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心の声が出てしまう

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「グリーンウェル家……」
あら、聞こえていたのね。思考が繋がったかしら。

「お初にお目にかかります。マーガレット・グレイと申します。旧姓はグリーンウェルですわ。以後お見知りおきを。」

男だけではなく、その後ろにいつからかいた子どもみたいな格好の女性も真っ青になっている。

「ああ、そう言うことですのね。私の鈍い頭でもわかりましたわ。

まずはどこかのメイドに狙いをつけて、伯爵令息から恋文を贈る。その気になって、頑張って着飾って、会った時に、実はあれは一時の気の迷いだった。でも、たかがメイドに本気になるわけないだろう。と、馬鹿にする筈だったのね。そして、ごねられるようだと、そちらのお嬢さんに罵倒させる。何て悪趣味な遊びでしょう。

そうして狙いをつけたのが、今回は私だったのね。」

「妻に全て言われてしまったが、それであってるかい?」

あら、心の声でしたのに、全て話してしまいましたわ。ルーカスのセリフを横取りしてしまいました。

「まさか、グリーンウェル公爵家のマーガレット様だったなんて。何でちゃんと調べないのよ。アンタのせいよ!」

「あら、言葉遣いがなってないのね。あの方も貴族の方でしょう?」

「君の発言を許可した覚えはないし。一体どこから入り込んだんだい?」

夫の問いかけに謝罪を繰り返すのはあの失礼な男です。私にまず謝るべきじゃない?

私の方をチラッと夫が見て、笑いながら囁きます。

「さっきから、全て思っていることが声に出ているよ。」

あら、嫌だ。全て、ですか。口に手で蓋をしました。多分、これで大丈夫ですわ。

またやってしまいました。私先程夫からの言葉にあったように、デビュタント後、すぐに結婚いたしましたので、淑女教育がまだ終わっていないのですわ。ああ、また先生に呆れられてしまいます。

また初めから復習でしょうか。

ええ、もう黙りますわ。ここから今度こそ夫のターンです。

「グリーンウェル家は知っていたようで安心したよ。でも、おかしいな。公爵家のことを知っていたならマーガレットのことも知らないのは不自然だよ。」

ええ、そう言われてみると、そうですわね。

「あくまで、シラを切るつもりだと思っていいのかな。誰かは存じ上げないが、君はこの失礼なミラー伯爵令息が、マーガレットを貶めることを知っていたのだろう。」

え?私を最初から狙っていたのですか?実家のことを知った上で?

夫がまた私に向き合って、頷いたのでまた無意識に口に出してしまっていたようだ。

凄く恥ずかしい。

「違う、違うんだ。」
あら?男性の様子がおかしいわ。どうされたのかしら。

「貴女がマーガレットだとは知っていた。が、グリーンウェル公爵家の娘ではない、ただのマーガレットに贈ったつもりだった。」

「そういえば良いと最初から口裏を合わせていたのだろう。ああ、わかっているよ。君の本当の協力者は。その女性は今日だけの身代わりか?黒幕はどちらだ?彼女か、君か?」

ルーカスの質問に今度こそ男性が黙りましたわ。さっぱりわからないのですが、説明してくださるのよね?
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