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大魔王フィールド攻略戦

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「クックックッ」


「な、なんだ、いったい・・・あちっ」

「キャッ、これって火が」



 桜子ようこが気が付いて周りを見渡せばフロアー全体がいつの間にか炎の部屋に。



「アイツは平気なのか?」


「あたりまえだろ、大魔王が炎の中でダメージをくらうか。お前たちはこの中で火だるまだ!」


「うりゃあぁぁぁ、千夏ちゃん!」


「ナナお姉ちゃん、水の護り!」



 魔拳士の千夏の水の護りに全身をおおわれた精霊バナナ·ガールで今は軍隊長ナナは銃を2丁持ち大魔王に向かって走り出す。



「やっぱり来たかイカレ女っ」


「だれがイカれよっ!」

 バキュンッバキュンッ、



「ファイアウォール!」


「炎の壁、逃げたっ」



「あとは勝手にくたばりな、フハハハハッ」炎の壁に隠れてしまう。



「ナナお姉ちゃんどうしよ」

「ナナッ、こっちももたねえぞ」

「ナナさんっ!」

「ピンチってやつか」



 大魔王コーグは炎の壁の向こう、炎のフロアーに取り残された4人は絶体絶命か······。



「ふんっあっけない、大魔王に逆らうからさ」



 ドンッ、となにかの物音。



「なんだ?」なにか抵抗しているのだろう、ここでファイアウォールを解けばそれが奴らのねらいと思っていたら音はさらにギュイーンと進んで来るような響きに。



「いったいなにが・・・うわぁぁっ、バリアァァーッ!」



 大魔王コーグの炎を越えて進んでくる大きな物体に咄嗟にバリアを展開するそれは、



「うりゃぁ~っ、どうよチビ大魔王ぉっ、戦車だぞぉぉ~!」



 なんと軍隊長のナナが召喚した戦車だったのだ。



「せ、戦車だと、かっこいい・・・」


 すかさず勢いにのりバックさせ大砲を標準、


「うるぁっ、ファイヤッ!」


 ドンッ、


「くぐっ」


 ドンッ、撃ちまくるが破れないバリア。


「フハハハハ、そんな攻撃じゃあやぶれないぞ」


「あ~らそーっ、因みにこの中ってあたし1



「ホーリー·クロス!」


「シャイニング·ナックル!」


「レ、レモンスラーッシュ!」



 大魔王の後ろから強烈な技が、彼らは戦車の後ろに隠れファイアウォールが越えたときすでに背後に回っていた。


「うわっっ」


 ドカーンッと3人の技が直撃。


「よっしゃ、どうだ」

「お兄ちゃん技ダサくない?」

「だからこの世界の勇者だから仕方ないんだって」

「・・・あたし勇者じゃなくてよかった」


「痛いなー、もー」技をくらって右目からチョビっと水が。


「なんかやりづれえなこの大魔王」


「涙・・・ねぇあなた」真剣な眼差しで大魔王に語りかけたのは桜子だった。


「なんだっ!」


「ほんとうは、戦い嫌いなんじゃ?」


 大魔王とはいえ見た目は子ども、最初は倒すことしか考えてはいなかったが、なにかこう・・・戦いたい気持ちがないのではと感じる桜子は、


 一歩、

「え、お姉ちゃん危ないよ!」


 ニ歩、

「桜子ちゃん危険だ」


「でも、もしかしたら・・・」


 大魔王に近づいていく。


「ねえ、戦うのやめない?」


「フンッ・・・アイス·フロア」


「え・・・?」


 大魔王の声とともに部屋は一瞬で吹雪く氷の部屋へと変貌した。


「キャアァッ!」

「桜子ちゃんっ、千夏っ、炎の護りを!」

「あいあい、もうやってるよ炎の護り!」


 大魔王の一番近くにいた桜子は身体に雪が纏わりつきまずいと思ったところに、


「こ、これは千夏ちゃんの」

「桜子ちゃん」

「末信君、ごめんなさい」

「いいってことよ、そこが桜子ちゃんのいいところなんだからさ」


 末信に引っ張られて助かり千夏のところまで戻っていった。


「ボクは大・魔王なんだぁーっ!」


 その思いに呼応するかのように吹雪きは白く細かくなっていく。
 千夏たちはナナと合流すべく戦車に戻ったが、


「ナナお姉ちゃん、どこ?」

「その声、千夏ちゃんね、みんなは」

「だいじょぶ」

「そう、よかった、ハッチが氷って開かないの」


 どうやらこの吹雪により固まってしまったようなのでみんなで千夏の炎の護りでハッチ周りの氷を溶かすと、


「ぷはーっ、ありがとね、みんな」

「大魔王のヤロー、今度は氷の部屋に変えやがった。ナナ次は何で行く気だ?」



 周りを見渡せばもはや雪国状態。



「ふ~む、大魔王ちゃんもあたしたちが見えないくらい吹雪いてるわね」

「そうなんですナナさん、私がちゃんと攻撃にしていれば」

「桜子ちゃんいいって」


「むふふっ」


 3人はなにか思いついたのだろうニヤけるナナに気づく。


「雪が積もっているなら、みんなで楽しんじゃおう」


「「へ?」」




「――ボクは大魔王だぁぁぁ・・・はぁ、はぁ」

 大きな魔力を出して一度ひと呼吸おき浮いていた大魔王はゆっくりと着地する。


「ふぅ~、ちょっと力を出しすぎたかな、アイツらもこれで・・・ん?」


 真っ白な雪の絨毯じゅうたんが広がる真ん中になにか見える、洞窟だろうか。


「な、なんだろう」


 中がオレンジに光っていて気になり白い洞窟に入ってみた······。


「大根もらいっ」

「あ、ナナ、おれも」

「あーたしもー」

「う~んいいのかな~」


「お、おまえらっ、いったいなにしてるんだぁぁぁーっ!」


「ん? 見てわかるでしょっ、食べてんの、あんたの分もあるから食べなさい」


 ナナは雪でやりたかった、かまくらで鍋を皆で食べていた。


「な、ぼ、ボクは大魔王で」

「大魔王でも鍋は食べるんじゃない? 美味いぞ」

「え、え?」

「美味しく食べたら、戦おー!」

「「おーう!」」

「・・・なんかへんなヤツらだ、ズズズーッ、あ、おいしい!」


 何故かかまくらの中で大魔王ふくめた勇者たち5人は温かい鍋の中身が空になるまで食べたのだった······。
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