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第4章 陰謀、逆襲、リバイバル
再会ですわ!
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市街地を抜け、川を越え森へと向かい、木々の中に入る。
極度の緊張と疲れからかカルロの消耗は激しかった。兵士たちも相当しつこく追ってくる。
幸いなのは、ヴェロニカといた時に森で襲ってきたような熟練の兵士達ほどではないことだ。恐らく実践に乏しく、訓練での戦闘の経験しかほぼない。
暗い森は闇を深めてくれる。冬の森は葉を散らした後であり姿を隠せる場所も限られてくるが、それでも街中よりは逃げ切れる確率が格段に上がる。だが、兵士達はランプを持っており、足跡を見つけられてしまえば二人を見つけるだろう。
ロスは木の陰からそっと狙いを定め、素早くランプとそれを持つ兵を撃ち抜いた。
それにより他の兵士達も光源を消した。途端辺りは暗くなる。これでしばらくこちらの居場所は知られない。物音を立てないように警戒しながら、奥へ進めとカルロに合図をした。
「わ、わかった! 奥へ行くんだね!?」
「大声を出すんじゃない!」
ロスの幻滅たるや凄まじかった。馬鹿でかいカルロの声に、確実に居場所がばれた。
パン、と音とともに近くの木がえぐれる。カルロの頭を地面に伏せさせ、自らも体勢を低くした。次々と銃弾が浴びせられる中、地面を這うようにして移動する。
が、唐突に、それも全く予期せぬことが起こった。
ターンと鋭い音が森に響き、兵士が倒れた気配がした。背後からの援護射撃だ。
(誰が、何故)
ロスの耳に、まずとても会いたかった者の声が聞こえた。その者はロスの姿を誰よりも早く発見し、そして思い切り懐に飛びついてきた。
「アルテミス!」
それは失ったはずの、何よりも大切な白い毛皮の親友だ。彼女は何度も吠え声を上げるとロスの体に自分の背中をこすりつける。生きていた、そしてまた戻ってきた。思いがけず、ロスは喜んだ。その間中、味方と思しき銃声は響いている。
従来の量産型銃よりもやや甲高く乾いた音がするこの銃は知っている。だが限られた数しか出回っていないはずだ。そのうちの一つをロスは所有し、そして手放した。
(まさか)
信じられない思いで、銃を撃った者が居るであろう場所を見ると、そこには恐ろしく怒りに満ちた表情で、白煙を上げる長銃を構えながらこちらを睨み付けている女がいた。髪は短く切られていて、痩せたように思えるが、それはまさしく。
(嘘だろ、何してる)
ロスはただ力なくその者の名を呼ぶことしかできない。
「ヴェロニカ……」
ヴェロニカは木々の間から、抜け目なく長銃を兵士達に向けていた。
「ヴェロニカだと!?」
驚いたのはカルロも同じようで、頭を上げて彼女を見た。
「お父様伏せて!」
彼女の持つ銃が再び音を立てる。兵士には当たらなかったようだ。ロスがすかさず自分の銃で兵士に向けて撃った。それは当たったようである。
「チェチーリア、グレイ! お父様を連れて逃げるのよ」
近くに居る誰かに向けて言っている。目をこらすと、そこには恐らく彼女の妹と、そしてベルガモット家のグレイがいた。守るべき人間が倍以上に増えた。ロスは兵士達に発砲しながら叫ぶ。
「何が起きてるかいまいち掴みづらいが、お前達はさっさと逃げろ! あとアルテミスを連れて行ってくれ!」
ロスと離れたくない様子のアルテミスだったが、カルロに捕まれ半ば無理矢理連れ去られていく。
「お父様こちらへ!」
チェチーリアらしき少女の声が聞こえる。グレイらしき少年も、銃を兵士に向けて撃っている。腕は悪くなさそうだ。
「グレイ、チェチーリアとお父様を頼んだわよ!」
ヴェロニカがいつの間にかすぐ側にいた。何を考えている、とロスは腹立たしく思う。
「ヴェロニカ、お前も逃げるんだ!」
「嫌よ!」
ヴェロニカは怒る。しばらく見ないうちに、また凄みが増したようだ。彼女はまた兵士に向けて撃った。それは兵士の頭に当たる。彼女が人の命を奪った。ロスの胸がまたざわめく――……。
極度の緊張と疲れからかカルロの消耗は激しかった。兵士たちも相当しつこく追ってくる。
幸いなのは、ヴェロニカといた時に森で襲ってきたような熟練の兵士達ほどではないことだ。恐らく実践に乏しく、訓練での戦闘の経験しかほぼない。
暗い森は闇を深めてくれる。冬の森は葉を散らした後であり姿を隠せる場所も限られてくるが、それでも街中よりは逃げ切れる確率が格段に上がる。だが、兵士達はランプを持っており、足跡を見つけられてしまえば二人を見つけるだろう。
ロスは木の陰からそっと狙いを定め、素早くランプとそれを持つ兵を撃ち抜いた。
それにより他の兵士達も光源を消した。途端辺りは暗くなる。これでしばらくこちらの居場所は知られない。物音を立てないように警戒しながら、奥へ進めとカルロに合図をした。
「わ、わかった! 奥へ行くんだね!?」
「大声を出すんじゃない!」
ロスの幻滅たるや凄まじかった。馬鹿でかいカルロの声に、確実に居場所がばれた。
パン、と音とともに近くの木がえぐれる。カルロの頭を地面に伏せさせ、自らも体勢を低くした。次々と銃弾が浴びせられる中、地面を這うようにして移動する。
が、唐突に、それも全く予期せぬことが起こった。
ターンと鋭い音が森に響き、兵士が倒れた気配がした。背後からの援護射撃だ。
(誰が、何故)
ロスの耳に、まずとても会いたかった者の声が聞こえた。その者はロスの姿を誰よりも早く発見し、そして思い切り懐に飛びついてきた。
「アルテミス!」
それは失ったはずの、何よりも大切な白い毛皮の親友だ。彼女は何度も吠え声を上げるとロスの体に自分の背中をこすりつける。生きていた、そしてまた戻ってきた。思いがけず、ロスは喜んだ。その間中、味方と思しき銃声は響いている。
従来の量産型銃よりもやや甲高く乾いた音がするこの銃は知っている。だが限られた数しか出回っていないはずだ。そのうちの一つをロスは所有し、そして手放した。
(まさか)
信じられない思いで、銃を撃った者が居るであろう場所を見ると、そこには恐ろしく怒りに満ちた表情で、白煙を上げる長銃を構えながらこちらを睨み付けている女がいた。髪は短く切られていて、痩せたように思えるが、それはまさしく。
(嘘だろ、何してる)
ロスはただ力なくその者の名を呼ぶことしかできない。
「ヴェロニカ……」
ヴェロニカは木々の間から、抜け目なく長銃を兵士達に向けていた。
「ヴェロニカだと!?」
驚いたのはカルロも同じようで、頭を上げて彼女を見た。
「お父様伏せて!」
彼女の持つ銃が再び音を立てる。兵士には当たらなかったようだ。ロスがすかさず自分の銃で兵士に向けて撃った。それは当たったようである。
「チェチーリア、グレイ! お父様を連れて逃げるのよ」
近くに居る誰かに向けて言っている。目をこらすと、そこには恐らく彼女の妹と、そしてベルガモット家のグレイがいた。守るべき人間が倍以上に増えた。ロスは兵士達に発砲しながら叫ぶ。
「何が起きてるかいまいち掴みづらいが、お前達はさっさと逃げろ! あとアルテミスを連れて行ってくれ!」
ロスと離れたくない様子のアルテミスだったが、カルロに捕まれ半ば無理矢理連れ去られていく。
「お父様こちらへ!」
チェチーリアらしき少女の声が聞こえる。グレイらしき少年も、銃を兵士に向けて撃っている。腕は悪くなさそうだ。
「グレイ、チェチーリアとお父様を頼んだわよ!」
ヴェロニカがいつの間にかすぐ側にいた。何を考えている、とロスは腹立たしく思う。
「ヴェロニカ、お前も逃げるんだ!」
「嫌よ!」
ヴェロニカは怒る。しばらく見ないうちに、また凄みが増したようだ。彼女はまた兵士に向けて撃った。それは兵士の頭に当たる。彼女が人の命を奪った。ロスの胸がまたざわめく――……。
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