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ホントのホントの悩み
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お母さんが退院して3日後、出産してから1週間程で退院、普通の日常から1人増えてパワーアップした。
だけどキキョウの方は進展なし、何を一緒にやっても努には彼女が見えてるようでこのままこの家族の一員になるのも居心地がよく悪い気はしないとも考えてしまう――。
いつもの様に買い物後にデパートのベンチで飲み物を飲んだ帰り。第2駐車場に向かうため横断歩道を渡ったあとお母さんが、
「あっ、いけない、荷物ベンチに置いてきちゃった」
「じゃあボクもってくるよ」
「大丈夫?」
「うん」生まれた赤ちゃんを背負っているお母さんを思って努が荷物を取りに行こうとしたとき横断歩道に車が、思わずお母さんとキキョウ叫ぶ、
「「あぶないっ!」」
「え······」
車は去り、努は尻もちを付く。
「なんだよキキョウ大きなこえで」
「いま危なかったわよっ、ダメじゃないちゃんと渡る前に見ないと」
「ご、ごめん」
何時ものモジモジしたキキョウではない事に本当に危なかったと理解し反省する努に、
「大丈夫なのっ」とお母さんが彼を抱きしめる。
恥ずかしがるが、
「もうっ、ちゃんと周りを見ないとダメでしょっ」
お母さんは怒るが少し落ち着き、
「でも、どうして急に止まって······」
すると笑顔で努は、
「だからようせいがとめてくれたんだって」
頭を傾げるお母さん、彼は度たび妖精の話をしていたのだがもちろん半信半疑。
「ありがとうキキョウ······あれ?」
周りを見渡すが何処にもキキョウの、妖精の姿が見当たらない。
「そんな······キキョウ、きえちゃったの······」
努の悲しそうな顔を見てこの子が嘘付くとは思えなかった。何よりさっきの不自然に止まった彼を見たから。
「妖精がどうしたの、努?」
「わかんないっ、いないんだっ」
「······きっとやる事を終えて帰ったのよ」
焦って探す努にお母さんは優しく話す。
「やること、あっ」
「妖精さん、努ならもうお兄ちゃんとして大丈夫だと感じて消えたんだと思うな。だからこれまでのことに感謝しましょ」
「おかあさん、キキョウ······」
努とお母さんは晴天を見上げ、
「ありがとう」と妖精にお礼をした。
ベンチから荷物を持ってきて、ふと振り向く努に、
「ほら、こっちの桔梗が泣いちゃうわよお兄ちゃん」
「う、うん、わかってるよ」
車に乗りその場を去って行った······。
その頃キキョウは、
「うっうっ······ぐすっ」
ガードレールの上で涙を流していた。
彼女が見えなくなったのは努がお母さんに抱きしめられた時。それはお母さんがお腹が大きい時から甘える事が出来なかった努が、抱きしめて欲しかったからだった。
彼が見えなくなりその場に居たキキョウは別れるのが辛いと同時に、
「こっちこそありがとう、努君」
こんな人見知りの自分に暖かみをくれた彼等家族に感謝する······。
「はぁ~、ぐすっ」泣き終えたキキョウは少し前の事を思い出す。
――生まれたばかりの女の赤ちゃんに名前を付ける時、
「ホントにいいのかな~」
「うん、なまえは桔梗にしたよ」
「な、なんか自分の名前って恥ずかしい」
妹の名前は桔梗、それは努が提案し花言葉を調べたお母さんも『永遠の愛』なら良いわねと決まった事だった。
同じ名前、それは照れるけど嬉しくもあった。
「泣いてばかりじゃだめだよね。私も頑張ろ、ぐすっ······」
人見知りな妖精キキョウに少しの勇気が芽生え、涙を拭って空へと消えていく······。
妖精、それは悩んだり頑張ってる人達に手を差し伸べる、そんな生き物。
次に彼女が見えるのは、あなたかも知れない······。
だけどキキョウの方は進展なし、何を一緒にやっても努には彼女が見えてるようでこのままこの家族の一員になるのも居心地がよく悪い気はしないとも考えてしまう――。
いつもの様に買い物後にデパートのベンチで飲み物を飲んだ帰り。第2駐車場に向かうため横断歩道を渡ったあとお母さんが、
「あっ、いけない、荷物ベンチに置いてきちゃった」
「じゃあボクもってくるよ」
「大丈夫?」
「うん」生まれた赤ちゃんを背負っているお母さんを思って努が荷物を取りに行こうとしたとき横断歩道に車が、思わずお母さんとキキョウ叫ぶ、
「「あぶないっ!」」
「え······」
車は去り、努は尻もちを付く。
「なんだよキキョウ大きなこえで」
「いま危なかったわよっ、ダメじゃないちゃんと渡る前に見ないと」
「ご、ごめん」
何時ものモジモジしたキキョウではない事に本当に危なかったと理解し反省する努に、
「大丈夫なのっ」とお母さんが彼を抱きしめる。
恥ずかしがるが、
「もうっ、ちゃんと周りを見ないとダメでしょっ」
お母さんは怒るが少し落ち着き、
「でも、どうして急に止まって······」
すると笑顔で努は、
「だからようせいがとめてくれたんだって」
頭を傾げるお母さん、彼は度たび妖精の話をしていたのだがもちろん半信半疑。
「ありがとうキキョウ······あれ?」
周りを見渡すが何処にもキキョウの、妖精の姿が見当たらない。
「そんな······キキョウ、きえちゃったの······」
努の悲しそうな顔を見てこの子が嘘付くとは思えなかった。何よりさっきの不自然に止まった彼を見たから。
「妖精がどうしたの、努?」
「わかんないっ、いないんだっ」
「······きっとやる事を終えて帰ったのよ」
焦って探す努にお母さんは優しく話す。
「やること、あっ」
「妖精さん、努ならもうお兄ちゃんとして大丈夫だと感じて消えたんだと思うな。だからこれまでのことに感謝しましょ」
「おかあさん、キキョウ······」
努とお母さんは晴天を見上げ、
「ありがとう」と妖精にお礼をした。
ベンチから荷物を持ってきて、ふと振り向く努に、
「ほら、こっちの桔梗が泣いちゃうわよお兄ちゃん」
「う、うん、わかってるよ」
車に乗りその場を去って行った······。
その頃キキョウは、
「うっうっ······ぐすっ」
ガードレールの上で涙を流していた。
彼女が見えなくなったのは努がお母さんに抱きしめられた時。それはお母さんがお腹が大きい時から甘える事が出来なかった努が、抱きしめて欲しかったからだった。
彼が見えなくなりその場に居たキキョウは別れるのが辛いと同時に、
「こっちこそありがとう、努君」
こんな人見知りの自分に暖かみをくれた彼等家族に感謝する······。
「はぁ~、ぐすっ」泣き終えたキキョウは少し前の事を思い出す。
――生まれたばかりの女の赤ちゃんに名前を付ける時、
「ホントにいいのかな~」
「うん、なまえは桔梗にしたよ」
「な、なんか自分の名前って恥ずかしい」
妹の名前は桔梗、それは努が提案し花言葉を調べたお母さんも『永遠の愛』なら良いわねと決まった事だった。
同じ名前、それは照れるけど嬉しくもあった。
「泣いてばかりじゃだめだよね。私も頑張ろ、ぐすっ······」
人見知りな妖精キキョウに少しの勇気が芽生え、涙を拭って空へと消えていく······。
妖精、それは悩んだり頑張ってる人達に手を差し伸べる、そんな生き物。
次に彼女が見えるのは、あなたかも知れない······。
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