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~少年と人魚~ 【理由】
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「もうそろそろ時間か」
太陽が沈んできていた。
だが突然、
「ぷはぁっ、フウマ君岩影まで行こうっ!」
「どうしたんだよ急に」
「いいから潜って!」
「ああ」
言われた通りに再び潜りマリッサに昨日の岩影にたどり着く。
「人に見つかったのか?」
「ううん大丈夫······人がいたから焦って」
「······そうなのか」
彼女は嘘を言っている。先に海から顔を出した時に人はいなかった。
「――まあいいや、今日はありがとうマリッサ、楽しかったよ」
「え、よかった、マリッサお姉さんも嬉しい」
「言っとくがっ、精神年齢は僕の方が上だよっ」
「フフフッ、ムキになっちゃって」
「ムキになんてっ、あっ」
「まだまだ子どもね、フ·ウ·マ·君」
してやられた。
「明日から学校だけど来るよ」
「またゴミ拾うの?」
「そうだよ」
「そうなんだ~、フ~ン」
「ん?」
彼女が何か企んでいた。しかしそれは明日わかることに······。
――午後5時過ぎ、夕方で今日も綺麗な夕焼けが観れそうとコンビニの袋を持った。
次いでにマリッサにもと思い砂浜に行くと、
「え、これは!」
「あ、フウマ、ゴミ集めといたよ」
それは海の中のゴミ。
「あ、ありがとう」
「これなら時間出来るでしょっ?」
「フフッ、ああ、そうだね」
つい鼻で笑ってしまう。
彼女にありがたく思いながら集めたゴミを袋に入れ帰りまで話をする······。
やはりマリッサはいい人魚だ。それに一緒にいて、なんか、楽しい······。
――ところが火曜日に、
「マリッサ」
「今日も、はいゴミ」
「ありがとう······あっ」
「なになに?」
小さい傷だが血が出ていた。
「あ、これゴミを海で拾ってたら知らずに切っちゃったみたい」
僕はポケットに手を入れ、
「ホラッ、ばんそうこ」
「え、ありがとうー!」
彼女の右腕に貼りながら、
「僕もゴミを拾って切り傷を負った事があってね。だから2、3枚持ってるんだよ、よし、これで大丈夫だ」
「アハッ、フウマは優しいね」
「か、勘違いするなよ。ケガしてたんだから」
笑顔のマリッサにちょっと照れてしまう。
「ねー、なに持ってきたの?」
「あ、そうそう、はい、プリンだよ」
「プリン?」
マリッサは知らなかった。それはそう、これは地上の食べ物なんだから。
昨日のお礼にと彼女にあげた。
「うわ、美味しい~!」
プリンの美味しさに満足してくれたようだ。しかし、いつまでもこんな楽しいことは続けられないだろう。
僕は明日、訊いてみることにした。何故ここ石浦に来たのか、本当の理由を······。
――次の日、
「フウマッ、はいゴミ」
「ありがとう。僕の役目取られちゃったな」
「うん、取っちゃったね」
「はい、プリン」
「持ってきてくれると思った」
「······マリッサ」
「あむっ、ん?」
「美味しいかい?」
「うん、美味しいよっ」
「そうか」
つい声が出てしまった。せめて彼女が食べ終わったらにしよう······。
「ああ、満足っ!」
「じゃあ片付けるよ」
「はい、ありがとね、2日も連続で」
「いいさっ······」
僕は覚悟して、
「で、何話そう」
「マリッサ」
「ん?」
「話してくれないか、本当のことを」
「え······」
「もう話してくれてもいいだろ?」
そうお願いすると、
「ん~っ、しょっと」
岩の上に座って僕の隣に。
「やっぱりバレちゃったんだ」
「どういうことなんだ?」
黄昏を観る彼女は、どことなく悲しい目をしていた。
「あたしさ······ケンカしたの」
「もしかして仲間」
「うん、1度も見たことない人間が見たいって言ったら『人間は悪魔だから止めろ』って言われたの。その子も人間を知らないのに、腹立って集団を離れたら深海で迷っちゃって」
「それでここに?」
「うん、でもあたしだって人間は危険とか言われて育ったから、ちゃんと警戒してたら、1人ゴミ拾いしてるフウマを観てて、いい人かもって、それで思い切って貝を投げたの」
「そうだったのか」
「ごめん、嘘ついて」
「仲間の人魚の言う通りだな」
「え、なにが」
「人間は悪魔さっ」
「そんな······」
「君も手伝ってくれただろ。あれは全部人間がした事だ。いくらゴミを拾ったって次の日になれば流れ着いてくる······」
それが自分がゴミを拾い続けて思っていたこと。
「フウマ、少し落ち着いたら?」
僕は少し興奮して立ち上がっていたので座る。
「ごめん」
「ううん、やっぱり人間って不思議」
「どうして?」
「だって自分達で汚して自分達で後悔してるし」
「今是昨非、か」
「何それ?」
今になって過去の行いが過ちと気づき悔いる事。
「はあ······」
「ごめんよ、話が暗くなったね。ところで」
「ん?」
「日曜日に一緒に泳いだ時、人がいるとか言って焦って逃げたのは、もしかして」
「······実は仲間が」
「やっぱり、どうして戻らなかったんだ」
「だって、楽しいから······人間と、フウマとおしゃべりして······」
キレイな、瞳、
「······僕も」
「あれ、怒らないの?」
「え、怒らないのって······怒るのだって疲れるんだよ」
「あ~、よかった」
これ以上その話に触れるのをやめた。
「······やっぱり人間が悪魔って思えないな~」
「え~?」
「だってフウマ、優しいもん」
「ま、またからかって」
「フフッ、からかってなんかないよ」
僕はできれば、
マリッサに居てほしい······。
――重い話をした次の日は互いが楽しんだ。マリッサがゴミを、僕はプリンを、まるで交換するように。
「いつもありがとう、プリン最高ね」
「そろそろプリンが怪しまれそうだ」
「じゃあ他の美味しいやつで」
「······太るよ」
「言ったな~、えいっ」
尾で海水をかけてきた。
「ぬ、濡れちゃったじゃないか」
「女性に失礼なこと言うからよフウマちゃん」
「僕を年下扱いするなー!」
「だって年下じゃん」
「せ、精神年齢は上だっ!」
「このまま赤ちゃんになったりしてフウマちゃんは」
「ちゃんはやめろーっ!」
僕にとって今まで経験したことのない幸福感。
こんな事がずっと続いてほしいと、
マリッサをずっと見ていたいと心の底から想ったのにとうとう別れの日が訪れる······。
太陽が沈んできていた。
だが突然、
「ぷはぁっ、フウマ君岩影まで行こうっ!」
「どうしたんだよ急に」
「いいから潜って!」
「ああ」
言われた通りに再び潜りマリッサに昨日の岩影にたどり着く。
「人に見つかったのか?」
「ううん大丈夫······人がいたから焦って」
「······そうなのか」
彼女は嘘を言っている。先に海から顔を出した時に人はいなかった。
「――まあいいや、今日はありがとうマリッサ、楽しかったよ」
「え、よかった、マリッサお姉さんも嬉しい」
「言っとくがっ、精神年齢は僕の方が上だよっ」
「フフフッ、ムキになっちゃって」
「ムキになんてっ、あっ」
「まだまだ子どもね、フ·ウ·マ·君」
してやられた。
「明日から学校だけど来るよ」
「またゴミ拾うの?」
「そうだよ」
「そうなんだ~、フ~ン」
「ん?」
彼女が何か企んでいた。しかしそれは明日わかることに······。
――午後5時過ぎ、夕方で今日も綺麗な夕焼けが観れそうとコンビニの袋を持った。
次いでにマリッサにもと思い砂浜に行くと、
「え、これは!」
「あ、フウマ、ゴミ集めといたよ」
それは海の中のゴミ。
「あ、ありがとう」
「これなら時間出来るでしょっ?」
「フフッ、ああ、そうだね」
つい鼻で笑ってしまう。
彼女にありがたく思いながら集めたゴミを袋に入れ帰りまで話をする······。
やはりマリッサはいい人魚だ。それに一緒にいて、なんか、楽しい······。
――ところが火曜日に、
「マリッサ」
「今日も、はいゴミ」
「ありがとう······あっ」
「なになに?」
小さい傷だが血が出ていた。
「あ、これゴミを海で拾ってたら知らずに切っちゃったみたい」
僕はポケットに手を入れ、
「ホラッ、ばんそうこ」
「え、ありがとうー!」
彼女の右腕に貼りながら、
「僕もゴミを拾って切り傷を負った事があってね。だから2、3枚持ってるんだよ、よし、これで大丈夫だ」
「アハッ、フウマは優しいね」
「か、勘違いするなよ。ケガしてたんだから」
笑顔のマリッサにちょっと照れてしまう。
「ねー、なに持ってきたの?」
「あ、そうそう、はい、プリンだよ」
「プリン?」
マリッサは知らなかった。それはそう、これは地上の食べ物なんだから。
昨日のお礼にと彼女にあげた。
「うわ、美味しい~!」
プリンの美味しさに満足してくれたようだ。しかし、いつまでもこんな楽しいことは続けられないだろう。
僕は明日、訊いてみることにした。何故ここ石浦に来たのか、本当の理由を······。
――次の日、
「フウマッ、はいゴミ」
「ありがとう。僕の役目取られちゃったな」
「うん、取っちゃったね」
「はい、プリン」
「持ってきてくれると思った」
「······マリッサ」
「あむっ、ん?」
「美味しいかい?」
「うん、美味しいよっ」
「そうか」
つい声が出てしまった。せめて彼女が食べ終わったらにしよう······。
「ああ、満足っ!」
「じゃあ片付けるよ」
「はい、ありがとね、2日も連続で」
「いいさっ······」
僕は覚悟して、
「で、何話そう」
「マリッサ」
「ん?」
「話してくれないか、本当のことを」
「え······」
「もう話してくれてもいいだろ?」
そうお願いすると、
「ん~っ、しょっと」
岩の上に座って僕の隣に。
「やっぱりバレちゃったんだ」
「どういうことなんだ?」
黄昏を観る彼女は、どことなく悲しい目をしていた。
「あたしさ······ケンカしたの」
「もしかして仲間」
「うん、1度も見たことない人間が見たいって言ったら『人間は悪魔だから止めろ』って言われたの。その子も人間を知らないのに、腹立って集団を離れたら深海で迷っちゃって」
「それでここに?」
「うん、でもあたしだって人間は危険とか言われて育ったから、ちゃんと警戒してたら、1人ゴミ拾いしてるフウマを観てて、いい人かもって、それで思い切って貝を投げたの」
「そうだったのか」
「ごめん、嘘ついて」
「仲間の人魚の言う通りだな」
「え、なにが」
「人間は悪魔さっ」
「そんな······」
「君も手伝ってくれただろ。あれは全部人間がした事だ。いくらゴミを拾ったって次の日になれば流れ着いてくる······」
それが自分がゴミを拾い続けて思っていたこと。
「フウマ、少し落ち着いたら?」
僕は少し興奮して立ち上がっていたので座る。
「ごめん」
「ううん、やっぱり人間って不思議」
「どうして?」
「だって自分達で汚して自分達で後悔してるし」
「今是昨非、か」
「何それ?」
今になって過去の行いが過ちと気づき悔いる事。
「はあ······」
「ごめんよ、話が暗くなったね。ところで」
「ん?」
「日曜日に一緒に泳いだ時、人がいるとか言って焦って逃げたのは、もしかして」
「······実は仲間が」
「やっぱり、どうして戻らなかったんだ」
「だって、楽しいから······人間と、フウマとおしゃべりして······」
キレイな、瞳、
「······僕も」
「あれ、怒らないの?」
「え、怒らないのって······怒るのだって疲れるんだよ」
「あ~、よかった」
これ以上その話に触れるのをやめた。
「······やっぱり人間が悪魔って思えないな~」
「え~?」
「だってフウマ、優しいもん」
「ま、またからかって」
「フフッ、からかってなんかないよ」
僕はできれば、
マリッサに居てほしい······。
――重い話をした次の日は互いが楽しんだ。マリッサがゴミを、僕はプリンを、まるで交換するように。
「いつもありがとう、プリン最高ね」
「そろそろプリンが怪しまれそうだ」
「じゃあ他の美味しいやつで」
「······太るよ」
「言ったな~、えいっ」
尾で海水をかけてきた。
「ぬ、濡れちゃったじゃないか」
「女性に失礼なこと言うからよフウマちゃん」
「僕を年下扱いするなー!」
「だって年下じゃん」
「せ、精神年齢は上だっ!」
「このまま赤ちゃんになったりしてフウマちゃんは」
「ちゃんはやめろーっ!」
僕にとって今まで経験したことのない幸福感。
こんな事がずっと続いてほしいと、
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