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もしも別れていなければ
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――キンッ、キンッ、
魔王の城の中で剣が響き合う。オレは魔王戦士を
優を救うためずっと語り続けていた。
2人でイタズラをしたことや先生に怒られたこと。運動会の組体操や鉄棒、ジャングルジムなど覚えてる限りを。
「おまえ言ってたよな『まったく同じ絵は描けない、それはコピーでいい』って。模写して鉛筆の進まないオレにとってそれはありがたかった」
「だまれっ、さっきから、ハァハァハァ」
「だから『楽しく描こう』って」
剣を弾いているとオレは僅かな鈍さを感じ始めていた。
「どうした、優」
「黙れだまれだまれだまれだマレダマレダマレッ!」
致命傷をあたえていないにも関わらず苦しそうで言葉の乱れに気づく、今こそとオレは最後の勝負を仕掛ける。
「魔王戦士っ、貴様の最強の攻撃でオレを倒してみろ!」
「ナンダト······クックック、イイダロウ、ウワァァァッ!」
4つの魔剣に闇が濃く強くなっていく。肌に伝わってくる恐怖や絶望感。だがオレは剣に想いを込める。
「画に力を込めず、筆はやさしく······」
「ウガァウッ!」
向かってきた優にオレも、
「やさしさの剣ジェンティーレッ!」
「ウガァァァーッ!」
「うあぁぁぁーッ!」
この激突のすぐに他の仲間が駆けつけたが立っていたのは魔王戦士だけだった。
「――裕二おれは、おれは」
「何をしている、殺せっ、お前が傷ついている時に笑ってのうのうと生きていた偽善の友を殺すのだっ!」
「おれにはっ、もう」
「そうやって迷えば、傷つけた奴等は付け上がり今度はお前の命を奪うぞっ、それでいいのかマサルッ!」
「そんなことはさせないっ!」
「裕二っ!」
「またせたな、優」
「な、なぜ、貴様はここへっ」
「この技は共鳴したやさしさの元へとはこんでくれる神秘の技」操っていた闇が驚くのも無理はない。魔王戦士となった優の声がおかしくなったときに迷っていると気づいて、昔の優はまだいるとオレは確信しこの技をつかい優の心の中へとダイブした。
「裕二、おれはおまえに」
「立て優、ヤツを倒すぞ······反省しているのはわかるよ友達だからな、でもコイツをほっとけばまた弱った人間につけこむ、そんなわけには行かないだろ優っ!」
優はスッと立ち上がり剣を出現させた。
「いいのかマサル、また同じ苦しみを味わうのだぞ、それが人間の世界だ!」
「わかってる、その苦しみに負けお前に頼ったのも、だがもう終わらすっ」
闇を肯定したうえで倒すことを決めた優、そしてオレたちは剣を構えて飛び出した。
「愚か者めーっ!」
「オレが愚かなのは否定はしない、だがっ!」
「人間の弱みを付け込んだ貴様がっ、ほんとうの愚か者だぁぁぁーっ!」
2人で交差して闇を切り裂いた······。
『裕二、おれは嫉妬していた、どんどん絵がうまくなっていくおまえに、それが悔しくて、寂しかった、それと······ゆうじ······ありがとう······』
すべての戦いは終わった。優を抱えるオレと仲間一行は女神の神殿へと足を運び玉座に座る女神の前に。
「魔王を倒してくださりありがとう、勇者と一行たち」
「いえ、オレは」
「褒美にあなた方の願いを叶えましょう」
仲間たちがそれぞれ思い想いの願いを叶えてもらうなか俺の出番に、
「最後は勇者あなただけ、何を願いますか?」
「俺の願いは······」
願いを叶えて現実の世界へと帰ってきた。だけど、
「よう、優」
「裕二······」
「海でも眺めながら話そうぜ」
うなずいた優とオレは女神の神殿近くの崖で座った。
「まさか、またおまえと話せるとはな裕二」
「ここならいつでも会えるからな」
オレが女神に願ったのは異世界を自由に行き来できる事、そうすれば優といつでも会えると思ったから。オレたち二人にとって今はそれが一番いい。
「過去のことは魔王戦士になったお前から聞いた。酷かったな」
「一人になるたびに思ったよ『裕二だったら話せるのに』って」
「どうしてメッセージをくれなかったんだ」
「迷惑だと思ってさ、おれも。おまえおれがメッセージ送らないとお繰り返して来ないしな」
「あ、わりぃ、その、そういうの恥ずかしくてな」
このとき優は苦笑いしていたような気がする。
「おれも一度は自立しなきゃって思って頑張ったんだ、でも周りはそれに反してどんどん否定してきた。それで······」
「異世界の闇につけこまれたってわけか」
「ああ、情けないよな」
「もういいさ、終わったことだ。次はこの先どう楽しむか、だろ」
そう想って言った言葉に優は笑顔で立ち上がった。
「そうだな······おれたまに思ってたんだけどさ、引っ越さなかったら何してたかな」
想像だが残念だがオレたちは良い子な方ではないのでたぶん、
「学校休んで、ずっと一緒にゲームやって」
「カードゲームとか二人プレイでゲームとか」
「そうそう······ってダメだなオレたち」
「そう、だな、とても人には言えないな」
「変な空気になったが、遊ぶか、ここで」
「ああ、なにやる?」
「絵を描こう!」
「やだよ、裕二はうまくなったから」
「優に教わったとおりに描いただけだぞ······」
このあともオレたちは何をやろうかと話し合っていくうちにあっという間に時間が経つが、今のオレたちにはそれだけでも十分だ、この時間を大切にしたい······。
魔王の城の中で剣が響き合う。オレは魔王戦士を
優を救うためずっと語り続けていた。
2人でイタズラをしたことや先生に怒られたこと。運動会の組体操や鉄棒、ジャングルジムなど覚えてる限りを。
「おまえ言ってたよな『まったく同じ絵は描けない、それはコピーでいい』って。模写して鉛筆の進まないオレにとってそれはありがたかった」
「だまれっ、さっきから、ハァハァハァ」
「だから『楽しく描こう』って」
剣を弾いているとオレは僅かな鈍さを感じ始めていた。
「どうした、優」
「黙れだまれだまれだまれだマレダマレダマレッ!」
致命傷をあたえていないにも関わらず苦しそうで言葉の乱れに気づく、今こそとオレは最後の勝負を仕掛ける。
「魔王戦士っ、貴様の最強の攻撃でオレを倒してみろ!」
「ナンダト······クックック、イイダロウ、ウワァァァッ!」
4つの魔剣に闇が濃く強くなっていく。肌に伝わってくる恐怖や絶望感。だがオレは剣に想いを込める。
「画に力を込めず、筆はやさしく······」
「ウガァウッ!」
向かってきた優にオレも、
「やさしさの剣ジェンティーレッ!」
「ウガァァァーッ!」
「うあぁぁぁーッ!」
この激突のすぐに他の仲間が駆けつけたが立っていたのは魔王戦士だけだった。
「――裕二おれは、おれは」
「何をしている、殺せっ、お前が傷ついている時に笑ってのうのうと生きていた偽善の友を殺すのだっ!」
「おれにはっ、もう」
「そうやって迷えば、傷つけた奴等は付け上がり今度はお前の命を奪うぞっ、それでいいのかマサルッ!」
「そんなことはさせないっ!」
「裕二っ!」
「またせたな、優」
「な、なぜ、貴様はここへっ」
「この技は共鳴したやさしさの元へとはこんでくれる神秘の技」操っていた闇が驚くのも無理はない。魔王戦士となった優の声がおかしくなったときに迷っていると気づいて、昔の優はまだいるとオレは確信しこの技をつかい優の心の中へとダイブした。
「裕二、おれはおまえに」
「立て優、ヤツを倒すぞ······反省しているのはわかるよ友達だからな、でもコイツをほっとけばまた弱った人間につけこむ、そんなわけには行かないだろ優っ!」
優はスッと立ち上がり剣を出現させた。
「いいのかマサル、また同じ苦しみを味わうのだぞ、それが人間の世界だ!」
「わかってる、その苦しみに負けお前に頼ったのも、だがもう終わらすっ」
闇を肯定したうえで倒すことを決めた優、そしてオレたちは剣を構えて飛び出した。
「愚か者めーっ!」
「オレが愚かなのは否定はしない、だがっ!」
「人間の弱みを付け込んだ貴様がっ、ほんとうの愚か者だぁぁぁーっ!」
2人で交差して闇を切り裂いた······。
『裕二、おれは嫉妬していた、どんどん絵がうまくなっていくおまえに、それが悔しくて、寂しかった、それと······ゆうじ······ありがとう······』
すべての戦いは終わった。優を抱えるオレと仲間一行は女神の神殿へと足を運び玉座に座る女神の前に。
「魔王を倒してくださりありがとう、勇者と一行たち」
「いえ、オレは」
「褒美にあなた方の願いを叶えましょう」
仲間たちがそれぞれ思い想いの願いを叶えてもらうなか俺の出番に、
「最後は勇者あなただけ、何を願いますか?」
「俺の願いは······」
願いを叶えて現実の世界へと帰ってきた。だけど、
「よう、優」
「裕二······」
「海でも眺めながら話そうぜ」
うなずいた優とオレは女神の神殿近くの崖で座った。
「まさか、またおまえと話せるとはな裕二」
「ここならいつでも会えるからな」
オレが女神に願ったのは異世界を自由に行き来できる事、そうすれば優といつでも会えると思ったから。オレたち二人にとって今はそれが一番いい。
「過去のことは魔王戦士になったお前から聞いた。酷かったな」
「一人になるたびに思ったよ『裕二だったら話せるのに』って」
「どうしてメッセージをくれなかったんだ」
「迷惑だと思ってさ、おれも。おまえおれがメッセージ送らないとお繰り返して来ないしな」
「あ、わりぃ、その、そういうの恥ずかしくてな」
このとき優は苦笑いしていたような気がする。
「おれも一度は自立しなきゃって思って頑張ったんだ、でも周りはそれに反してどんどん否定してきた。それで······」
「異世界の闇につけこまれたってわけか」
「ああ、情けないよな」
「もういいさ、終わったことだ。次はこの先どう楽しむか、だろ」
そう想って言った言葉に優は笑顔で立ち上がった。
「そうだな······おれたまに思ってたんだけどさ、引っ越さなかったら何してたかな」
想像だが残念だがオレたちは良い子な方ではないのでたぶん、
「学校休んで、ずっと一緒にゲームやって」
「カードゲームとか二人プレイでゲームとか」
「そうそう······ってダメだなオレたち」
「そう、だな、とても人には言えないな」
「変な空気になったが、遊ぶか、ここで」
「ああ、なにやる?」
「絵を描こう!」
「やだよ、裕二はうまくなったから」
「優に教わったとおりに描いただけだぞ······」
このあともオレたちは何をやろうかと話し合っていくうちにあっという間に時間が経つが、今のオレたちにはそれだけでも十分だ、この時間を大切にしたい······。
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