39 / 50
幼なじみ
しおりを挟む
「――エーコバッグバッグ、エーコバッグ~」
今日もお使い頼まれて歩く精霊バナナ·ガール、のナナ、ついついスマホポッケから出して覗く・・・いかんいかんとすぐしまう。と目の前から走ってくる人が、
「ん? あいつは・・・」
「んあっ、げっ、魔法ギャル」
「あんたたしか~・・・クローバーッ!」
「草加だよっ、わざと間違えんなっ!」
「ワンッ」
「おお~、マッスル~」
「ワンッ、ワンッ、ワンッ」
「お~、そうかそうか~、あんたも元気で何よりよ~」
「な、なんか言ってんのかマッスルは?」
マッスルの頭を撫でながらニカニカするナナはとうとう自分の事を信用し始めたようだと笑顔になる。
「ニッシッシッ、『お前は元気か、オレは元気』だってさ」
「ふ、ふ~ん、いくぞマッスル」
「じゃあね~、マッスルと四つ葉~」
「四つ葉じゃなくて、くーさーかーっ!」
彼は最後まで自分の名前を連呼して走っていった。だが何故かナナはニヤつく、それは犬のマッスルには続きがあり、
「幼なじみに会うのね、フフフッ」
面白そうと悪魔のようにワクワクしていたのだった······。
「――ママっちーっ、エコバ玄関に置いとくっ、じゃねっ!」
「え~、あら~・・・いってらっしゃい」
末信ママが言葉を発する隙間もなく行ってしまったナナだがしっかり買い物を済ませて走り2歩3歩・・・と、
「よくよく考えればあたし草加とマッスルがどこに行ったのか知らないのよね~」
分からないならとバナナ型スマホを出してアプリで探し出した。
「あったあった『ワンコの位置確認アプリ』、え~っと・・・マッスルっと」
『ワンコの位置確認アプリ』の空欄に犬の名前を入れると今現在どこにいるのか分かる便利な精霊専用アプリ。森田家からは距離があるということで魔女、ではなく精霊の格好でバナナ草に乗りその場所を目指して空へ······。
「――おう、マッスル」
「ワンッ」
使われてない工場跡地で茶髪の女性にマッスルは嬉しそうに尻尾を振りながら近づくと抱きしめられる。そこには草加の姿も、何らや神妙な面持ち。
「よう、紅杏」
「・・・草加~」
紅杏は草加を睨みつけた、だが目をそらされ、
「どうして目をそらす、草加」
質問するも答えない。抱きしめていたマッスルを離すと草加に近づき、
「おまえ最近おとなしいな、何があった?」
「そ、それは・・・」
「それは?」
「う~ん・・・」
わざわざ聞いても口ごもられそのやりとりを繰り返すも答えない姿にいい加減ムカついて、
「なんか言ったらどうなんだよっ、あーンッ!」
怒鳴った。
「・・・わからねえんだよ」
「はあ?」
「なんかよ、こう、やる気が無くなっちまってさ」
「やる気が無くなっただあ? 草加ぁふざけてんじゃねえよなあ~」
「ふざけてねえよ・・・ただ、その・・・」
「その、なんだよ」
「・・・マッスルになんかしてやりたくて」
「はぁぁ? なんなんだよ、その理由・・・」
いつもの不良の仲間同士で意気投合していたはずの幼なじみがまるで別人のような言葉に困惑していた。
「な~んか、ヤバい感じね~」
居場所を突き止めこっそりと聴いていたナナは最悪喧嘩とか起きたらどうしようと考えていると、
「草加っ、忘れたのかよあたし達が不良になった原因を!」
「わかってるよ」
「ならなんでっ」
言い合う草加と紅杏。
「こんなこといつまでしてても、オレはマッスルに何もしてやれねぇんだよ」
「草加、お前うちらよりも」
「お前だって一緒にマッスル見てきただろ、小さい頃から」
黙る紅杏、
「・・・不良になってから、いや生まれてから1度もオレはマッスルに何かちゃんとしてやったことがない気がするんだ」
ついマッスルを見るが目を逸らす。
「マッスルも・・・人間と同じようにはいかねえから、だから」
どうやらナナの言葉が草加には突き刺さっていたようだ、いい事をしたと思う反面いま置かれている彼の状況は思わしくはないと感ずる。
「でも、あんたがあたしを裏切ったことは事実」
草加に背を向け、
「まてよ紅杏・・・おまえも」
ドゴンッ、腹を蹴る。
「ゲホッゲホッ、なにすんだよ」
「ふざけたことぬかすな、んであんたとも一緒にすんな」
そう言って紅杏はマッスルを抱き、
「1日だけ考え直す時間をやる、もし抜けるっていうならマッスルはあたしが貰う!」
「紅杏っ、ふざけんなよっ」
「どうしてもって言うなら戻ればいい、それが嫌ならあたしを殴り倒してマッスルを救えばいいじゃねぇか」
「んなこと、できるかよ」
「あ~もー、男のクセにグダグダと、とっとと去れ腰抜けがっ!」
「ワン、ワン、ワン」
大切な幼なじみやマッスルにどうしていいか分からない草加は眉尻を下げながらその場をトボトボと歩いて帰ってしまった。
そんなシリアスな状況なのに何故かナナはコケていた。
「もう・・・『あとは頼んだナナ』っじゃねーっつーの、あの犬は~」
隠れて聞いている彼女にマッスルは気づいていて言葉を送っていたようだ。とりあえず様子みということでナナも家へと帰る······。
「「――いっただっきまーす」」
夜食をガツガツ食べる森田家、今日はトンカツにソースを沢山かけて食べるナナ。
「かけすぎじゃねーか?」
「モグモグッ・・・ゴックンッ、いいのよ人それぞれでしょ。末信~食べないならあたしが食べてあげようか~」
「食べるよ、モグモグッ」
ナナはホントに食べかねないと警戒する末信。
「あ、そうだママっち明日あたしちょっと野暮用で空けるわ」
「あら、めずらしいけどわかったわん」
「え~ナナお姉ちゃんと遊ぼうと思ったのに~」
「メンゴメンゴ、帰って来たら遊んでやっから」
「どーせまた変な連中の・・・」
コカーンッ、
「プギャァァァーッ!」
ナナの蹴りが末信のダイヤモンドに直撃。
そんなわけで再び明日、使われてない工場跡地に行ってみることにした。最悪の想定もかねて。
「あ、あ・・・い、いたいの······」
今日もお使い頼まれて歩く精霊バナナ·ガール、のナナ、ついついスマホポッケから出して覗く・・・いかんいかんとすぐしまう。と目の前から走ってくる人が、
「ん? あいつは・・・」
「んあっ、げっ、魔法ギャル」
「あんたたしか~・・・クローバーッ!」
「草加だよっ、わざと間違えんなっ!」
「ワンッ」
「おお~、マッスル~」
「ワンッ、ワンッ、ワンッ」
「お~、そうかそうか~、あんたも元気で何よりよ~」
「な、なんか言ってんのかマッスルは?」
マッスルの頭を撫でながらニカニカするナナはとうとう自分の事を信用し始めたようだと笑顔になる。
「ニッシッシッ、『お前は元気か、オレは元気』だってさ」
「ふ、ふ~ん、いくぞマッスル」
「じゃあね~、マッスルと四つ葉~」
「四つ葉じゃなくて、くーさーかーっ!」
彼は最後まで自分の名前を連呼して走っていった。だが何故かナナはニヤつく、それは犬のマッスルには続きがあり、
「幼なじみに会うのね、フフフッ」
面白そうと悪魔のようにワクワクしていたのだった······。
「――ママっちーっ、エコバ玄関に置いとくっ、じゃねっ!」
「え~、あら~・・・いってらっしゃい」
末信ママが言葉を発する隙間もなく行ってしまったナナだがしっかり買い物を済ませて走り2歩3歩・・・と、
「よくよく考えればあたし草加とマッスルがどこに行ったのか知らないのよね~」
分からないならとバナナ型スマホを出してアプリで探し出した。
「あったあった『ワンコの位置確認アプリ』、え~っと・・・マッスルっと」
『ワンコの位置確認アプリ』の空欄に犬の名前を入れると今現在どこにいるのか分かる便利な精霊専用アプリ。森田家からは距離があるということで魔女、ではなく精霊の格好でバナナ草に乗りその場所を目指して空へ······。
「――おう、マッスル」
「ワンッ」
使われてない工場跡地で茶髪の女性にマッスルは嬉しそうに尻尾を振りながら近づくと抱きしめられる。そこには草加の姿も、何らや神妙な面持ち。
「よう、紅杏」
「・・・草加~」
紅杏は草加を睨みつけた、だが目をそらされ、
「どうして目をそらす、草加」
質問するも答えない。抱きしめていたマッスルを離すと草加に近づき、
「おまえ最近おとなしいな、何があった?」
「そ、それは・・・」
「それは?」
「う~ん・・・」
わざわざ聞いても口ごもられそのやりとりを繰り返すも答えない姿にいい加減ムカついて、
「なんか言ったらどうなんだよっ、あーンッ!」
怒鳴った。
「・・・わからねえんだよ」
「はあ?」
「なんかよ、こう、やる気が無くなっちまってさ」
「やる気が無くなっただあ? 草加ぁふざけてんじゃねえよなあ~」
「ふざけてねえよ・・・ただ、その・・・」
「その、なんだよ」
「・・・マッスルになんかしてやりたくて」
「はぁぁ? なんなんだよ、その理由・・・」
いつもの不良の仲間同士で意気投合していたはずの幼なじみがまるで別人のような言葉に困惑していた。
「な~んか、ヤバい感じね~」
居場所を突き止めこっそりと聴いていたナナは最悪喧嘩とか起きたらどうしようと考えていると、
「草加っ、忘れたのかよあたし達が不良になった原因を!」
「わかってるよ」
「ならなんでっ」
言い合う草加と紅杏。
「こんなこといつまでしてても、オレはマッスルに何もしてやれねぇんだよ」
「草加、お前うちらよりも」
「お前だって一緒にマッスル見てきただろ、小さい頃から」
黙る紅杏、
「・・・不良になってから、いや生まれてから1度もオレはマッスルに何かちゃんとしてやったことがない気がするんだ」
ついマッスルを見るが目を逸らす。
「マッスルも・・・人間と同じようにはいかねえから、だから」
どうやらナナの言葉が草加には突き刺さっていたようだ、いい事をしたと思う反面いま置かれている彼の状況は思わしくはないと感ずる。
「でも、あんたがあたしを裏切ったことは事実」
草加に背を向け、
「まてよ紅杏・・・おまえも」
ドゴンッ、腹を蹴る。
「ゲホッゲホッ、なにすんだよ」
「ふざけたことぬかすな、んであんたとも一緒にすんな」
そう言って紅杏はマッスルを抱き、
「1日だけ考え直す時間をやる、もし抜けるっていうならマッスルはあたしが貰う!」
「紅杏っ、ふざけんなよっ」
「どうしてもって言うなら戻ればいい、それが嫌ならあたしを殴り倒してマッスルを救えばいいじゃねぇか」
「んなこと、できるかよ」
「あ~もー、男のクセにグダグダと、とっとと去れ腰抜けがっ!」
「ワン、ワン、ワン」
大切な幼なじみやマッスルにどうしていいか分からない草加は眉尻を下げながらその場をトボトボと歩いて帰ってしまった。
そんなシリアスな状況なのに何故かナナはコケていた。
「もう・・・『あとは頼んだナナ』っじゃねーっつーの、あの犬は~」
隠れて聞いている彼女にマッスルは気づいていて言葉を送っていたようだ。とりあえず様子みということでナナも家へと帰る······。
「「――いっただっきまーす」」
夜食をガツガツ食べる森田家、今日はトンカツにソースを沢山かけて食べるナナ。
「かけすぎじゃねーか?」
「モグモグッ・・・ゴックンッ、いいのよ人それぞれでしょ。末信~食べないならあたしが食べてあげようか~」
「食べるよ、モグモグッ」
ナナはホントに食べかねないと警戒する末信。
「あ、そうだママっち明日あたしちょっと野暮用で空けるわ」
「あら、めずらしいけどわかったわん」
「え~ナナお姉ちゃんと遊ぼうと思ったのに~」
「メンゴメンゴ、帰って来たら遊んでやっから」
「どーせまた変な連中の・・・」
コカーンッ、
「プギャァァァーッ!」
ナナの蹴りが末信のダイヤモンドに直撃。
そんなわけで再び明日、使われてない工場跡地に行ってみることにした。最悪の想定もかねて。
「あ、あ・・・い、いたいの······」
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる