19 / 35
今年の最後に
しおりを挟む
2学期が終わって町にはLEDで点灯するクリスマスツリーやサンタの格好をする店員など一気にクリスマスムード。秋も帽子をかぶりロボット先生に見てもらいたくて学校に向かっていた。
先生は変わらずのスーツ姿で学校の周りを丁寧に箒で掃いている。
「先生っ、メリークリスマス!」
「秋さん、メリークリスマス。可愛いサンタ帽ですね」
「えへっ」
「冬休み中に学校に来てどうしました?」
「ロボット先生に、御礼しに来たんです」
「御礼ですか」
「はいっ、先生が学校に来てあたしの夢を助けてくれたり、九美の事とか、文化祭でサプライズみたいな事してくれたりとか、ロボット先生にすん~ごく感謝してるの」
「······秋さんは本当元気な人ですね、私も秋さんに出会えて感謝してますよ」
「ホントですかっ、えへへ」秋は手袋をした右手で自分の頭を擦りながら照れた。
「秋さん、その感謝する気持ちを忘れないでください。そうすれば、きっと良い看護師さんになれますよ」
「そう言って貰えて嬉しいです。先生は、ずっとこの学校にいるんですか?」
ロボット先生は上を向き、機械の右手を顎辺りに当て、
「う~ん、それは分かりませんね、何せロボットですから」
「そうなんだ······じゃあ先生あたし帰ります。寒いしっ」
「はい、気を付けてくださいね」
「先生今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします!」
「秋さん今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」
「じゃあね、先生~」
「はい、さようなら」
彼女にとって何でも聞いてくれて時には知らずに動いてくれたり、、考えてなさそうに見えて実は生徒のことをいつも考えてくれている。そんなロボット先生との一年間が楽しかった秋は、またワクワクな来年が来ると思いながら帰って行った。
秋と話したことでふと今年の出来事を思い出す。不思議に感じたと同時に暑さや冷たさを感じないはずの自分に柔らかい暖かさが、それは今年の花火を生徒達と見た時に感じた温もりだった――。
12月28日この日は先生達にとって今年最後の出勤で大井先生は今年最後の会議だった。そこである課題を話し合う。
「――こんなこと、私は反対です!」眉間にシワを寄せ大井先生がきっぱりと言う。
「そうは言われましても、では多数決で······」
しかし出席した先生のほとんどが手を上げる。
「そんな、どうして」愕然とした。
「多数決なので決まりです。ロボット先生も異論はないですね」
「······はい」
「待ってくださいっ、私は異論あります······」
再度異論を交わすが決定は揺るがず決まってしまう。
「――ロボット先生っ、これで良かったんですかっ!」
大井先生は、怒り気味で問うが、
「ロボットですから」
そう言って去るロボット先生に人間とロボットの距離を遠く感じ会議と今年を終える······。
先生は変わらずのスーツ姿で学校の周りを丁寧に箒で掃いている。
「先生っ、メリークリスマス!」
「秋さん、メリークリスマス。可愛いサンタ帽ですね」
「えへっ」
「冬休み中に学校に来てどうしました?」
「ロボット先生に、御礼しに来たんです」
「御礼ですか」
「はいっ、先生が学校に来てあたしの夢を助けてくれたり、九美の事とか、文化祭でサプライズみたいな事してくれたりとか、ロボット先生にすん~ごく感謝してるの」
「······秋さんは本当元気な人ですね、私も秋さんに出会えて感謝してますよ」
「ホントですかっ、えへへ」秋は手袋をした右手で自分の頭を擦りながら照れた。
「秋さん、その感謝する気持ちを忘れないでください。そうすれば、きっと良い看護師さんになれますよ」
「そう言って貰えて嬉しいです。先生は、ずっとこの学校にいるんですか?」
ロボット先生は上を向き、機械の右手を顎辺りに当て、
「う~ん、それは分かりませんね、何せロボットですから」
「そうなんだ······じゃあ先生あたし帰ります。寒いしっ」
「はい、気を付けてくださいね」
「先生今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします!」
「秋さん今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします」
「じゃあね、先生~」
「はい、さようなら」
彼女にとって何でも聞いてくれて時には知らずに動いてくれたり、、考えてなさそうに見えて実は生徒のことをいつも考えてくれている。そんなロボット先生との一年間が楽しかった秋は、またワクワクな来年が来ると思いながら帰って行った。
秋と話したことでふと今年の出来事を思い出す。不思議に感じたと同時に暑さや冷たさを感じないはずの自分に柔らかい暖かさが、それは今年の花火を生徒達と見た時に感じた温もりだった――。
12月28日この日は先生達にとって今年最後の出勤で大井先生は今年最後の会議だった。そこである課題を話し合う。
「――こんなこと、私は反対です!」眉間にシワを寄せ大井先生がきっぱりと言う。
「そうは言われましても、では多数決で······」
しかし出席した先生のほとんどが手を上げる。
「そんな、どうして」愕然とした。
「多数決なので決まりです。ロボット先生も異論はないですね」
「······はい」
「待ってくださいっ、私は異論あります······」
再度異論を交わすが決定は揺るがず決まってしまう。
「――ロボット先生っ、これで良かったんですかっ!」
大井先生は、怒り気味で問うが、
「ロボットですから」
そう言って去るロボット先生に人間とロボットの距離を遠く感じ会議と今年を終える······。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる