8 / 20
罪
しおりを挟む
絶対絶命の二人、するとそこに、
「ロマーヌさんっ!」
「ピィ」
「フィンッ、どうして?」
「そんな事より早くっ」
彼は家族で屋根の上に避難し、そこにブルー·バードが来て鳴く方向に走って家に向かう彼女を見かけ慌てて来たのだ。
フィンはブレットおばあちゃんを背に乗せロマーヌと一緒に走った。
「ロマーヌさん」
「なに?」
「髪伸ばして、パジャマ姿のロマーヌさんも素敵ですね」
避難して容姿を整える時間も無かった姿を見られ、
「あんまり見ないでください」
ちょっと恥ずかしいロマーヌだった。
「ふぉっふぉっふぉっ、青春じゃのう」
ようやくレストランに着いた。
もう海水はここまで来ているので急いで二階から屋根に上る。
まずフィンが先にのぼって、ロマーヌがブレットおばあちゃんに落ちないよう気づかいながら窓から出して、彼が手で持ち上げた。
「すまないねぇ、こんなばあちゃんに」
「いえ良かったです。ロマーヌさん」
彼女が窓から屋根に掴むと、
「キャーッ!」
手を滑らせ、
「ロマーヌさんっ!」「ピィ」
紙一重で彼女の手を掴んだ。
「フィン」
「くっ」
「あわわっ、ロマーヌちゃん」
「おばあさん、向こうから人を呼んできてください」
フィンがそう言うと自分も落ちないように左手で屋根を掴み、右手でロマーヌの手を掴んでいた。
「ロマーヌさん······こんな時何ですが、あなたの惚れている方は一体何をしてるんです?」
「なに言ってるのよ!」
来るはずもない。
その彼はレッド·ドラゴン、龍なのだから。
他の人も来て皆で引っ張り助かったロマーヌだが、
「バカッ!」
「いたっ」
お母さんに右手で叩かれたあと、抱きしめられる。
「もう、この娘は」
そして周りの人に感謝するお母さんであった。
落ち着く気配のない津波に海を見るロマーヌは、
「レッド·ドラゴンさん······」
不安から、彼の事を気になり始める······。
空を飛んでいたレッド·ドラゴンは、
『レッド·ドラゴンさん』
精神感応のようなものを感じ振り向いた。
その方向には、
「ロマーヌ······」
嫌な予感がしたので約束よりも早いがフローティアへと向かう――。
一時間くらい経ち海水はまるで生きているかのように普遍的な動きを見せ、皆が固唾をのんでいる中、海の方を見て何やら騒いでいる。
ロマーヌもよく見てみると、
「あ、あれはっ!」
海の中から顔を出す青い龍の姿が、それはまるでレッド·ドラゴンと瓜二つ。
彼女は慣れていたが、周りはこんな状況なので誰もが世界の終わりのような事を口ずさみ始めた。
屋根の上に避難している町の人達、それを見てブルー·ドラゴンは『なんと弱い生き物。この程度で恐怖するとは······だが、フフッ、これだけではすまぬぞ』
楽しむ様に彼女はさらに精神感応を送るその相手は、
「聞こえるか? ロマーヌ」
「え、だれなの······」
ロマーヌだった。お母さんはその娘の異変に、
「どうしたの? ロマーヌ」
「たぶん、あの、海のドラゴンが私に話しかけてる」
ブルー·ドラゴンはそのまま精神感応を続ける。
「ロマーヌ······ロマーヌよ······よく聞け」
じっと集中して聞く、
「お前は罪を犯した」
「罪?」
「レッド·ドラゴンに好意を持つという罪をな」
ロマーヌは真っ青になり震え、こうなったきっかけを頭で理解してしまう。
「······わ、私が······私は、どうすればいいのですか」
彼女の問いにニヤけるブルー·ドラゴンは、
「一度犯した罪は消えない。よってフローティアには消えてもらうが」
一人で引きつった顔をしているロマーヌを見てただ事じゃないとフィンは、
「ロマーヌさん、いったい」
「静かに、してください······」
「そこから飛び降りろ」
「そ、それ、は」
「分かるだろうロマーヌ、死ねと言うことじゃ」
「ロマーヌさんっ!」
「ピィ」
「フィンッ、どうして?」
「そんな事より早くっ」
彼は家族で屋根の上に避難し、そこにブルー·バードが来て鳴く方向に走って家に向かう彼女を見かけ慌てて来たのだ。
フィンはブレットおばあちゃんを背に乗せロマーヌと一緒に走った。
「ロマーヌさん」
「なに?」
「髪伸ばして、パジャマ姿のロマーヌさんも素敵ですね」
避難して容姿を整える時間も無かった姿を見られ、
「あんまり見ないでください」
ちょっと恥ずかしいロマーヌだった。
「ふぉっふぉっふぉっ、青春じゃのう」
ようやくレストランに着いた。
もう海水はここまで来ているので急いで二階から屋根に上る。
まずフィンが先にのぼって、ロマーヌがブレットおばあちゃんに落ちないよう気づかいながら窓から出して、彼が手で持ち上げた。
「すまないねぇ、こんなばあちゃんに」
「いえ良かったです。ロマーヌさん」
彼女が窓から屋根に掴むと、
「キャーッ!」
手を滑らせ、
「ロマーヌさんっ!」「ピィ」
紙一重で彼女の手を掴んだ。
「フィン」
「くっ」
「あわわっ、ロマーヌちゃん」
「おばあさん、向こうから人を呼んできてください」
フィンがそう言うと自分も落ちないように左手で屋根を掴み、右手でロマーヌの手を掴んでいた。
「ロマーヌさん······こんな時何ですが、あなたの惚れている方は一体何をしてるんです?」
「なに言ってるのよ!」
来るはずもない。
その彼はレッド·ドラゴン、龍なのだから。
他の人も来て皆で引っ張り助かったロマーヌだが、
「バカッ!」
「いたっ」
お母さんに右手で叩かれたあと、抱きしめられる。
「もう、この娘は」
そして周りの人に感謝するお母さんであった。
落ち着く気配のない津波に海を見るロマーヌは、
「レッド·ドラゴンさん······」
不安から、彼の事を気になり始める······。
空を飛んでいたレッド·ドラゴンは、
『レッド·ドラゴンさん』
精神感応のようなものを感じ振り向いた。
その方向には、
「ロマーヌ······」
嫌な予感がしたので約束よりも早いがフローティアへと向かう――。
一時間くらい経ち海水はまるで生きているかのように普遍的な動きを見せ、皆が固唾をのんでいる中、海の方を見て何やら騒いでいる。
ロマーヌもよく見てみると、
「あ、あれはっ!」
海の中から顔を出す青い龍の姿が、それはまるでレッド·ドラゴンと瓜二つ。
彼女は慣れていたが、周りはこんな状況なので誰もが世界の終わりのような事を口ずさみ始めた。
屋根の上に避難している町の人達、それを見てブルー·ドラゴンは『なんと弱い生き物。この程度で恐怖するとは······だが、フフッ、これだけではすまぬぞ』
楽しむ様に彼女はさらに精神感応を送るその相手は、
「聞こえるか? ロマーヌ」
「え、だれなの······」
ロマーヌだった。お母さんはその娘の異変に、
「どうしたの? ロマーヌ」
「たぶん、あの、海のドラゴンが私に話しかけてる」
ブルー·ドラゴンはそのまま精神感応を続ける。
「ロマーヌ······ロマーヌよ······よく聞け」
じっと集中して聞く、
「お前は罪を犯した」
「罪?」
「レッド·ドラゴンに好意を持つという罪をな」
ロマーヌは真っ青になり震え、こうなったきっかけを頭で理解してしまう。
「······わ、私が······私は、どうすればいいのですか」
彼女の問いにニヤけるブルー·ドラゴンは、
「一度犯した罪は消えない。よってフローティアには消えてもらうが」
一人で引きつった顔をしているロマーヌを見てただ事じゃないとフィンは、
「ロマーヌさん、いったい」
「静かに、してください······」
「そこから飛び降りろ」
「そ、それ、は」
「分かるだろうロマーヌ、死ねと言うことじゃ」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?
青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」
婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。
私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。
けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・
※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。
※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。
しかし、仲が良かったのも今は昔。
レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。
いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。
それでも、フィーは信じていた。
レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。
しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。
そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。
国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる