」
声のトーンが、少し高くなっている歩は、より女性らしくなっている。
スマホを取り画面をタップする歩。
傍目には、普通の女の子であった。膨らんだ胸の前でスマホを開く歩。
恵と咲からの新着メッセージのしらせは、なかった。
はあ・・ と、肩でため息をつく歩。
[帰って来たよ。一旦、家に帰ってます]
送信先に、咲と恵の所にチェックを入れ、送信すると書かれた部分をタップする。
歩は、スマホのサイドボタンを押すとショルダーバッグにしまう。弾むような足取りで歩き出す。
住み慣れた街の風景が、今の歩には以前と違って見えた。
途中、ソフトクリーム屋にしばらくぶりに見る笑顔が優しいおじさんを見つける。
「おじさん、久しぶりだね」
声をかける歩。
「おお、いらっ・・えーと、ごめんね。誰だったっけ?」
考えてみたら女性の姿で、ここを歩くのは、恵と一緒だったあの日以来だった。
かといって、女の子になったんだよ とは、言えるはずもなく
「あ、いえ、なんでもないです。苺ソフトを一つ下さい」
「はい、苺ソフトね」
以前なら、いつものかい?と、察してくれたおじさんはどこか遠くへ行き、今は初めて会う人になっていた。胸の前で軽く手を握ると、寂しい気持ちを抑え込む。
でも、歩の心は、ワクワクしていた。
女性になったら、やってみたい事がたくさんあった。
今のソフトクリームもそうである。
これを食べながら、街を歩く女性の姿をした自分をいつも想像していた。
可愛い洋服を手に取り、胸に当てるブラを選ぶことも、周りの目を気にすることなく出来る喜びが、歩く歩の足を軽くしていた。
このまま、家に帰るのが惜しくなった歩は、近くの公園に来ていた。
ブランコに腰掛けると、目一杯後ろに下がり後ろに向かって足を蹴った。
引力を前方に感じながら、立ちはだかる風に目を細める。さらに歩の心は弾んだ。
少し怖がる声が笑い声に変わる。
スカートの中を風に遊ばれる心地よさ。
さらに大きくブランコを漕ぐ歩。
童心に帰り、はしゃぐ歩には、めくれるスカートなど気にもならなかった。
そこに注がれる視線を感じた歩は、慌ててブランコを止めると、恥ずかしくなって逃げ出すように、その場を離れる。
「今、お姉ちゃんのパンツが見えた」
一緒にいたお父さんと思われる男性に、見たままを語る小さな男の子。
男性が、コラっと、男の子の頭を、コツンとする。
「いってえ、だってほんとだもん」
顔がへの字になる男の子は、今にも泣き出しそうになる。
ごめんね、と顔の前に手をやる歩。
男性と目が合い、ちょこんとお辞儀をすると、すみませんと頭をかいてお辞儀をして返す男性。
お姉ちゃんと言われ、歩は自分が女なのだと確信していた。
嬉しかった。周りの目が、自分を女として見てくれている。恵と咲に会うのが、より楽しみになる歩。どんな顔をして、迎えてくれるのかと勝手な想像をして軽く握った手で口元を隠すと、クスリとする歩。
公園を出て、しばらく歩いていると、向こうから高校の時に見かけた違うクラスの男子が、友達らしき男性と笑いながらこちらに向かって歩いてくる。
一瞬、ヤバいと感じる歩の鼓動が速くなっていた。
歩を見ると会話が止まり、二人の男性の視線が歩を追いかける。
何事もなく、すれ違うと他クラスだった男が口を開く。
「今の子、めっちゃ可愛くねえ?」
もう一人の男性に話しかけている。
ホッとする気持ちと可愛いと言われたことが、歩の頬を赤くする。
いつしか、歩は胸を張って歩いていた。
足取りも一段と軽くなり、飛んでいる気分とは、これなんだと初めて味わう感覚に身を躍らせている。
早く、恵と歩に会いたい。
スマホを取り出すと、送信記録を確認する。
まだ、二人からの既読の知らせすらなかった。
「どうしたんだろ?二人とも」
急に不安になった歩は、スマホの画面を指で滑らせながら、恵の欄をタップしてスマホを耳に当てる。
応答は、センターからの自動音声だった。
「バッテリー、切れたのかな?」
今度は、咲の欄をタップする歩。
何故か、咲のも応答は恵と同じであった。
二人同時に、バッテリーが切れているなど考えられなかった。
と、すれば、あえて電源を切っているとしか思えない。
「二人に何かあったんだ」
かといって、相談の出来る相手など、歩には誰一人いなかった。この二人を除いて。
二人の住んでいる場所は知っている。
咲の住まいに至っては、何度か訪れていたから知っていた。
恵の住まいは、最近、勤め先に住所を移したと聞いていたので、住所だけは知っている。
まず、行くとすれば咲の住む家。
クルリと向きを変えると、駅の方に走り出している歩。
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