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暖かい温もり
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「――う、う~ん」
ハッと気がつくと私は自分の机で昼寝をしてたみたい、いかんいかん。
今日は八月九日、蝶都市の蝶都祭り。
なのに、
「はぁ~、何だろう」
胸の奥が苦しいくて汗もかき、
「どうしてよ~」
急な自分の状態に困惑してしまう。
「昼寝したからかな~」
そう思いふと雲一つない青空をみたら、
「······そと······」
家から出ると楽になる気がした私は、
「お母さーん、少し外出て来るー」
「はーい」
玄関を開くとそこはいつもの空。
当たり前のこと、なのに何か変、
「散歩でもしようかな~」
何故か散歩をしてみたくなり歩く。
変わらない町の風景、外はさすがに暑い。
「あ、あの~」
「はい? えええー!」
目の前には、
「お、驚かないで」
もう一人の私が。
「あわわわっ」
呪われる~、ドッペルゲンガー、鏡の中に連れていかれる。沢山思い付いたけど、
「ちょっとこっち来て」
「いやよ~!」
「え~、どうしよ」
「あ、あたし、まだ死にたくないよ~!」
「そんな」
もう一人の私が下を向いたので逃げようと振り向いたら目の前に小さな、
「子供?」
私と同じ茶色い肌の子。
その隙をつかれて、
「わっ」
もう一人の私に手を掴まれてしまった。
「こっち来て」
そう言われ、子供も来てほしいみたいだから、
「も~、わかったわよ~」
すると、
向かう先が光り······。
元の真っ暗な空間に戻って来て、
「うっ、思い出した」
全て思い出す。
「あ、ありがとう、でも一体あなたは?」
改めてもう一人の私に訊いてみたの。
「う~ん、あたしはーその~何て言えばいいのかな······えっと~」
昔の私のまま、やっぱり偽物じゃない。
「道長君に一度フラれたんだけど~、分かる?」
「えっ、まさかそのあたしっ?」
徹を助けたあと、もう一人の私に徹が告白した、あの私だ。でも、どうしてと訊くと、
「道長君が、苦しんでるから」
「え、徹が?」
けど動けないんじゃどうしようも、
「だから力を貸したくて!」
「力を、そうなんだ」
何か自分と話して変な感じだけど、元気が出て来る。
「何か、不思議ですね」
「うん、私もそう思ってた」
それともう一人、
「いつもありがとね」
小さな子にもお礼を言ったら、笑顔に。。いつも人が苦手そうにしてるけれど、真っ直ぐ潤った眼が私の身体の奥の方で何かを感じる。
きっとこの子は······。
「はい、未来のあたし」
右手に触れ、小さな子は左手に、
「可愛い手、あなたも力を貸してくれるのね」
三人で手を繋ぎ、気持ちを一つに。
真っ暗な空間は徐々に薄く、明るくなっていく。
ありがとう、もう一人のあたしそれと······。
力強く目を開いて、
「チャイルド止めて!」
愛の声が、どうなってるか分からないけど、
「私に変わってっ!」
「なっ、お前目覚めたのか」
「はいっ、社長っ」
「やったー、未来~!」
「おおっ、未来君!」
「徹、良かったな」
「ああ」
「未来、さん」
「チャイルドっ?」
彼女の異変に気付いて、
「早く変わってっ」
「はい······もう少しでショートしていたかも知れないです」
「えっ」
チャイルドの言葉にゾッとしたけど、もう大丈夫みたいね。
「状況は」
「見ての通り、台風の目になりつつありますが、あの浮いている気候獣が停滞していますとその周りの地域が壊滅してしまいます」
でも、子供の気候獣は上空にいる。
「チャイルド、空飛ぶの無理なのよね?」
「······いえ、実は出来なくもないんですが」
「ならっ」
「ちょっと待てっ」
「社長」突然社長が、
「お前が今やろうとするには、羽をイメージして、手や脚のようにエネルギー化しなきゃならないーー出来るのか、その精神でっ?」
「やれると、思いますっ!」
その力溢れる返事に、霞さんは言葉を失った。それは驚きと共に自分の若い頃、研究にわくわくした頃を思い出させるほどに。
そして機体に変化が、
「社長っ、マザー·ガーディアンに羽と、髪の毛······未来?」
愛が目にしたのは、私がイメージした鮮やかな青い蝶々の羽。それと紫の髪。
「ホント羽が出た、綺麗~」
生まれた所が蝶都だから、私にはそのイメージが一番だったの。
でもぐずぐずはしてられない。
「社長、次は?」
「まさか髪まで出すとは――いいか、マザー·ガーディアンの背部にエンジンがあるが、一回限りだ」
「一回ですね」
「そうだ······外すな、未来!」
「はいっ!」
「ではエンジンを点火します」
「お願い!」
合図と同時にエンジンを点火、勢いよく羽ばたかせ飛んだ。
「行って、未来ー!」
「くっ」
風に煽られるが上手く乗る。
集中力を切らさずに赤ちゃんのような気候獣に近づき、
「今助けてあげるからね」
マザー·ガーディアンの両手で触れる。
――また空間、今日はまるで空間デー。
その先には、
「やっぱり赤ちゃんね。さーどうやってするかー」
私は赤ちゃんをあやした事ないからとりあえず、
「よいしょっと」まず抱っこしてみる。
緊張しながら少しずつ力を調整して、体を密着させていく······。
そうすると次第に安心したみたいで、赤ちゃんが静かに。
「よし、よ~し」
自然と言葉が出てきて、何か不思議。
まぶたを閉じこの子を抱いていると、私のお腹にも赤ちゃんが、私と徹の“愛の結晶”が生きている。
結婚して、お腹の子が生まれたら三人で暮らして······。
しばらくしたら赤ちゃんともお別れが近づき、
「お母さんが待ってるわ、さようなら······赤ちゃんーー」
同調している間チャイルドにより無事着陸して今日の大仕事が、遂に終わった。
夜空が美しい中でコックピットを開いて、スタッフの方々に降ろされ、すぐキャンピングカーに乗せられる。
皆は喜んでたけど、私と徹の二人は疲労やプレッシャーからの解放で寝そうになったから、
「徹······」
「未来······なに?」
「また、記憶無くさないでよね」
「ああ、大丈、夫さ」
「徹?」
「眠る」
徹は横になりながら笑顔で答えてくれた。
「よかっ、た」
その隣で、彼の冷たいけど大きく暖かい手を掴んで私も安心して眠った······。
ハッと気がつくと私は自分の机で昼寝をしてたみたい、いかんいかん。
今日は八月九日、蝶都市の蝶都祭り。
なのに、
「はぁ~、何だろう」
胸の奥が苦しいくて汗もかき、
「どうしてよ~」
急な自分の状態に困惑してしまう。
「昼寝したからかな~」
そう思いふと雲一つない青空をみたら、
「······そと······」
家から出ると楽になる気がした私は、
「お母さーん、少し外出て来るー」
「はーい」
玄関を開くとそこはいつもの空。
当たり前のこと、なのに何か変、
「散歩でもしようかな~」
何故か散歩をしてみたくなり歩く。
変わらない町の風景、外はさすがに暑い。
「あ、あの~」
「はい? えええー!」
目の前には、
「お、驚かないで」
もう一人の私が。
「あわわわっ」
呪われる~、ドッペルゲンガー、鏡の中に連れていかれる。沢山思い付いたけど、
「ちょっとこっち来て」
「いやよ~!」
「え~、どうしよ」
「あ、あたし、まだ死にたくないよ~!」
「そんな」
もう一人の私が下を向いたので逃げようと振り向いたら目の前に小さな、
「子供?」
私と同じ茶色い肌の子。
その隙をつかれて、
「わっ」
もう一人の私に手を掴まれてしまった。
「こっち来て」
そう言われ、子供も来てほしいみたいだから、
「も~、わかったわよ~」
すると、
向かう先が光り······。
元の真っ暗な空間に戻って来て、
「うっ、思い出した」
全て思い出す。
「あ、ありがとう、でも一体あなたは?」
改めてもう一人の私に訊いてみたの。
「う~ん、あたしはーその~何て言えばいいのかな······えっと~」
昔の私のまま、やっぱり偽物じゃない。
「道長君に一度フラれたんだけど~、分かる?」
「えっ、まさかそのあたしっ?」
徹を助けたあと、もう一人の私に徹が告白した、あの私だ。でも、どうしてと訊くと、
「道長君が、苦しんでるから」
「え、徹が?」
けど動けないんじゃどうしようも、
「だから力を貸したくて!」
「力を、そうなんだ」
何か自分と話して変な感じだけど、元気が出て来る。
「何か、不思議ですね」
「うん、私もそう思ってた」
それともう一人、
「いつもありがとね」
小さな子にもお礼を言ったら、笑顔に。。いつも人が苦手そうにしてるけれど、真っ直ぐ潤った眼が私の身体の奥の方で何かを感じる。
きっとこの子は······。
「はい、未来のあたし」
右手に触れ、小さな子は左手に、
「可愛い手、あなたも力を貸してくれるのね」
三人で手を繋ぎ、気持ちを一つに。
真っ暗な空間は徐々に薄く、明るくなっていく。
ありがとう、もう一人のあたしそれと······。
力強く目を開いて、
「チャイルド止めて!」
愛の声が、どうなってるか分からないけど、
「私に変わってっ!」
「なっ、お前目覚めたのか」
「はいっ、社長っ」
「やったー、未来~!」
「おおっ、未来君!」
「徹、良かったな」
「ああ」
「未来、さん」
「チャイルドっ?」
彼女の異変に気付いて、
「早く変わってっ」
「はい······もう少しでショートしていたかも知れないです」
「えっ」
チャイルドの言葉にゾッとしたけど、もう大丈夫みたいね。
「状況は」
「見ての通り、台風の目になりつつありますが、あの浮いている気候獣が停滞していますとその周りの地域が壊滅してしまいます」
でも、子供の気候獣は上空にいる。
「チャイルド、空飛ぶの無理なのよね?」
「······いえ、実は出来なくもないんですが」
「ならっ」
「ちょっと待てっ」
「社長」突然社長が、
「お前が今やろうとするには、羽をイメージして、手や脚のようにエネルギー化しなきゃならないーー出来るのか、その精神でっ?」
「やれると、思いますっ!」
その力溢れる返事に、霞さんは言葉を失った。それは驚きと共に自分の若い頃、研究にわくわくした頃を思い出させるほどに。
そして機体に変化が、
「社長っ、マザー·ガーディアンに羽と、髪の毛······未来?」
愛が目にしたのは、私がイメージした鮮やかな青い蝶々の羽。それと紫の髪。
「ホント羽が出た、綺麗~」
生まれた所が蝶都だから、私にはそのイメージが一番だったの。
でもぐずぐずはしてられない。
「社長、次は?」
「まさか髪まで出すとは――いいか、マザー·ガーディアンの背部にエンジンがあるが、一回限りだ」
「一回ですね」
「そうだ······外すな、未来!」
「はいっ!」
「ではエンジンを点火します」
「お願い!」
合図と同時にエンジンを点火、勢いよく羽ばたかせ飛んだ。
「行って、未来ー!」
「くっ」
風に煽られるが上手く乗る。
集中力を切らさずに赤ちゃんのような気候獣に近づき、
「今助けてあげるからね」
マザー·ガーディアンの両手で触れる。
――また空間、今日はまるで空間デー。
その先には、
「やっぱり赤ちゃんね。さーどうやってするかー」
私は赤ちゃんをあやした事ないからとりあえず、
「よいしょっと」まず抱っこしてみる。
緊張しながら少しずつ力を調整して、体を密着させていく······。
そうすると次第に安心したみたいで、赤ちゃんが静かに。
「よし、よ~し」
自然と言葉が出てきて、何か不思議。
まぶたを閉じこの子を抱いていると、私のお腹にも赤ちゃんが、私と徹の“愛の結晶”が生きている。
結婚して、お腹の子が生まれたら三人で暮らして······。
しばらくしたら赤ちゃんともお別れが近づき、
「お母さんが待ってるわ、さようなら······赤ちゃんーー」
同調している間チャイルドにより無事着陸して今日の大仕事が、遂に終わった。
夜空が美しい中でコックピットを開いて、スタッフの方々に降ろされ、すぐキャンピングカーに乗せられる。
皆は喜んでたけど、私と徹の二人は疲労やプレッシャーからの解放で寝そうになったから、
「徹······」
「未来······なに?」
「また、記憶無くさないでよね」
「ああ、大丈、夫さ」
「徹?」
「眠る」
徹は横になりながら笑顔で答えてくれた。
「よかっ、た」
その隣で、彼の冷たいけど大きく暖かい手を掴んで私も安心して眠った······。
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