~マザー·ガーディアン~

ヒムネ

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      強化訓練

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 九月十六日火曜日、会社に着きスタッフの人から社長室に向かうように言われ行く。

「失礼します」

「来たか」
 今度は一体何なのか。

「お前は今日から、同調の訓練もしてもらう」

「同調の訓練ですか――どうしてでしょうか?」
「疑問に思うのも無理ないが、先週、気候獣が二匹現れただろう」
「だから」
「そうっ、だから精神の強化を図ってくれ、以上っ」
「はい――」

 社長室を出て、
「同調の訓練かー」
 確かに二匹の気候獣がこれからまた現れないとも限らない。仕方ないことと思いつつトレーニング室に入り、
「チャイルド、聞いた?」
「はい、同調訓練の事ならデータで送られてきました」
「······同調の訓練で精神って強くなるの?」
 素朴な疑問に、
「未知ですが、これまでの未来さんのデータだと、同調した最初の頃と比べて今は意識がハッキリしているので、可能性はあります」

「そっか、じゃあやろう!」
 そしてこの日から、ネズミや鳥等による同調の訓練を始めたの······。

 午後から同調の訓練をする事にして、お昼の食事に愛にもこの事を話してみる。
「へ~、同調の訓練?」
「そうっ」
「ステップアップってやつ?」
 私はタピオカを飲んで、
「ステップアップ、そうね」
 また飲む。
「もう九月中旬、何か早いわ~時間が経つの」
「うん」
 またまた飲む。
「あんたよく飲むわねー、今日は」
「そう? あっ」
 空になったので、もう一杯おかわりした。
「ねえ未来」
「何?」
「今度の土、日どっちかで良いから服買うの付き合ってよ」
「う~ん、いいわよ」
「サンキュー」
 最近、徹と一緒に色々行ってたしたまにはね······。

 食べ終わって、トレーニング室に戻った。
「じゃあやろうか」
「では始めます」
 シミュレーションのネズミが現れて同調する――。

「ふ~」
「どうでしょう二回目行けますか?」
「そうね······」
 自分の手を見て、何となく気持ちの奥の方にだるさを感じ、

「無理かな」

「そうですか、では少し休みましょう」
「うん、そうする」
 シミュレーション·マシンから出て椅子に座る。
「あ~······」
 天井を見ながら、前はなぜ二回目の同調が出来たのか、また出来るのだろうかと考えていたら、
「未来さん」
「ん、何、チャイルド」

「恋愛とはなんですか?」

「また質問?」
「嫌ですか?」
「ううん、最近よく聞くな~って思って――恋愛か~」
 何て言ってあげれば良いのだろうと悩み、

「好きな人に対してこう~、ドキドキするの」

「ドキドキ」

「そうっ、嬉しくて恥ずかしい――何て言うかこう、胸の奥からギュッて感じかな、これでいい?」

「病気みたいですね」

「病気って~、でも恋の病って言うからあまり間違ってないかも」

「ではやはり病気なら危険では?」

「ううん、良い病気なの」
「そうですか」
「よしっ、じゃあ休憩終わりっ、始めましょう」
「はい、でもここからはイメージトレーニングです」
「了解」
 恋愛の事を答えたけど、あれで良かったのか分からない。
 チャイルド何か······面白く感じてきた。また何か質問されるんだろうなあ······。

 帰りのスカイカーの中、
「やっぱり同調二回目無理っぽいわー」
「ふ~ん、でも前回出来たんだろ」
「それが、あの時何で出来たか分からないのよ~」
「火事場の馬鹿力かな?」

「はあっ、バカ~?」

「ごめんごめん」
「ったく――あ、徹、土日のどっちか愛と出掛けたいんだけど」

「分かった、じゃあ土曜日に行ったら?」
「ありがとう、愛にLINE送るわ」

「愛、土曜日に行こう」っと送るとすぐ、
「OK、ありがとう」と返ってきて、

「よしっと」
「その日オレも守に会おうかな~」
「丁度いいじゃない、会ってくれば?」
「ああっ、そうするよ」
 私達は今週の土曜日、珍しく別々に行動する事にしたの······。
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