19 / 82
第二章 南の国へ
第十七話 失われた記憶
しおりを挟む
かあ……かあ……。
鳴き声と共に大きな黒い鳥が大空を舞っている。
それは石造りでゴシック建築のような建物に向かって行った。
今日は、風が強い日のようだ。
黒を基調とし、紫が差し色として縁取られた国旗がバサリバサリと音を立てている。
それには、炎のような紋が描かれていた。
黒い鳥は真っ直ぐに下降し、小さな窓から建物の中へと滑り込んだ。
それは目的とするところに辿り着いた途端、足場の上に飛び乗り、目の前にある煙水晶の瞳をじいっと覗き込む。
すると、その足場はゆっくりと動き、大きな耳たぶが目の前に近付いてきた。
それに向かって鳥はかぁかぁと鳴き、その黒々とした翼をバササッと広げた。
「……そうか。ご苦労だった。でかしたぞ」
足場としていた王の左指が動き出し、王との距離が出来た。
かぁと一声鳴いた鴉の頭を、豪華な指輪をはめた、ごつごつとした大きな手がゆっくりとなでてゆく。
アエス王は顎の黒い髭を右手の指でなでつつ、どこか満足げに口元を歪め、それを目にした大臣は、ほっと胸をなでおろした。
彼の背後に控えた何人かの家臣達は、緊張のあまりまだ身体を震わせている。
不機嫌なことの多い王が珍しく機嫌が良いと、却って不気味だ。
一呼吸おいた後、大臣は恐る恐る口を開いた。
「失礼ですが、彼は何と……?」
「アルモリカの第一王子は、現在アルモリカ王国に向かっているらしい」
「そうですか! 見付かったのならば陛下、早速追っ手を差し向けましょうか?」
「いらん。放っておけ」
「え!? 何故に……!?」
と言いかけた大臣は、慌てて開いた口を両手で押さえ込んだ。
普段であれば、意見一つ言いようものならば、ぎろりと睨み付けられ、問答無用で足か拳が飛んできて壁に叩きつけられる。
ところが今見たところ、王の目付きは普通だ。
周囲の空気も冷たくない。
一瞬ひやりとした肝が徐々に温もりを取り戻した。
従者達は常に主人の気まぐれに振り回されている。
朝に言ったことが昼には真反対のことに変わっているなんて、日常茶飯事なのだ。
そのくせ王は癇癪もちで、意味もなくカンペルロ王国の住民を数十人規模で虐殺することもある。財政がひっ迫すると罪もない住民を裁判にかけては牢獄へと放り込み、その財産を没収することもあるのだ。
口が裂けても言えないが、こんな毎日が続いては命がいくつあっても足りないと、腹の中ではみんな思っている。
「気が変わった。奴を敢えて遊ばせてみようと思うてな。アルモリカには、既にあれを寄越しておるから心配はいらぬ」
「……左様でございますか」
「焦らずとも奴はここ、カンペルロ王国に戻ってくる筈だ。奴の狙いはこの城の地下にあるからな。儂はここで待っておくことにする。奴を見付けて連れ戻しても別に構わんがな」
「分かりました」
王が顎の黒い髭を右手の指でいじる傍らで、烏はあくびをするかのように、黄色のくちばしを大きく開いていた。
⚔ ⚔ ⚔
通りで流れている軽快な音楽。
行き交う人々の楽しそうな声。
にぎやかな喧騒。
何人かで駆け回っている子供達。
ある晴れの日。
通りの一角に帆布で出来た白いテントが張ってあり、その中で見世物屋が鳥を使った手品や色々な芸を見せ、通りがかりの客達の足を止めていた。
背後に控えた笛を吹く者や、太鼓を叩く者によって奏でられる、普段聞き慣れない調べに聴き惚れている客も何人かいる。
地面に置いてある竹製の籠には、銀貨や銅貨が何枚か乱雑に投げ入れられていた。
ここはモナン街。
この街は宿泊客を求めているかのように、宿があちこちと建っている。
勿論、飲食店や飲み屋もその合間を縫うように点在していた。
ラヴァン山脈を越え、アルモリカ王国へと向かう旅人達は、大抵この町で宿をとる者がほとんどだ。
その為、宿場町として知られている。
様々な国の者達が集まりやすい為、色々な情報が手に入るのだろう。
ここの地域は北の方角にあるコルアイヌよりも南に位置している為か、気温もやや高めだ。
少し薄着でも良かったかなとレイアはふと思ったが、コルアイヌからアルモリカへ向かう途中で通過する山や森は温度差がある。
このままで良いかと細かく考えるのを放棄した。
「私あの手品を初めて見る気がする。中々面白いな」
「私もよレイア。あの芸はコルアイヌでは中々見ないよね」
少女達は見世物小屋の前で出されるものを見ながら、共に頬を上気させている。普段あまり遠出しないセレナも上機嫌だ。
レイアはいつもと変わらない、男物の服の裾を調整した格好だった。小豆色の外套を羽織り、腰には愛用の剣を下げている。
セレナは普段のワンピースとは異なり、上は裾が少し長めのチュニックタイプの白い上着に、下は桃色のスラックスを身に着けていた。
汚れ避け、寒さ避けの為にベージュ色の外套を羽織っている。
背中に背負っているのは、彼女愛用の洋弓だ。
腰には矢を入れる為の黒いクイーバーを下げている。
左手には革製のアームガード、右指にはタブが装着されていた。
そんな彼女達を少し離れたところで、アーサー達は待っていた。
アリオンは白の上着を着て、その上から水色のチュニック位の長さのロングベストを着ている。腰にベルトを締め、下は黒いスラックスだ。
アーサーは薄藍の上着を着ていて、下は茶色のスラックスだ。
共に外套を羽織り、剣を腰に下げている。
女性陣が機嫌が良いことに、男性陣もどこか嬉しそうだ。
「セレナはともかく、レイアが知らんのは意外だったな」
「何故だ?」
「セレナは家にいることがほとんどだからだ。家事以外は普段薬草を採っては煎じて薬を作っている生活だ。訳あって、今まであまり一人で遠出出来なかったからな」
「そうか」
「レイアに聞いたかもしれんが、彼女は時々旅に出ている。俺と共同の仕事がない限り、家にいないことが多い」
「……彼女からは旅について聞いたことはあるのだが、詳しいことは知らなかった。彼女はそんなに旅が好きなのか?」
何にも知らないアリオンの顔を、紫色の瞳はちらと見た。
それは金茶色の瞳を数秒間じぃっと見た後で、そっと伏せられた。
「セレナと俺は知っているが、あんたにも知っていてもらおうか……」
二人の少女に背を向けるようにして、アリオンの袖を引き、そっと耳打ちした。
「レイアは実は、記憶がないんだ」
「……え……?」
アリオンは目を丸くした。
「正確には五年間分の記憶だ。生まれて五年間分のな。彼女はそれを不審に思い、取り戻そうとしている」
「そう……なんだ」
生後すぐの記憶を覚えている者はほとんどないと思われる。
生まれてからの五年間の記憶が全くないとは、果たしてどんな気分なのだろうと、王子はアーサーのはなしを聞きつつ、思いを馳せた。
鳴き声と共に大きな黒い鳥が大空を舞っている。
それは石造りでゴシック建築のような建物に向かって行った。
今日は、風が強い日のようだ。
黒を基調とし、紫が差し色として縁取られた国旗がバサリバサリと音を立てている。
それには、炎のような紋が描かれていた。
黒い鳥は真っ直ぐに下降し、小さな窓から建物の中へと滑り込んだ。
それは目的とするところに辿り着いた途端、足場の上に飛び乗り、目の前にある煙水晶の瞳をじいっと覗き込む。
すると、その足場はゆっくりと動き、大きな耳たぶが目の前に近付いてきた。
それに向かって鳥はかぁかぁと鳴き、その黒々とした翼をバササッと広げた。
「……そうか。ご苦労だった。でかしたぞ」
足場としていた王の左指が動き出し、王との距離が出来た。
かぁと一声鳴いた鴉の頭を、豪華な指輪をはめた、ごつごつとした大きな手がゆっくりとなでてゆく。
アエス王は顎の黒い髭を右手の指でなでつつ、どこか満足げに口元を歪め、それを目にした大臣は、ほっと胸をなでおろした。
彼の背後に控えた何人かの家臣達は、緊張のあまりまだ身体を震わせている。
不機嫌なことの多い王が珍しく機嫌が良いと、却って不気味だ。
一呼吸おいた後、大臣は恐る恐る口を開いた。
「失礼ですが、彼は何と……?」
「アルモリカの第一王子は、現在アルモリカ王国に向かっているらしい」
「そうですか! 見付かったのならば陛下、早速追っ手を差し向けましょうか?」
「いらん。放っておけ」
「え!? 何故に……!?」
と言いかけた大臣は、慌てて開いた口を両手で押さえ込んだ。
普段であれば、意見一つ言いようものならば、ぎろりと睨み付けられ、問答無用で足か拳が飛んできて壁に叩きつけられる。
ところが今見たところ、王の目付きは普通だ。
周囲の空気も冷たくない。
一瞬ひやりとした肝が徐々に温もりを取り戻した。
従者達は常に主人の気まぐれに振り回されている。
朝に言ったことが昼には真反対のことに変わっているなんて、日常茶飯事なのだ。
そのくせ王は癇癪もちで、意味もなくカンペルロ王国の住民を数十人規模で虐殺することもある。財政がひっ迫すると罪もない住民を裁判にかけては牢獄へと放り込み、その財産を没収することもあるのだ。
口が裂けても言えないが、こんな毎日が続いては命がいくつあっても足りないと、腹の中ではみんな思っている。
「気が変わった。奴を敢えて遊ばせてみようと思うてな。アルモリカには、既にあれを寄越しておるから心配はいらぬ」
「……左様でございますか」
「焦らずとも奴はここ、カンペルロ王国に戻ってくる筈だ。奴の狙いはこの城の地下にあるからな。儂はここで待っておくことにする。奴を見付けて連れ戻しても別に構わんがな」
「分かりました」
王が顎の黒い髭を右手の指でいじる傍らで、烏はあくびをするかのように、黄色のくちばしを大きく開いていた。
⚔ ⚔ ⚔
通りで流れている軽快な音楽。
行き交う人々の楽しそうな声。
にぎやかな喧騒。
何人かで駆け回っている子供達。
ある晴れの日。
通りの一角に帆布で出来た白いテントが張ってあり、その中で見世物屋が鳥を使った手品や色々な芸を見せ、通りがかりの客達の足を止めていた。
背後に控えた笛を吹く者や、太鼓を叩く者によって奏でられる、普段聞き慣れない調べに聴き惚れている客も何人かいる。
地面に置いてある竹製の籠には、銀貨や銅貨が何枚か乱雑に投げ入れられていた。
ここはモナン街。
この街は宿泊客を求めているかのように、宿があちこちと建っている。
勿論、飲食店や飲み屋もその合間を縫うように点在していた。
ラヴァン山脈を越え、アルモリカ王国へと向かう旅人達は、大抵この町で宿をとる者がほとんどだ。
その為、宿場町として知られている。
様々な国の者達が集まりやすい為、色々な情報が手に入るのだろう。
ここの地域は北の方角にあるコルアイヌよりも南に位置している為か、気温もやや高めだ。
少し薄着でも良かったかなとレイアはふと思ったが、コルアイヌからアルモリカへ向かう途中で通過する山や森は温度差がある。
このままで良いかと細かく考えるのを放棄した。
「私あの手品を初めて見る気がする。中々面白いな」
「私もよレイア。あの芸はコルアイヌでは中々見ないよね」
少女達は見世物小屋の前で出されるものを見ながら、共に頬を上気させている。普段あまり遠出しないセレナも上機嫌だ。
レイアはいつもと変わらない、男物の服の裾を調整した格好だった。小豆色の外套を羽織り、腰には愛用の剣を下げている。
セレナは普段のワンピースとは異なり、上は裾が少し長めのチュニックタイプの白い上着に、下は桃色のスラックスを身に着けていた。
汚れ避け、寒さ避けの為にベージュ色の外套を羽織っている。
背中に背負っているのは、彼女愛用の洋弓だ。
腰には矢を入れる為の黒いクイーバーを下げている。
左手には革製のアームガード、右指にはタブが装着されていた。
そんな彼女達を少し離れたところで、アーサー達は待っていた。
アリオンは白の上着を着て、その上から水色のチュニック位の長さのロングベストを着ている。腰にベルトを締め、下は黒いスラックスだ。
アーサーは薄藍の上着を着ていて、下は茶色のスラックスだ。
共に外套を羽織り、剣を腰に下げている。
女性陣が機嫌が良いことに、男性陣もどこか嬉しそうだ。
「セレナはともかく、レイアが知らんのは意外だったな」
「何故だ?」
「セレナは家にいることがほとんどだからだ。家事以外は普段薬草を採っては煎じて薬を作っている生活だ。訳あって、今まであまり一人で遠出出来なかったからな」
「そうか」
「レイアに聞いたかもしれんが、彼女は時々旅に出ている。俺と共同の仕事がない限り、家にいないことが多い」
「……彼女からは旅について聞いたことはあるのだが、詳しいことは知らなかった。彼女はそんなに旅が好きなのか?」
何にも知らないアリオンの顔を、紫色の瞳はちらと見た。
それは金茶色の瞳を数秒間じぃっと見た後で、そっと伏せられた。
「セレナと俺は知っているが、あんたにも知っていてもらおうか……」
二人の少女に背を向けるようにして、アリオンの袖を引き、そっと耳打ちした。
「レイアは実は、記憶がないんだ」
「……え……?」
アリオンは目を丸くした。
「正確には五年間分の記憶だ。生まれて五年間分のな。彼女はそれを不審に思い、取り戻そうとしている」
「そう……なんだ」
生後すぐの記憶を覚えている者はほとんどないと思われる。
生まれてからの五年間の記憶が全くないとは、果たしてどんな気分なのだろうと、王子はアーサーのはなしを聞きつつ、思いを馳せた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる