ロボット先生

ヒムネ

文字の大きさ
上 下
27 / 35

お別れ会

しおりを挟む
 お別れ会の2月22日、

「え~っ、では、今からロボット先生のお別れ会を始めます」

 司会の生徒が始まりを告げるとロボット先生が拍手されながら入場し、
「よろしくお願いします」
 頭を僅かに下げながら挨拶をした。

「では最初は、腕相撲でーす」
 早速始まったお別れ会。腕相撲はロボット先生と五人の力自慢の生徒による対決、

「行くぜ、先生~」
「お手柔らかに······」
 一回戦、
「オラーッ!」
 五人の片手が重なった手で押しにかかるが先生はびくともせずそのままの体勢で30秒くらいに相手が力尽きロボット先生の勝利。
『勝てるわけないじゃん』と女子は皆思いまた愚痴をこぼす。

 続いて二回戦、

 また先生勝ち。

 三回戦は、

 またまた先生の勝ち。

 四回戦そして五回戦の結果は、
「5対0で、ロボット先生の勝ち~」

 当然、ロボット先生が勝った。

「はぁはぁ······」
「くっそ~」
 あまりにも一方的で、女子から罵声の嵐が、『なにやってんのよ!』『ちょっとは頭使いなさい!』『脳筋!』
 散々な言われよう。さすがに男子五人が可哀想に見えた。それと秋は、
「先生優しい~、ねっ、パール」
「ウン!」
 ロボット先生は五人の生徒を思って腕をけして曲げず力尽きるまで待つ。その優しさに気づく女子もちらほら。

「続きましては······」次は知恵比べ。
 ロボット先生とガリ勉三人の対決なのだが、
「第一問、これはなんと読むでしょう」
「はい」
「ロボット先生」
帷子雪かたびらゆき、薄く降り積もった雪ですね」
「正解!」

「高弘わかった?」
「あ~、うん~、分かんねえ」
「第二問······」
 どの問題も難しくそれを正解するロボット先生やガリ勉三人は凄いけど、周りはしらけていた。

「何かつまらない」
「ツマラナイ」
「つまんね~」
 秋、パール、高弘がつい愚痴っていると他の生徒が質問をする。
「先生」
「はい」
「先生にも分からないことあんの?」
 その質問に半分位の生徒達は『あるのかな?』と思い始めた。
「沢山ありますよ」
「えっ、何ですか?」

「感触です。皆さんは当たり前のような触るとか手を握る等はセンサーが感知するだけでロボットの私には分かりません」
 ロボットにも欠けている所はあるということを改めて知る生徒達。
「ですからこれからはロボットが人間のような感触を知る時代が来るかもしれませんね。皆さんも大好きな人お父さんやお母さん、色んな人との感触を大事にしてください」
 何か授業っぽくなったが皆返事をする。

「最後に、ロボット先生の、良いところを上げて下さい」
 もう最後なのは、このあと他の三年のクラスに行くため。
 そして最後の問には、

「優しい!」

「頭いい!」等の他、

「冷静でクール!」

「アドバイスが的確!」
 どんどん周りが答えていくと負けるもんかと秋も、
「いつも笑顔!」
 するとパールも、

「ハーイ、疲レナイ!」

 ちょっと論点がずれてるのか一瞬皆が静かになる。

 その他にも色々な先生の良いところを上げているとあっという間に終わりの時間がやってきた······。

「皆さん楽しかったですか、最後にロボット先生からの言葉をお願いします」

「えー、皆さん、私に時間を割いていただきありがとうございます。私はロボットでAiではありますが、今は皆さんと同じように私自身にも気持ちがあると思っています。なので、今の気持ちは嬉しくもあり同時に寂しくもありますが、みんなが新しい世界に旅立っても、私は生徒一人一人の心の中で温かく見守っています。今日楽しかったです。本当にありがとうございました」

 ロボット先生からの感謝の言葉は拍手喝采で他のクラスへと向かう······。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

処理中です...