1 / 4
クリスマスと妖精
しおりを挟む
妖精、それは困っていたり悩んだりしいてる人達にちょっと手を差し伸べる、そんな生き物である。
「――この裏切り者、死んじまえーっ!」
12月24日、クリスマスの夜、彼氏に浮気され一方的に別れを告げられた女性がいた。
「ぐすっ······地獄に落ちろ」
彼女の名は凛桜、クリスマスの日ということで何とか仕事の忙しい彼氏と少しでも会いたいと思い駅の外で待って驚かそうと思ったら······彼氏は他の女性と歩いていたのだ。怒りで問いただすと、
「僕はこの人がいい」
と言ってきてムカついてこっちから別れを告げたのだ。しかし、
「うっうっ······」
凛桜は近くの公園のベンチに座り泣いていた。怒鳴っていても彼の事が大好きだったから。
そんな彼女に、
「······となり、いいかしら?」
「えっ、だれ?」
隣を見ると、言葉を失った。
そこには自分の顔ほどの大きさと青い全身タイツを着てトンボのような羽の綺麗な人が、妖精が座っていた。
「な、なによ、あんたは?」
「ワタシの名前はサイネリア、妖精です」
『妖精です』なんて言われて信じる奴はいない。でもこんなに小さくて羽も作り物じゃないならと、
「よ、妖精があたしになんのよう、ぐすっ」信じてみることに。
「······見てたの」
「はあっ、なにを?」
サイネリアは眉にシワを寄せモジモジしながら、
「駅で彼氏に······その······」
彼女に泣き顔で睨み、
「捨てられた、そういえばっ?」強くあたる。
「んで、見たからなに、あたしを嘲笑いにでも来たのっ?」
「ちがう!」
怖くてもそこは真剣な眼差しで否定し、
「ワタシの事が見えるのはあなたが、病んでいるから」
「あたしのせいってわけ?」
「そうじゃなくて、あなたが元気になるまでワタシがそばにいる!」
「はあぁーっ?」
――彼氏に捨てられた彼女をその日に拾い上げたのはなんと妖精、帰りのコンビニにもマンションにも浮きながら付いて来たので、
「あんた、ホントに付いてくる気?」
「うん、言ったでしょ? あなたが元気になるまでそばにいるって」
満面の笑顔に凛桜は呆れたが、もう独り······話し相手ぐらいにはと彼女をマンションに入れた。
「ほらっ、入れば」
「お邪魔します」
「······んじゃ、あとはスキにして、あたし寝るから」
「え、お風呂とか、入らないの?」
「そんな気分じゃないの、わかってるでしょっ、んじゃね」
帰ってきて早々と布団に寝る凛桜、妖精はしかたないと思い、ワンルームの周りを見渡すことにした。彼女が眠ったころ、タンスの上に彼氏と撮ったであろう写真。
どこかの遊園地か、青空で観覧車が後ろに写りその手前に笑顔の二人が本当に幸せそうな顔をしている。その横に手日記があったがさすがに勝手に読む訳にはいかないと、他にもコーヒーカップが水色とピンクがあったりとごく最近まで仲良かったのが伺える。
ひと通り目を通して、これは一筋縄ではいかないと思ったがなおさらどうにかしたいと思うサイネリアだった······。
夜が明けた早朝、凛桜は午前7時にスマホのタイマーで目覚めて、
「う~ん、そのまま寝ちゃったか······はぁ~」
昨日の出来事を思いだすと泣きたくなる。
「······あっ!」
妖精の事も思いだしたがあれは傷つき過ぎた自分が見た幻影と整理し化粧をしようと準備を初めると、
「起きたのね、凛桜さん」
「うわっ······やっぱり夢じゃなかった」
「ふふっ、これからお化粧ね」
「あ、うん、そうだった」
驚いたが仕事に遅れるわけにはいかないので化粧をさっさと済まし、車で職場へと向かった······。
車の中で、
「ねえ、あんた職場にも付いてくる気?」
「ええ、ダメかしら?」
「······来てもいいけど、邪魔だけはしないでよね妖精さん」
「わかってるわ、邪魔しない」
「······そっ」
後ろの後部座席に座っているのをバックミラーで見ながら半信半疑だがとりあえず納得する。
「――この裏切り者、死んじまえーっ!」
12月24日、クリスマスの夜、彼氏に浮気され一方的に別れを告げられた女性がいた。
「ぐすっ······地獄に落ちろ」
彼女の名は凛桜、クリスマスの日ということで何とか仕事の忙しい彼氏と少しでも会いたいと思い駅の外で待って驚かそうと思ったら······彼氏は他の女性と歩いていたのだ。怒りで問いただすと、
「僕はこの人がいい」
と言ってきてムカついてこっちから別れを告げたのだ。しかし、
「うっうっ······」
凛桜は近くの公園のベンチに座り泣いていた。怒鳴っていても彼の事が大好きだったから。
そんな彼女に、
「······となり、いいかしら?」
「えっ、だれ?」
隣を見ると、言葉を失った。
そこには自分の顔ほどの大きさと青い全身タイツを着てトンボのような羽の綺麗な人が、妖精が座っていた。
「な、なによ、あんたは?」
「ワタシの名前はサイネリア、妖精です」
『妖精です』なんて言われて信じる奴はいない。でもこんなに小さくて羽も作り物じゃないならと、
「よ、妖精があたしになんのよう、ぐすっ」信じてみることに。
「······見てたの」
「はあっ、なにを?」
サイネリアは眉にシワを寄せモジモジしながら、
「駅で彼氏に······その······」
彼女に泣き顔で睨み、
「捨てられた、そういえばっ?」強くあたる。
「んで、見たからなに、あたしを嘲笑いにでも来たのっ?」
「ちがう!」
怖くてもそこは真剣な眼差しで否定し、
「ワタシの事が見えるのはあなたが、病んでいるから」
「あたしのせいってわけ?」
「そうじゃなくて、あなたが元気になるまでワタシがそばにいる!」
「はあぁーっ?」
――彼氏に捨てられた彼女をその日に拾い上げたのはなんと妖精、帰りのコンビニにもマンションにも浮きながら付いて来たので、
「あんた、ホントに付いてくる気?」
「うん、言ったでしょ? あなたが元気になるまでそばにいるって」
満面の笑顔に凛桜は呆れたが、もう独り······話し相手ぐらいにはと彼女をマンションに入れた。
「ほらっ、入れば」
「お邪魔します」
「······んじゃ、あとはスキにして、あたし寝るから」
「え、お風呂とか、入らないの?」
「そんな気分じゃないの、わかってるでしょっ、んじゃね」
帰ってきて早々と布団に寝る凛桜、妖精はしかたないと思い、ワンルームの周りを見渡すことにした。彼女が眠ったころ、タンスの上に彼氏と撮ったであろう写真。
どこかの遊園地か、青空で観覧車が後ろに写りその手前に笑顔の二人が本当に幸せそうな顔をしている。その横に手日記があったがさすがに勝手に読む訳にはいかないと、他にもコーヒーカップが水色とピンクがあったりとごく最近まで仲良かったのが伺える。
ひと通り目を通して、これは一筋縄ではいかないと思ったがなおさらどうにかしたいと思うサイネリアだった······。
夜が明けた早朝、凛桜は午前7時にスマホのタイマーで目覚めて、
「う~ん、そのまま寝ちゃったか······はぁ~」
昨日の出来事を思いだすと泣きたくなる。
「······あっ!」
妖精の事も思いだしたがあれは傷つき過ぎた自分が見た幻影と整理し化粧をしようと準備を初めると、
「起きたのね、凛桜さん」
「うわっ······やっぱり夢じゃなかった」
「ふふっ、これからお化粧ね」
「あ、うん、そうだった」
驚いたが仕事に遅れるわけにはいかないので化粧をさっさと済まし、車で職場へと向かった······。
車の中で、
「ねえ、あんた職場にも付いてくる気?」
「ええ、ダメかしら?」
「······来てもいいけど、邪魔だけはしないでよね妖精さん」
「わかってるわ、邪魔しない」
「······そっ」
後ろの後部座席に座っているのをバックミラーで見ながら半信半疑だがとりあえず納得する。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
波に乗れない少年が妖精スカーレットと出会い波に乗る妖精物語
ヒムネ
キャラ文芸
妖精、それは困っていたり悩んだりしいてる人達にちょっと手を差し伸べる、そんな生き物である。
沢山の子供や大人が集まる常夏の海、河原子。茨城県のその海原に一人の少年は波を待っていた。やがて波がやって来て、板にうつ伏せになり|海面を手で漕ぐ《パドリング》、波に乗り立とうとするがすぐ転けてしまう。
「はぁ~、またダメだ―」
何度か試しても上手くいかず少年はその場で仰向けになり青空を見上げる。どうすれば上手くいくのかと。
その時、
「ハーイッ」
目の前に何かが現れた。
「うわっ!」
それは自分の顔ほどの大きさで、赤い全身タイツを着た人のような姿でトンボみたいな羽が生えて浮いている。
「······な、なに?」
「見てわからない? あたしは妖精」
「ようせい······って、妖精っ!」
妖精物語の第1弾🧚
お調子者の妖精スカーレットが見えたのはサーフボードを持つシロウだった。
お父さんに親父に認めさせるため二人による特訓が始まる。友情と親子のショートショート妖精ストーリー🎵
※エブリスタでも連載中
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
戦国武将と晩ごはん
戦国さん
キャラ文芸
ある地方都市で暮らす女子高校生・御角 倫(みかど りん)。
彼女の家には、なぜか織田信長を筆頭に、週に一度さまざまな武将が訪れてくる。
織田信長と伊達政宗との出会い。
真田兄弟の時空を超えた絆の強さ。
信長と敗走する明智光秀や関白・豊臣秀吉との邂逅。
時間も時空も超えて訪れる武将たちは、倫が振る舞う美味しい現代飯の虜になっていく。
今日も武将たちと倫の間に起こる日常の『飯』物語。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
あやかし雑草カフェ社員寮 ~社長、離婚してくださいっ!~
菱沼あゆ
キャラ文芸
令和のはじめ。
めでたいはずの10連休を目前に仕事をクビになった、のどか。
同期と呑んだくれていたのだが、目を覚ますと、そこは見知らぬ会社のロビーで。
酔った弾みで、イケメンだが、ちょっと苦手な取引先の社長、成瀬貴弘とうっかり婚姻届を出してしまっていた。
休み明けまでは正式に受理されないと聞いたのどかは、10連休中になんとか婚姻届を撤回してもらおうと頑張る。
職だけでなく、住む場所も失っていたのどかに、貴弘は住まいを提供してくれるが、そこは草ぼうぼうの庭がある一軒家で。
おまけにイケメンのあやかしまで住んでいた。
庭にあふれる雑草を使い、雑草カフェをやろうと思うのどかだったが――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる