47 / 82
第五章 革命の時
第四十五話 突入
しおりを挟む
カンペルロ王国の首都ドアルヌネは城郭都市だ。特に城自体は山の上に築かれており、大変ダイナミックな景観である。堅固な砦に守られた難攻不落の城塞内には、情緒ある石造りの家々が並んでいて、歴史の深さを感じられる街並みだ。これで賑わいと観光に訪れる客がいれば、従来のアルモリカ王国と何ら引けを取らない状態であろう。
レイア達は、カンペルロ王国内に敷き詰められている石畳の上を歩いていた。右手をひさしのようにかざし、山の上に立つ城を見上げている。
「ここがカンペルロ王国か……」
「閑散としているというか、イマイチ賑わいにかける感じがするな」
パンロンの店員から聞いた情報通り、街自体の雰囲気はコルアイヌ王国の賑わいに比べると、どこか活気がない。
「そうね。お店の人達も顔は笑顔のようだけど、何か表面的だわ。あの人はどこか生気がないし、向こうには目が泳いでいる人もいる……」
セレナも周囲を見回し、街の人々の様子と顔色で街の人々の異常な状態を感じとっているようだ。
「自国の王がいつ自分達の財産を搾取しにくるかと常に考える日々だとしたら、生きた心地はしないだろう」
「あのアエスとかいう暴君、早く倒すしか方法がないね」
そう、己の私欲のために軽々と人の命を踏み台にして、のうのうと生きている憎らしい男。そんな為政者の風上にもおけないくだらない者のために人生を奪われ、家族を奪われ、生命を奪われた者達が今もなお、癒えることのない悲しみと苦しみを背負わされ続けている。
「しかし、王を倒すのは良いけど、その後はどうするの? 為政者不在では民が混乱するわ」
「今の城の状態を見てみるしかないな。まともな人間がゼロではないはずだ。表向き大人しく従っているが、腹の中では何とかせねばと思っている者がいると思う」
「俺達がランデヴェネスト城に乗り込む話しを、コルアイヌにいる同僚経由で王に報告しておいた。援軍としての兵を既にこちらに向けて送ってくれたらしい」
いざという時の救援はありがたいはなしだ。対処が早いに越したことはない。何せ、この国の王は、思いつくままに他国を侵攻するような性格だ。事前対策をとって逆に丁度いい位なのかもしれない。
「とにかく、ランデヴェネスト城に向おう! アリオンのためにも腕輪の鍵を早く見付けたいしな!」
レイア達は地図を睨み付けながら、先を急ぎ進むことにした。
⚔ ⚔ ⚔
城の入り口には遣りを持った兵が二人立っている。入り口の内側には兵が複数人待機しているのか、ドカドカと足音が聞こえてくる。レイア達は壁伝いに歩きつつ、中の様子をじっと伺っていた。
「ここの城は流石に見張りが厳しいな」
「なあアリオン、ここであれを使えるか?」
「ああ。アルモリカほどの効果はないかもしれないが、やってみようか。まずは目の前にいる兵達を少しずつ眠らせてみよう」
アリオンの瞳の色が金茶色からパライバ・ブルーへと変化した。唇に人差し指をあてて呪文を唱えると、指先から青白い霧のようなものが発生し、城内へと入り込んでゆく。霧は立っている兵達を静かに包み込み、兵達をあっという間に眠りの世界へと誘ってゆき……術にかかった彼らは誘惑に耐えきれず、ドミノ倒しのようにどんどん倒れていった。傍から見ていると随分と滑稽な光景である。
「これ位にしておこうかな」
「いけそうだな。アリオン、ありがとう。先を進もう!」
「ああ。急ごうか」
眠りこけている兵達を尻目に、レイア達は先へと進んだ。
⚔ ⚔ ⚔
石造りの城内は結構広い。中に入ると、壁は全体的に白地に塗られ、ところどころ金で縁取られており、とても石造りと思えない作りだった。
アエス王の居場所はどこか不明である。
地図は流石に城の入り口までしか記載されていなかったので、ここからは手探り状態だが、自力で探すしかなさそうだ。
大理石で作られた巨大な階段を登り、目先に見えている部屋という部屋を覗いてみたが、どの部屋も金を基調とした豪華な装飾で飾られていた。置いてあるものといったら、金糸を織り込んだ精緻なタペストリー、マイセン、有名な画家による絵画や彫刻といったコレクションだった。どの部屋にも豪奢なシャンデリアが吊り下がっている。いずれもそうとうな高額であろう。財産の大半をつぎ込んだものと思われる。
ただ、残念ながら明らかに鍵のようなものはどこにも見当たらなかった。
途中で運悪く鉢あってしまった使用人や衛兵達は、アリオンの術で瞬時に眠らされ、昏倒するはめになった。あちこち探して城の奥へ奥へと進んでいくと、黒い戸が現れた。白地に金で装飾されていた戸に比べると、極端に地味である。
「どこだ。王がいる部屋は……?」
「それにしても、この戸の先って一体どうなっているのだろう?」
「如何にも寝室や閣議室めいたところは、あらかじめ人払いしてあるようだな。もうこの先にいるとしか思えないね」
――お前がいくら逃げてもこちらからは全てお見通しだ。行動は全て把握されている――
ゲノルの言った言葉が蘇ってくる。
明らかに、自分達が来るのをいまかいまかと待ち構えているとしか思えなかった。
四人ともごくりとつばを飲み込んだ。
「腕輪の鍵、見付からないね。ひょっとしてアエス王が隠し持ってたりするのかな?」
「……可能性は否定出来ないな。厄介だが、このまま戦わざるを得ない状況になりそうだ」
アリオンの背中に冷や汗が一筋流れ落ちた。不完全な状態で、どこまで自分が戦えるのか予想がたたない。右の握りこぶしにぐっと力を込めた。
「……前に進もう。全てに決着をつけるためにも」
「そうだな。アリオン。俺達はあんたの味方だ。どんな状態でもあんたを守り、アエス王を倒すことに集中するぜ」
「ああ。絶対に打ち勝ってみせる。みんなのためにも、負けるわけにはいかない!」
木製の戸のドアノブに手をかけた。
ギギギィと軋む音が響き渡ると、目の前に広い空間が現れた。
他の部屋と異なり、飾り物も特になく殺風景だ。
その分、中が余計に広く感じる。
その中央辺りに黒尽くめの男達が立っているのが視界に入ってきた。
その数は五人。
彼らを見たレイアは訝しげな顔をした。
「あの男、何か見覚えがある……」
アリオンも気が付いた。彼らはかつてラルタ森でレイア達を急に襲ってきた相手だった。その内の一人が気付いたようでレイアの方に顔を向けた。
「どうも見覚えのある背格好と思ったら……お前は、あの時の女だな。只者じゃないと睨んでいたが、やはり生きていたか」
「やっぱり……あんたか」
「四人の侵入者が入ったと知らせが入った。王から始末するように命が下っている。覚悟しろ」
「前回は余裕がなくて相手も出来ず失礼したね。今回はその分も兼ねてしっかり相手になってあげるよ」
レイアが睨みつけると、五人のうちの一人がぼそぼそとしゃべり始めた。やけに横幅の広い体格をしている。
「ここは始末する者達や曲者を囲い込む為の特別な部屋だ。悪いがお前達はこの部屋に入った以上、我らを倒さねば出られないことになっている」
「何!?」
先ほどレイア達が入ってきた戸が突然ガチャガチャと音を響かせた。どうやら外から鍵をかけられたようである。ちぃっとアーサーが舌打ちした。
「否が応でも戦わざるを得ない環境にさせられたってわけか。もう後には引けねぇな」
「まずはあの五人、やるしかないな」
「やってやろうじゃないの!」
レイア達は目の前に立ちはだかる五人の兵達と対峙することになった。
レイア達は、カンペルロ王国内に敷き詰められている石畳の上を歩いていた。右手をひさしのようにかざし、山の上に立つ城を見上げている。
「ここがカンペルロ王国か……」
「閑散としているというか、イマイチ賑わいにかける感じがするな」
パンロンの店員から聞いた情報通り、街自体の雰囲気はコルアイヌ王国の賑わいに比べると、どこか活気がない。
「そうね。お店の人達も顔は笑顔のようだけど、何か表面的だわ。あの人はどこか生気がないし、向こうには目が泳いでいる人もいる……」
セレナも周囲を見回し、街の人々の様子と顔色で街の人々の異常な状態を感じとっているようだ。
「自国の王がいつ自分達の財産を搾取しにくるかと常に考える日々だとしたら、生きた心地はしないだろう」
「あのアエスとかいう暴君、早く倒すしか方法がないね」
そう、己の私欲のために軽々と人の命を踏み台にして、のうのうと生きている憎らしい男。そんな為政者の風上にもおけないくだらない者のために人生を奪われ、家族を奪われ、生命を奪われた者達が今もなお、癒えることのない悲しみと苦しみを背負わされ続けている。
「しかし、王を倒すのは良いけど、その後はどうするの? 為政者不在では民が混乱するわ」
「今の城の状態を見てみるしかないな。まともな人間がゼロではないはずだ。表向き大人しく従っているが、腹の中では何とかせねばと思っている者がいると思う」
「俺達がランデヴェネスト城に乗り込む話しを、コルアイヌにいる同僚経由で王に報告しておいた。援軍としての兵を既にこちらに向けて送ってくれたらしい」
いざという時の救援はありがたいはなしだ。対処が早いに越したことはない。何せ、この国の王は、思いつくままに他国を侵攻するような性格だ。事前対策をとって逆に丁度いい位なのかもしれない。
「とにかく、ランデヴェネスト城に向おう! アリオンのためにも腕輪の鍵を早く見付けたいしな!」
レイア達は地図を睨み付けながら、先を急ぎ進むことにした。
⚔ ⚔ ⚔
城の入り口には遣りを持った兵が二人立っている。入り口の内側には兵が複数人待機しているのか、ドカドカと足音が聞こえてくる。レイア達は壁伝いに歩きつつ、中の様子をじっと伺っていた。
「ここの城は流石に見張りが厳しいな」
「なあアリオン、ここであれを使えるか?」
「ああ。アルモリカほどの効果はないかもしれないが、やってみようか。まずは目の前にいる兵達を少しずつ眠らせてみよう」
アリオンの瞳の色が金茶色からパライバ・ブルーへと変化した。唇に人差し指をあてて呪文を唱えると、指先から青白い霧のようなものが発生し、城内へと入り込んでゆく。霧は立っている兵達を静かに包み込み、兵達をあっという間に眠りの世界へと誘ってゆき……術にかかった彼らは誘惑に耐えきれず、ドミノ倒しのようにどんどん倒れていった。傍から見ていると随分と滑稽な光景である。
「これ位にしておこうかな」
「いけそうだな。アリオン、ありがとう。先を進もう!」
「ああ。急ごうか」
眠りこけている兵達を尻目に、レイア達は先へと進んだ。
⚔ ⚔ ⚔
石造りの城内は結構広い。中に入ると、壁は全体的に白地に塗られ、ところどころ金で縁取られており、とても石造りと思えない作りだった。
アエス王の居場所はどこか不明である。
地図は流石に城の入り口までしか記載されていなかったので、ここからは手探り状態だが、自力で探すしかなさそうだ。
大理石で作られた巨大な階段を登り、目先に見えている部屋という部屋を覗いてみたが、どの部屋も金を基調とした豪華な装飾で飾られていた。置いてあるものといったら、金糸を織り込んだ精緻なタペストリー、マイセン、有名な画家による絵画や彫刻といったコレクションだった。どの部屋にも豪奢なシャンデリアが吊り下がっている。いずれもそうとうな高額であろう。財産の大半をつぎ込んだものと思われる。
ただ、残念ながら明らかに鍵のようなものはどこにも見当たらなかった。
途中で運悪く鉢あってしまった使用人や衛兵達は、アリオンの術で瞬時に眠らされ、昏倒するはめになった。あちこち探して城の奥へ奥へと進んでいくと、黒い戸が現れた。白地に金で装飾されていた戸に比べると、極端に地味である。
「どこだ。王がいる部屋は……?」
「それにしても、この戸の先って一体どうなっているのだろう?」
「如何にも寝室や閣議室めいたところは、あらかじめ人払いしてあるようだな。もうこの先にいるとしか思えないね」
――お前がいくら逃げてもこちらからは全てお見通しだ。行動は全て把握されている――
ゲノルの言った言葉が蘇ってくる。
明らかに、自分達が来るのをいまかいまかと待ち構えているとしか思えなかった。
四人ともごくりとつばを飲み込んだ。
「腕輪の鍵、見付からないね。ひょっとしてアエス王が隠し持ってたりするのかな?」
「……可能性は否定出来ないな。厄介だが、このまま戦わざるを得ない状況になりそうだ」
アリオンの背中に冷や汗が一筋流れ落ちた。不完全な状態で、どこまで自分が戦えるのか予想がたたない。右の握りこぶしにぐっと力を込めた。
「……前に進もう。全てに決着をつけるためにも」
「そうだな。アリオン。俺達はあんたの味方だ。どんな状態でもあんたを守り、アエス王を倒すことに集中するぜ」
「ああ。絶対に打ち勝ってみせる。みんなのためにも、負けるわけにはいかない!」
木製の戸のドアノブに手をかけた。
ギギギィと軋む音が響き渡ると、目の前に広い空間が現れた。
他の部屋と異なり、飾り物も特になく殺風景だ。
その分、中が余計に広く感じる。
その中央辺りに黒尽くめの男達が立っているのが視界に入ってきた。
その数は五人。
彼らを見たレイアは訝しげな顔をした。
「あの男、何か見覚えがある……」
アリオンも気が付いた。彼らはかつてラルタ森でレイア達を急に襲ってきた相手だった。その内の一人が気付いたようでレイアの方に顔を向けた。
「どうも見覚えのある背格好と思ったら……お前は、あの時の女だな。只者じゃないと睨んでいたが、やはり生きていたか」
「やっぱり……あんたか」
「四人の侵入者が入ったと知らせが入った。王から始末するように命が下っている。覚悟しろ」
「前回は余裕がなくて相手も出来ず失礼したね。今回はその分も兼ねてしっかり相手になってあげるよ」
レイアが睨みつけると、五人のうちの一人がぼそぼそとしゃべり始めた。やけに横幅の広い体格をしている。
「ここは始末する者達や曲者を囲い込む為の特別な部屋だ。悪いがお前達はこの部屋に入った以上、我らを倒さねば出られないことになっている」
「何!?」
先ほどレイア達が入ってきた戸が突然ガチャガチャと音を響かせた。どうやら外から鍵をかけられたようである。ちぃっとアーサーが舌打ちした。
「否が応でも戦わざるを得ない環境にさせられたってわけか。もう後には引けねぇな」
「まずはあの五人、やるしかないな」
「やってやろうじゃないの!」
レイア達は目の前に立ちはだかる五人の兵達と対峙することになった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる